通勤からロングツーリングまで余裕でこなせる万能野郎。|トライアンフ・タイガー 900GT PRO

今やツアラーの代表的存在になっているのが冒険心を駆り立てられるアドベンチャー系のモデル。タイガーと言うネーミングは1936年に登場した単気筒モデルが初代だが、同社お得意の3気筒エンジンを搭載する現モデルは2010年に初代、2代目が2017年に登場後早くも2018年に大幅刷新されて話題を呼んだ800がベース。今回の試乗車は、軽量化も含めて大胆なパフォーマンスアップを図り900として追加投入された最新の主力モデルである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)
取材協力●トライアンフ モーターサイクル ジャパン

※2020年7月23日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
アップフェンダーをイメージさせる、クチバシのようなフロントビュー。ヘッド&サブランプとウインカーも全てLED式。3ピースのクリアスクリーン等、なかなか個性的なデザインだ。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
φ45mmの倒立式フロントフォークはマルゾッキ製。細いスポークデザインのアルミキャストホイールにはメッツラー製TOURANCE NEXTを履く。フローティングマウントされたダブルディスクローターはφ320mm。ラジアルマウントされた対向4ピストン油圧キャリパーはブレンボ製だ。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
スチールパイプフレームに吊り下げられた水冷の直列3気筒エンジン。同800のボアアップバージョン、ショートストローク化と共に、排気量は888ccに拡大された。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
ボルトオンされたリヤフレームの跳ね上がりに添わせる様にデザインされた右出しのアップマフラーは3into 1のステンレス製だ。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
リヤサスペンションは、両持ちのアルミ鋳造合金製スイングアームと、ボトムリンク式モノショックの組み合わせ。ショックユニットはマルゾッキ製、プリロードと伸び側のダンピングを調節する電子調整機能が採用されている。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
4点でリジッドマウントされたシングルディスクローターはφ255mm。ブレンボ製シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーがマッチされている。マルチモードABSとコーナリングABSも搭載。 ご覧の通りメインスタンドも標準装備されている。
ブラックアウトされたパイプバーハンドルはテーパードタイプ。かなりしっかりしたナックルガードが標準装備されている。スクリーンも簡単に高さ調節できる。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
グリップヒーターも標準搭載。赤いホーンボタンの右側には十文字&プッシュ(決定)操作ができるジョイスティック。右上のシーソースイッチはオートクルーズコントロール用。その下がモードボタン、上がフォグランプスイッチ、その左はシートヒータースイッチだ。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
赤いシーソースイッチはエンジンキルスイッチと始動用セルスタータースイッチを兼ねる。下のグレースイッチはホームボタン、メーターディスプレイ内のメインメニューが呼び出せる。上の赤いのはハザードスイッチ。各スイッチにはイルミネーション(バックライト)がつく。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
7インチTFTマルチファンクションインストルメントは4通りの表示スタイルが選べる。四角いディスプレイの中で、様々な情報表示や電子制御のコントロールができる。デジタルのスピードメーターは文字が大きく見やすいが、表現デザインにこだわりのあるデジタルタコメーターは目盛りが細かく少し判読しにくかった。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
前後セパレートクッションが採用されたダブルシート。フロントクッションは取り付け位置を選ぶ事ができ、ハイ/ロー2段の切り替えが可能。シート高は低い方で810mmになる。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
シルバーのサブフレーム(シートレール)はボルトオンタイプ。前席下には車載工具、後席下にはフラットボックスを装備。シートヒーター付きなので、前後クッションそれぞれに電線が繋がれている。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
走行中、スマホを大切に保管できる親切装備がある。ボックスの蓋はワンプッシュで開けられる。もちろんUSB電源端子もあるので充電ができる。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
シート脇に12V電源が取れるアクセサリーソケットがある。DIN規格の端子で使用可能電流は5A。その左側(前方)にあるのは後席用キーロック。後方にはシートヒーターのスイッチがある。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
シンプルなフィニッシュを見せるテールまわり。テールランプはもちろん、クリアレンズのウインカーもLEDランプ式。グラブバーもしっかりしている。
トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
タンデムツーリングも快適そう。たっぷりと備えられたシートスペースが印象的。パニアケース等の搭載も考慮されている。

主要諸元

エンジン形式:水冷並列3気筒DOHC12バルブ
排気量:888cc
ボア・ストローク:78×61.9mm
圧縮比:11.27:1
最高出力:95.2PS(70kW)/8,750rpm
最大トルク:87Nm/7,250rpm
吸気システム:マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射
エグゾーストシステム:ステンレス製3 into 1ヘッダーシステム、サイドマウントステンレス製サイレンサー
駆動方式:Oリングチェーン
クラッチ:湿式多板
トランスミッション:6速
一次減速比:1,652(76/46)
二次減速比:3.125(50/16)
ギヤ比
 1速:2,615(34/13)
 2速:1,857(39/21)
 3速:1,500(36/24)
 4速:1,286(27/21)
 5速:1,107(31/28)
 6速:0,967(29/30)
フレーム:チューブラースチールフレーム、サブフレームにボルト付け
スイングアーム:両持ち式、鋳造アルミニウム合金
ホイール(前/後):キャストアロイ、19x2.5インチ/17x4.25インチ
タイヤ(前/後):100/90-19 /150/70R17
サスペンション(前/後): 
Marzocchi製φ45mm倒立フォーク、リバウンド&コンプレッション手動調整機能/ Marzocchi製リアサスペンションユニット、プリロード&リバウンド手動調整機能
トラベル量(前/後):180 mm(低車高バージョンは140mm)/170 mm(低車高バージョンは151mm)
ブレーキ(前/後):
φ320mmツインフローティングディスク、Brembo製Stylema 4ピストンモノブロックキャリパー。
ラジアルフロントマスターシリンダー、マルチモードABS、コーナリングABS/ φ255mmシングルディスク、
Brembo製シングルピストンスライディングキャリパー、マルチモードABS、コーナリングABS
全幅:930mm
全高:1,410~1,460mm (除くミラー)
シート高:810〜830mm
ホイールベース:1,556mm
キャスター:24.6 º
トレール:104mm
車両重量(乾燥):222kg (198kg)
燃料タンク容量:20L

試乗後の一言!

トライアンフ・タイガー 900 GT PRO
正直、気に入りました。購入時に真っ向ライバルとなるのは、ヤマハ・TRACER 900GTだろう。かなり悩まされてしまうが、それも含めて楽しみな1台です。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…