バイクなのに排気量は2500cc、車重はなんと318kg。|トライアンフ・ロケット3R試乗レポート

初代デビューは2004年。トライアンフのパワーユニットとして評判の3気筒エンジンを縦置きマウントして登場。しかも量産車世界最大の
排気量(2300cc)を誇った。今回の最新モデルはさらにスケールアップされた2,500cc エンジンを搭載。当然のように驚くべきビッグトルクが発揮されるのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)
取材協力●トライアンフ モーターサイクル ジャパン

※2020年8月20日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

トライアンフ・ロケット3R
伝承された特徴的な丸型ツインヘッドランプ。もちろんウインカーも含めて光源はLED式。レンズ中央にはブランドマークが誇らしげである。
トライアンフ・ロケット3R
Showa製フロントフォークのインナーチューブ径は極太のφ47mm。左が伸び側、右側で圧側の減衰力調節ができる。ブレンボ製のダブルディスクブレーキは、φ330mmのフローティングローターにモノブロックの対向4ピストン油圧キャリパーを装備。
トライアンフ・ロケット3R
何と言っても量産バイク世界最大の排気量とそこから発揮されるハイパフォーマンスは強烈。3気筒エンジンの全容が丸見えとなるフォルムも圧巻である。
トライアンフ・ロケット3R
エキゾ-ストパイプから右側ツインマフラーに連続するフォルムは実に格好良い。他のどのバイクをも凌ぐ迫力がある。
トライアンフ・ロケット3R
縦置き直列3気筒エンジンの吸気側。後輪を駆動するドライブシャフトが通るリヤアームの下にもマフラーが出されている。
トライアンフ・ロケット3R
大胆かつ斬新なデザインのひとつ。リヤアクスル部から伸びたツインパイプステーでナンバーとフェンダーが支持されている。
トライアンフ・ロケット3R
大胆かつ斬新なデザインのひとつ。リヤアクスル部から伸びたツインパイプステーでナンバーとフェンダーが支持されている。
トライアンフ・ロケット3R
240幅50扁平極太のZR16インチAVON製COBRA CHROMEタイヤを履く。アルミキャストの20本スポークホイールは5本のボルトで固定される片支持タイプ。
トライアンフ・ロケット3R
ホイールの内側に押しやられたシングルディスクはφ300mm。ブレンボ製対向4ピストンのモノブロック油圧キャリパーを装備。オイルラインには膨張の少ないエアロクイップタイプを採用。
トライアンフ・ロケット3R
僅かにアップしながら手前に引かれた黒いパイプバーハンドル。バーエンドミラーの採用が特徴的だが、全体にオーソドックスなデザインだ。
トライアンフ・ロケット3R
右側と同様、全てのスイッチ内部にイルミネーションが採用されており、絵文字等が浮き上がる。各スイッチは、上から順にクルーズコントロール、MODEボタン、ウインカー、ジョグスティック、赤いのがホーンボタン。人差し指で扱う前方の赤いスイッチはディマースイッチだ。
トライアンフ・ロケット3R
スマートキーの存在を検知していれば、赤いシーソースイッチの上を押せばイグニッションスイッチがON状態になり、下のセルスイッチを押せば始動する。上の赤いスイッチはハザード用。向こう側の見えない位置にステアリングロック用のグレーボタンがある。手前下のグレースイッチはHOMEボタンでメーターのメインメニューが開ける。
トライアンフ・ロケット3R
「テーマ」と「クロノス」2種類の表示デザインが選べるマルチファンクションディスプレイ。写真はクロノス表示。実に24種もの情報表示が成されている。アナログ風表示はタコメーターでレッドゾーンは6,500rpmからだ。
トライアンフ・ロケット3R
鞍型の大きなメインシートとやや高い位置に連なる後席シートは一体式。車体左側のキーロックを解錠すると、簡単に脱着できる。
トライアンフ・ロケット3R
メインシート下にはバッテリーが縦に収納されている。後席下は工具入れやETC機器搭載に使える収納スペースが空いている。
トライアンフ・ロケット3R
車体左側のアルミキャップを取ると、ドライサンプ用オイル量(油面高)を確認する事ができる。サイドスタンドを立て冷間時に1分程始動し、エンジン停止後3分後にチェックするのが基本。
トライアンフ・ロケット3R
写真のオイルゲージを抜き、付着オイルを一旦綺麗に拭き取って戻す。再度抜き取り、オイルがゲージ先端に示す下限と上限マークの間にあればOKである。
トライアンフ・ロケット3R
短くカットされたテールエンドのカウル内に綺麗に埋め込まれたテールランプ。もちろんLED方式。ウインカーやライセンスプレートは別の専用ステーで取り付けられている。
トライアンフ・ロケット3R
大きなタンクに隠された直列3気筒エンジン。その塊そのものに跨るような感覚になれる乗り味も異色である。

