カワサキ・Z H2試乗|200馬力×スーパーチャージドエンジンの組み合わせ=意外と紳士的。

ズバリH2 SXのネイキッドモデルである。その名も“Z H2”! カワサキブランドを象徴する「Z」の称号と、誰もが認める世界最強最速マシン「H2」のパワーユニットを融合して誕生。2020年4月4日に新発売された。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン

※2020年6月4日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

ヘッドランプとメーターがカバーリングされたフロントマスクが個性的。左側(写真右側)にあるグリーンメッシュは、空気導入ダクトの先端である。
内部構造にビッグピストンを採用したSHOWA製のSFF-BPの倒立式フロントフォークを採用。ラジアルマウントされた油圧ブレーキキャリパーは鋳造アルミブロックから削り出されたブレンボ製M4.32高剛性モノブロックタイプだ。
エンジン性能曲線図によると、約8,000rpm以下の全ての領域でH2 SXよりも高トルクを発揮。φ69mmの過給機は、鍛造アルミニウムブロックから超精密に削り出された12枚のブレードで構成されている。エンジン各部は耐熱対策が徹底された。
エンジン真下のキャタライザーを経て右側に出されたアップマフラーはボリューム感たっぷり。
スイングアーム取り付けプレートをエンジン背後に締結。各剛性バランスとフレームの高剛性化にも貢献。スイングアームはZX-10RRで培われた技術がフィードバックされている。リヤサスペンションはリンク式のニューユニトラック式。ショックユニットはSHOWA製が採用されている。
φ260mmの固定式シングルディスクローターにはNISSIN製シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーを装備。タイヤはピレリ製DIABLO ROSSOIIIを履く。
タンクデザインは両側へのエラ張りが目立つ。同時にワイドなフレームワークも印象的。少しアップしたパイプバーハンドルはブラックアウトされている。
多彩なコントローを担うハンドル左側スイッチ。ご覧の通りクルーズコントロールも装備されている。ディマーやパッシングは向こう側に隠れた位置にあるスイッチを人差し指で操作。
ハンドル右側のスイッチはふたつだけ。上のスライドスイッチはエンジンキルスイッチと始動用セルスタータースイッチを兼ねる。SELECTスイッチは、車両設定画面を呼び出しモード変更ができる。
フルカラー大型TFT液晶モニターを採用したマルチインフォメーションメーター。輝度が自動調光される他、白黒反転画面も選べる。最新のスマートフォン接続機能も装備されている。
セパレートクッションを採用した段差のあるダブルシート。後席左脇カウル部にあるキーロックを解錠するとリヤクッションを取り外す事ができる。
グリーンのフレームの中に半分潜り込むようにセットされているETC機器は標準装備である。左側ピリオンステップステーにはヘルメットホルダーも装備。
クリアレンズを採用したLED式のテール&ストップランプはZの文字がデザインされている。
左側のフロントフォークトップエンドには二つの調節ネジがあり、伸び側圧側がそれぞれ独立してダンパー調節できる。
フロントフォークの右側はトップエンドでプリロード調節ができる。
ワイドな骨格と同じくボリュームのあるフロントまわりが印象的。ステップ幅も意外と広めである。

主要諸元

型式:2BL-ZRT00K
全長×全幅×全高:2,085mm×810mm×1,130mm
軸間距離:1,455mm
最低地上高:140mm
シート高:830mm
キャスター/トレール:24.9°/104mm

エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ
総排気量:998cm³
内径×行程/圧縮比76.0mm×55.0mm/11.2:1
最高出力:147kW(200PS)/11,000rpm
最大トルク:137N・m(14.0kgf・m)/8,500rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:4.7L
燃料供給方式:フューエルインジェクション

クラッチ形式:湿式多板
トランスミッション形式常噛:6段リターン
ギヤ・レシオ:
 1速…3.076(40/13)
 2速…2.470(42/17)
 3速…2.045(45/22)
 4速…1.727(38/22)
 5速…1.523(32/21)
 6速…1.347(31/23)
一次減速比/二次減速比:1.480(74/50) / 2.555(46/18)
フレーム形式:トレリス
懸架方式(前/後):テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)/スイングアーム(ニューユニトラック)
ホイールトラベル(前/後):120mm/134mm
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR17M/C(58W)/190/55ZR17M/C(75W)
ホイールサイズ(前/後):17M/C×MT3.50/17M/C×MT6.00
ブレーキ形式(前/後):デュアルディスク320mm(外径)/シングルディスク260mm(外径)
ステアリングアングル(左/右):29°/ 29°
車両重量:240kg
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量:19L
乗車定員:2名
燃料消費率(km/L):22.5km/L(60km/h・定地燃費値、2名乗車)
           16.9km/L(WMTCモード値、1名乗車)
最小回転半径:3.3m

ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…