スマートモーター発電機で街を駆け抜ける新感覚

ヤマハ発動機のインド法人は、「FZ-X Hybrid」を現地で発売した。同車は、既存のFZ-Xをベースに革新的な「ハイブリッドシステム」を組み込んだモデルだ。最大の特徴は、SMG(スマートモーター発電機)を活用したハイブリッドアシスト機構。発進加速時には電動モーターがエンジンをサポートするため、従来よりもトルクが立ち上がるタイミングが鋭く、街中の信号ダッシュやラウンドアバウトからの立ち上がりで実感できる。

さらに「SSS(Start & Stop System)」を搭載。信号待ちなどでアイドリングを自動停止し、クラッチレバーを握るだけで静かにエンジンが再始動する。騒音も排ガスも抑え、街乗りでの燃費効率や快適性を大幅に引き上げている。電動化の波はスクーターやハイブリッドカーだけのものではない。150ccクラスのネイキッドバイクにハイブリッドシステムを組み込み、よりスマートな都市移動を提供する——それがFZ-X Hybridだ。

TFTメーターとY-Connectでライディングがもっとスマートに

インパネ周りの進化も注目に値する。FZ-X Hybridでは新たに4.2インチのフルカラーTFTメーターを採用し、視認性は従来のLCDより格段に向上した。デザインはYamahaらしくシンプルながら高級感があり、スピード、ギアポジション、燃費表示、時計といった基本情報に加えて、スマホ連携による通知やターンバイターンのナビゲーション表示までこなす。

専用アプリ「Y-Connect」と連携すれば、着信やメッセージをメーター上で確認可能。さらにバイクの走行ログやメンテナンス時期の管理までスマホ一つで行える。車両情報をデジタルで一括管理できるだけでなく、旅先での経路や走行データを簡単に見返すこともできるので、ライダーにとって大きな安心感と楽しみを提供してくれる。

先進装備を纏い操る悦びと安全性を両立

FZ-X Hybridは単なる電子デバイス搭載バイクではない。しっかりと走りの質を高める装備も与えられている。注目すべきはこのクラスでは珍しいトラクションコントロールシステム(TCS)を装備していること。発進時や濡れた路面でのスロットル操作が多少ラフになっても、後輪の空転を自動的に抑制し、安定したスタートを実現する。ABSも標準装備で、急ブレーキ時の車体制御を強力にサポート。

またハイブリッド化により微増した車重(141kg)を感じさせない取り回しの良さも健在。ダイヤモンドフレームにより、低重心で車体を寝かし込みやすく、街中でのUターンやタイトコーナーでそのメリットを感じるだろう。前後ともリンク式モノショックを採用し、段差を越える時も不快な突き上げを抑えてくれる。前後ディスクブレーキに加え、しなやかな足回りと電子制御が相まって、上質かつリラックスしたライディングフィールを味わえる。

レトロ&モダンのデザインが魅せる新たな存在感

FZ-X Hybridは見た目も一段と洗練された。ネオレトロをテーマに丸型ヘッドライトや力強いフューエルタンク造形を継承しながら、最新のLED照明や鮮やかなカラーリングを採用。特にハイブリッド専用カラーであるマットチタンとゴールドホイールの組み合わせは、都会的かつ少しクラシカルな気配を放つ。大径17インチのアルミホイールは細部までマシニング加工され、光の当たり方で表情を変える。

そのルックスは単なるコミューターに収まらない独自の存在感があり、カフェに停めて眺めたくなる趣がある。ヘッドライトカウルやメーター回り、シートデザインに至るまでヤマハが丹念に作り込んだ結果であり、細かいディテールが所有欲を強く刺激する。

日常を格上げする次世代150ccの選択肢

Yamaha FZ-X Hybridは、単なる環境性能や燃費向上のためのハイブリッドバイクではない。停車・発進が多い都市での使いやすさや、エンジンとモーターの協調による滑らかな加速、そしてY-Connectによるデジタル管理を通して、これまでのバイク生活をワンランク上へと導く。週末のショートツーリングにも頼れるし、日常の足としても申し分ない。

なにより“レトロで新しい”その個性が、単なる移動手段ではなく、ライフスタイルを一歩上質にするガジェットとして存在するのが最大の魅力だろう。次世代の150ccを体現するこのバイクが、今後どこまでライダーに支持されるのか、大いに楽しみだ。

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