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クライトン・モーターサイクル CR700W……8万5000ポンド(約1300万円)
クライトン・モーターサイクルは、かつてレーサーとしても活躍し、ロータリーエンジンを積んだ「ノートン RCW588」を開発したブライアン・クライトン氏が代表を務めるイギリスの新進バイクメーカー。
ブライアン・クライトン氏はノートンを退職後の2009年、ロータリーエンジンを手掛けるロートンパワー社とパートナーシップを結び、クライトン・モーターサイクルを設立。現在、73歳になる氏の情熱の結晶とも言うべきモデルが、写真のCR700W。同車はロートンパワー社の英国ウィルトシャー工場において、手作業により25台限定生産される。
乾燥重量は129.5kg、最高出力は220hp。パワーウェイトレシオは驚異の1.68hp/kg
水冷4ストローク並列2ローターエンジンは、排気量690ccに設定。エンジンは部品点数を減らし、可動部品を3つだけにしたシンプルな設計。クランクケースは高強度のLM24アルミニウム合金で鋳造され、社内で機械加工。すべてのエンジン摩耗面は、軽量・低摩擦・高耐摩耗性を確保するため、高性能チューニングエンジンでは定番である、モリブデンとニカジルでメッキ加工済み。
エンジンのドライブシャフトは、極低温で安定化されたEN36鋼合金より製造。燃焼シール箇所には、超低摩擦のツーピース窒化シリコーンセラミックアペックスシール加工済み。この超低密度&高硬度のシーリング加工により、ほぼゼロの摩耗特性を獲得。既存のロータリーエンジンの中でも、最高のパフォーマンスを提供している。
CR700Wは排気量690ccのミドル級モデルながら、最大出力は220hp/10500rpmを発揮。なお、1リットルあたりの出力は319hp。F1マシン「フェラーリ F2004」は1リットルあたり309hpで、最新のMotoGPマシンは300hp。このようにCR700Wは、驚異的な出力を獲得している。
もう1つのポイントは、690ccというミドル級の排気量ながら、最大トルクはリッターバイクに匹敵する14.5kgm/9500rpmという高い数値を発揮していること。非常に力強いトルク特性を発揮し、振動も極めて小さく抑えられているのが特徴。
さらに驚きなのが、軽量な車体重量。極限までコンパクトされたロータリーエンジンは、単体重量を24kgまで軽量化(ノバ製6速ミッションやクラッチなどを含めて46kg)。これにより、乾燥重量を129.5kgまで抑制し、スーパーバイクを上回る1.68hp/kgというパワーウェイトレシオを実現した。
ダイマグのカーボンホイールなど足周りも超豪華
ピポット位置やステアリングヘッド角の調整機構を備えたフレームは、軽量かつ剛性の高いアルミ製。リアショックはモノショックタイプとし、軽量なアルミスイングアームを組み合わせ。前後サスペンションは、オーリンズもしくはビチューボから選択可能だ。
前後ホイールはダイマグのカーボン製とし、バネ下重量を低減。前後のブレーキキャリパーはレーシングモデルの定番であるブレンボ製をチョイス。
クライトン・モーターサイクル代表のブライアン・クライトンは、「CR700Wは私のキャリアをすべて凝縮させた1台。究極のロード用レーシングモデルである」とコメント。また、テスト走行を担当した元レーシングライダーのメイソン・ローは、「CR700Wの加速は凄まじく、まるでF35ジェット戦闘機で空母の滑走路を走る気分」と語った。
F1マシンやMotoGPマシンを超える、超ハイパワーなロータリーエンジンに加え、超豪華な外装や足周り。これで約1300万円ならば、筆者的には超お買い得だという感想(残念ながら筆者は高額過ぎて買えませんが……)。詳細は下記の公式HPを参照!
クライトン・モーターサイクル CR700W 主要諸元
全長×全幅×全高:2,040mm×470mm×1,151mm ホイールベース:1,440mm シート高:810mm 車両重量:129.5kg エンジン形式:水冷4スト並列2ローター 総排気量:690cc 最高出力:220hp/10,500rpm 最大トルク:14.5kgf・m/9,500rpm 変速機形式:ノバ製6速リターン 前サスペンション:オーリンズ製またはBitubo製スーパーバイクスペック 後サスペンション:オーリンズ製またはBitubo製特殊ロングストロークユニット 前後ブレーキ:ブレンボ製スーパーバイクモノブロックスペックキャリパー 前後ホイール:ダイマグ製カーボン 前後タイヤ:ミシュラン製スーパーバイクスペックスリック 公式HP:https://www.crightonmotorcycles.com/