BMWには珍しい並列2気筒エンジンを搭載。BMW・C650 Sport試乗

2012年に登場したメガスクーター、C600 SportはBMWが手掛けただけに、機能、デザインともに極上の完成度を誇った。今回は、その後継にあたる「C650 Sport」に徹底試乗。スポーツマインドをくすぐる高回転型エンジンに徹底したマスの集中化、独自のユーティリティなどBMWらしさを追求した至高のコミューターの素性やいかに!?

REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO/EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)

※2020年5月24日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

ヘッドライトはH7規格のハロゲンバルブを使用。右が常時点灯のロービーム、左がハイビームで、上部にはポジションランプを備える。ポジションランプはキーオフ後でも 30秒は消えずに周囲を照らしてくれる。LEDのフロントウインカーはボディカウルにマウント。

スクリーンは手動で3段階調整が可能。スクリュー式の固定ボルトを緩めてスクリーンの位置をずらして再度固定する仕組みで、グローブをしたままでも操作しやすい。


モデルチェンジでよりシャープなデザインとなったテール周り。テール&ブレーキランプ、ウインカーはLEDで、ナンバー灯のみ電球を使用する。

ハンドルはやや幅が狭く、遠い位置にあるので低く構えられる。日本仕様はグリップヒーターを標準装備しているのが嬉しい。
指針式のスピードメーターとデジタルディスプレイのコンビ。回転計の他に平均速度、オイルレベル、外気温、平均燃費、瞬間燃費、時計等を装備。メーター周辺やフロント周りの樹脂パーツに高級感があるのも特徴だ。


マルチディスプレイの操作や情報呼び出しは左のスイッチボックス操作で行う。

左側小物入れはステアリングロックに連動して施錠する仕組み。内部にはバッテリーに直結したシガーソケットが装備され、スマートフォンなどの充電が可能。右側は左に比べてコンパクトでロック機構はない。なおETC2.0を標準装備する。
シート下の荷室内にLED照明があり、キーオフ後でも30秒間照らしてくれる。また、シートはダンパーで開けたまま固定できるから夜間の荷物の出し入れもラクチン! 収納スペース内のロックレバーを操作すると「フレックスケース」と呼ばれる、折りたたみ式の拡張スペースが現れてヘルメットが2個収納できるようになる。この拡張スペースを下ろしている間はエンジン始動不可。あくまで停車中に使用するスペースだ。
給油はメインキーの操作で給油口リッドを開閉するシンプルな機構。スチール製燃料タンクはライダー乗車位置の真下に配置され、低重心化とマスの集中化に貢献。容量は約15.5Lと、このクラスのスクーターでは若干多め。
タンデムシートのヒータースイッチはシート右側に配置。なお、ライダー側のシートヒータースイッチはハンドルの右スイッチボックスに配置される。
Φ270mmダブルディスクと2ポットフローティングキャリパーの制動力はヘビーな車体をしっかりと受け止める! もちろんABSも標準装備。フロントフォークは倒立式のφ40mmテレスコピック式。右側のフォークには、スプリングとダンパーユニットが内蔵され、左側はスプリングのみとなっている。
リヤサスペンションはスイングアームと水平に設置されたモノショック式。スクーターはシート下収納スペース確保のため、ショックユニットをスイングアーム最後部に配置することが多いが、C650 Sportがマスの集中化をはかっているのがよくわかるレイアウトだ。ダンピングの調整機能はなく、車載工具を用いて7段階のプリロード調整ができる。
こちらはオプションのキャリア兼トップケースホルダー。シート下収納があるだけで便利だが、日常使いやツーリングなどでの使い勝手を高めるキャリアはぜひ欲しい! 違和感の無いデザインと剛性の高い作りはさすがメーカー純正だ。
センタースタンドは先代モデルから設計を見直し、このクラスの車両としては驚くほど軽くかけられるようになっている。また、サイドスタンドをかけるとリヤタイヤがロックする設計で、パーキングブレーキも兼ねる。

主要諸元

■車体寸法・重量
全長:2,180 mm
全幅(ミラーを除く):775 mm
全高(ミラーを除く):1,480 mm
シート高:810 mm
インナーレッグ曲線、空車時:1,830 mm
車両重量:249 kg
燃料タンク容量:15.5 L (リザーブ約3 L)

■エンジン
エンジン型式:水冷4ストロークDOHC並列2気筒4バルブ
ボア×ストローク:79 mm x 66 mm
排気量:647 cc
最高出力:44 kW(60PS)/ 7,500 rpm
最大トルク:63 Nm / 6,000 rpm
圧縮比:11.6:1
点火/噴射制御:電子制御マネージメントシステム(BMS-KP)、燃料カットオフ機能付

エミッション制御:三元触媒コンバーター、排ガス基準EU4をクリア
燃料消費率(WMTCモード値クラス3 ※1名乗車時):21.7 km/L
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン

■電装係
オルタネーター:508 W
バッテリー:12V / 14Ah(メンテナンスフリー)

■パワートランスミッション
クラッチ:遠心クラッチ
ミッション: CVT(コンティニュアスリーバリブルトランスミッション)
駆動方式:チェーン式

■車体・サスペンション
フレーム:スチールプロファイル製ブリッジパイプフレーム
フロントサスペンション:倒立式テレスコピックフォーク(40 mm径)
リヤサスペンション:アルミキャストシングルスイングアーム、サスペンションストラット
前後サスペンションストローク:115 mm
軸間距離:1,590 mm
キャスター:92 mm
ステアリングヘッド角度:64.6°
ホイール:アルミキャストホイール
ホイールサイズ:
 フロント:3.50 x 15"
 リヤ:4.50 x 15"
タイヤサイズ:
 フロント:120 / 70 R15
 リヤ:160 / 60 R15
ブレーキ:
 フロント:ダブルディスク、2ピストンフローティングキャリパー
 リヤ:固定式シングルディスク、2ピストンフローティングキャリバー
ABS: BMW Motorrad ABS

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著者プロフィール

川越 憲 近影

川越 憲

1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集者。現在…