主要諸元

エンジン形式:水冷直列3気筒/DOHC 12バルブ
排気量:2458cc
ボア・ストローク:110.2×85.9mm
圧縮比:10.8:1
最高出力:167PS(123kW)/6,000rpm
最大トルク:221Nm/4,000rpm
吸気システム:ライドバイワイヤ式燃料噴射
排気システム:ステンレス製3-INTO-1ヘッダーシステム(ARROW製3本出しサイレンサー)
駆動方式:シャフト、ベベルボックス
クラッチ:油圧、トルクアシスト
トランスミッション:6速
一次減速比:1,246(71/57)
二次減速比:2.846(37/13)
ギヤ比
 1速:2,389(43/18)
 2速:1,840(46/25)
 3速:1,414(41/29)
 4速:1,121(37/33)
 5速:0,972(35/36)
 6速:0,838(31/37)
フレーム:フルアルミニウムフレーム
スイングアーム:アルミキャスト製片持ち式
ホイール(前/後):アルミキャスト17x3.5インチ/同16x7.5インチ
タイヤ(前/後):150/80 R17 V / 240/50 R16 V
サスペンション(前/後):Showa製φ47mmカートリッジ式倒立式フォーク(コンプレッション及びリバウンド調整可能 )/ Showa製フルアジャスタブルピギーバックリザーバーRSU(油圧式リモートプリロードアジャスター)
トラベル量(前/後):120mm / 107mm
ブレーキ(前/後):φ320mmダブルディスク、Brembo製M4.30 Stylema 4ピストンラジアルモノブロックキャリパー、コーナリングABS / φ300mmシングルディスク、Brembo製M4.32 4ピストンモノブロックキャリパー、コーナリングABS

全幅:889mm
全高:1065mm (除くミラー)
シート高:773 mm
ホイールベース:1677mm
キャスターアングル:27.9 º
トレール:134.9mm
車両重量(乾燥):318kg(291kg)
燃料タンク容量:18L
燃料消費率:6.82L/100km(14.7km/L)

試乗後の一言!

トライアンフ・ロケット3R
近田茂
凄い!アクセルひと開けで得られる怒涛の加速力、壮絶な勢いに圧倒される。

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の創刊メンバーに。1981年退社後はフリーランスとして専門誌や一般紙誌等、2輪に4輪にと幅広い執筆活動を続けている。
ライディングやドライビングのインストラクター経験も豊富。東京都交通安全協会・安全運転管理者講習の講師も務めた。

自動二輪から大型牽引二種まですべての運転免許を所持。現在は主にMotor-Fan BIKES等のWeb媒体やバスマガジンなどで取材&執筆活動中。バイクのレポートでは、ユーザーの気持ちになって乗り味のチェックとわかりやすい文章表現に努めている。

現所有車はホンダXR230 、ファンティック75。昔から変わらぬ夢は、排気量の大きなツアラーで開放された気まま旅を楽しんでみたい!

キーワードで検索する

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…