BMW 最強のネイキッドスポーツ、S 1000 Rに試乗。なんだかヤマハMT-10の存在が気になってきたぞ。

BMWブランドは、スクーターを含めると7つのタイプに分けられ、全36機種ものバリエーションを揃えている。今回試乗したS 1000 Rは、“Roadster”のカテゴリーに属すスポーツネイキッド。“Sport”カテゴリーにあるS 1000 RR譲りのエンジンを搭載する、次元の高いハイパフォーマンスモデルなのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ビー・エム・ダブリュー 株式会社

ディテール解説

デイタイムランニングライトも含めてデザインされたLED式ヘッドランプ。オプション装備(プレミアム・ラインには標準装備)のヘッドライトProには最新のアダプティブタイプが採用される。

倒立式のフロントフォークはφ43mmのマルゾッキ製。フローティングマウントされたダブルディスクブレーキは、φ320mmのブレンボ製ローターに対向4ピストンの油圧キャリパーがラジアルマウントされている。

SportカテゴリーにあるスーパーバイクのS 1000 RRと基本的に同じ直(並)列4気筒エンジンを搭載。圧縮比は低く、ピークパワーがセーブされたが、それよりも大きな最大トルクを発揮する。

4本のエキゾーストパイプはクランクケース下部で集合した後、スイングアーム・ピボット下部のチャンバーを経て、右出し1本のAKRAPOVICのチタン製スポーツマフラーに導かれる。

ホールトラベルで117mmを稼ぎ出す、モノショックを中央配置したリヤサスペンション。アルミニウム製のダブルスイングアーム式。スプリングプリロード及び、伸び圧双方のダンピング調節ができる。

M鍛造ホイールには200/55扁平17インチサイズのダンロップ製SPORTSMARTを履く。リジッドマウントされたシングルローターはφ220mm。油圧キャリパーはシングルピストンのピンスライド式だ。

少し手前に絞られた一文字のパイプバーハンドルはテーパータイプ。メーターディスプレイは前方の低い位置にマウントされている。

9つもの機能が集約されたハンドル左側スイッチ。ベストポジションにある赤いホーンスイッチから順に上がウインカー、左上がメニュー、右上がダイナミックダンピングコントロール、上の赤いのはハザード、頂上にクルーズコントロール、向こう側はディマー&パッシング。グリップ側のダイヤルがマルチコントローラーだ。
ハンドル右側には縦に3個のスイッチが並んでいる。下の赤いのがエンジンキルスイッチ兼始動用のスタータースイッチ。その上は走行モードスイッチ。上端はグリップヒーター用のスイッチ。

写真はMパッケージに装備される上級タイプのメーターユニット。6.5インチサイズのTFTフルカラーディスプレイを搭載。表示デザインは3タイプから選択できる。冷機時、直ぐにエンジンを回し過ぎない様、レッドゾーンは低く表示されている。

シートクッションが前後で完全にセパレートされた段付きのダブルシート。リヤシートはキーロックを解錠すると脱着できる。中央に見える、上ヒンジ式の青いロックキャップを開き、車両キーを使用する。フロントのMスポーツシートはボルト固定式。

リヤシートの下には小さな収納スペースがあり、中にはETC 2.0が標準装備されている。カード挿入時には、少し引き出して取り扱う。
キーレスライドを可能にするスマートキー。脇には鍵が畳み込まれている。盗難防止アラーム等の無線コントロールもできる。 

スッキリとシャープなフィニッシュを魅せるテールビュー。LED式のテール&ストップランプは、クリアレンズを持つ左右ウインカーの中に組み込まれている。

主要諸元

エンジンタイプ:油冷/水冷4ストローク並列4気筒
動弁型式:DOHC 1気筒あたり4バルブ
ボア x ストローク(mm):80×49.7
排気量(cc):999
最高出力(kW/rpm):121(165PS)/ 11,000
最大トルク(Nm/rpm):114 / 9,250
圧縮比:12.5 : 1
点火 / 噴射制御:電子制御エンジンマネージメントシステム
エミッション制御:三元触媒コンバータ、排ガス基準EURO5をクリア
最高速度(km/h):200 以上
燃料消費率(km/L)WMTCモード値:16.12(1名乗車時)

燃料タンク容量(L):16.5(リザーブ容量約4L)
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
エンジンオイル容量(L):約4.0
オルタネーター(W):450
バッテリー:12V / 8Ah(メンテナンスフリー)

クラッチ:湿式多板(アンチホッピング、自己倍力機能付き)
ミッション:常時噛み合い式6速リターン
駆動方式:チェーン式
1次減速比 / 2次減速比:1.652(76/46)/ 2.647(17/45)
ギヤ比:
 1速:2.647(45/17)
 2速:2.091(46/22)
 3速:1.727(38/22)
 4速:1.476(31/21)
 5速:1.304(30/23)
 6速:1.167(28/24)

フレーム:アルミニウム製ブリッジタイプ
サスペンション(前 / 後):倒立式テレスコピック / アルミニウム製ダブルスイングアーム
サスペンションストローク(前 / 後mm):120 / 117

全長(mm):2,075
全幅(mm):815
全高(mm):1,050
軸距(mm):1,450
シート高(mm):830
車両重量(kg):199(Mパッケージ:194 / 燃料満タン国内届け出値:204kg)
トレール(mm):96
キャスター:24.2°
ホイール:アルミキャスト
リム(前 / 後):3.50-17 / 6.00-17
タイヤ(前 / 後):120/70 ZR-17 / 190(200)/55 ZR-17
ブレーキ(前 / 後):φ320mmダブルディスク / φ220mmシングルディスク
ABS:パーシャリーインテグラルブレーキ

試乗後の一言!

動力性能、価格、サイズ感も、真っ向ライバルはヤマハのMT-10!

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…