MotoGP第4戦カタールGP:マルクが今季3勝目。Moto3では日本人ライダー二人が表彰台を獲得

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MotoGP第4戦カタールGPが、4月11日から13日にかけて、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われ、スプリントレース、決勝レースともにマルク・マルケス(ドゥカティ)が優勝を飾った。MotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダーでルーキーの小椋藍(アプリリア)は、スプリントレースを7位、決勝レースを15位で終えた。

KTMビニャーレス、ペナルティによって2位が水泡に帰す

カタールGPは、シーズン中唯一のナイトレースとして行われるグランプリである。土曜日20時にスタートしたスプリントレース(11周)では、マルク・マルケス(ドゥカティ)が優勝し、2位をマルクの弟であるアレックス・マルケス(ドゥカティ)、3位をフランコ・モルビデリ(ドゥカティ)が獲得した。

ルーキーの小椋藍(アプリリア)は、10番手からスタートしてポジションを上げ、7位でゴールしている。

決勝レース(22周)は、翌日曜日の20時にスタートした。ポールポジション(予選1番手)にはマルク、2番手にはアレックス、3番手にはファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)が並び、この3名が1列目からのスタートとなった。なお、クアルタラロの3番手は、ヤマハにとってもクアルタラロにとっても、2022年オランダGP以来、3年ぶりとなるフロントロウ(1列目)獲得の快挙だった。

今季もチャンピオン争いの一角と目されているライダーであり、マルクのチームメイトであるフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)は、Q2(予選2)で転倒を喫したために11番手という後方からのスタート。小椋は10番手からのスタートである。

ホールショットを奪ったのはマルクだったが、2番手のアレックスと接触し、その間隙をついたモルビデリがトップに浮上する。マルクのマシンはこの接触により、テールカウルの左の空力デバイスの一部を欠くことになった。ただ、レース後の会見でマルクが語っていたところによると、これによる走行への影響はなかったという。

3周目、3番手を争っていたアレックスとファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ドゥカティ)が接触する。これは審議の対象となり、結果的にアレックスにロングラップ・ペナルティ(※レース中、一部のコーナーの外側に設置された指定エリアを通過しなければならないペナルティ)が科された。これにより、アレックスは大きく後退を余儀なくされる。またこの接触でオーバーランを喫したディ・ジャンアントニオも大きくポジションを落とした。

5周目には11番手からスタートしたバニャイアがマルクに追いつき、マルクに勝負を仕掛ける。バニャイアの背後にはマーベリック・ビニャーレス(KTM)が迫っており、ビニャーレスはバニャイアをパスして、さらに2番手を走るマルクに迫った。

10周目、ビニャーレスは1コーナーのブレーキングでマルクをかわして2番手に浮上する。自分を抜こうとするKTMのオレンジのマシンを見たマルクは、このとき「ペドロ・アコスタだと思った」という。2024年シーズンにマルクと争ってきたKTMライダーはアコスタ(KTM)だったため、そう思うのも無理はないだろう。加えて、ビニャーレスは今季にアプリリアからKTMに移籍し、しばらく苦戦を続けていた。

その後、ビニャーレスはモルビデリをかわしてトップに立った。KTM勢はリアタイヤのバイブレーションに苦しんでいたのだが、決勝レースではビニャーレスのマシンのバイブレーションが軽減していたということだ。

ただ、2番手のマルクはぴたりとビニャーレスの背後につけながら、かわすタイミングを計っていた。そして残り7周のコーナーでミスをしてワイドになったビニャーレスをパスし、トップに立った。以降はトップを快走し、マルクはそのまま先頭でチェッカーを受けた。

この勝利により、マルクは開幕戦からカタールGPまでの4戦中、決勝レースで3勝を挙げている。また、マルクにとってはこれが114回目の表彰台獲得で、最高峰クラスにおける表彰台獲得記録の2位タイに浮上した。

3番手は11番手から大きく順位を上げたバニャイアだった。2番手でゴールしたのはビニャーレスだったが、タイヤの空気圧がタイヤサプライヤーであるミシュランが推奨する範囲よりも低かったため、レース後、結果に16秒加算のペナルティが科された。ビニャーレスは、最終的に14位だった。

 ビニャーレスのペナルティによって順位が繰り上がり、バニャイアが2位、モルビデリが3位となっている。

また、ホンダのヨハン・ザルコが5番手でゴールし、最終結果としては4位を獲得した。苦戦を続けてきたホンダにとって、2023年日本GP以来となる、トップ5でのゴールである。

小椋はレース中盤以降、フロントタイヤのグリップに苦しみ、15位だった。

3勝目を挙げたマルク・マルケス(#93)©MotoGP.com

Moto3クラスで日本人ライダー二人が表彰台獲得

Moto3クラスでは、Q2(予選2)で山中琉聖(KTM)が初のポールポジションを獲得した。決勝レースでは古里太陽(ホンダ)とともに最終ラップまでトップ集団での優勝争いを展開し、古里が2位、山中が3位を獲得している。古里は優勝したライダーからわずか0.009秒差という僅差での2位だった。

古里、山中という日本人ライダー二人にとって、今季初の表彰台獲得となった。

第5戦スペインGPは、4月25日から27日にかけて、スペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで開催される。

古里太陽(左)と山中琉聖(右)が表彰台を獲得した©MotoGP.com

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