カワサキ最強ネイキッド「Z H2 SE」、200馬力でも案外リラックスして乗れる。

カワサキのフラッグシップと伝統のブランドネームが融合したZ H2は2020年4月に新発売されZシリーズの最上級モデルとして君臨。それから1年の時を経て最新のハイテクを導入した上級仕様の同SEが追加投入された。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン

ディテール解説

眼光鋭いヘッドランプ。フロントマスク周辺のカウル・デザインは、なかなか凄みのある雰囲気を醸し出す。非対称デザインとして設けられたエアインテークダクトも印象深い。
φ43mmの倒立式フロントフォークは、セミアクティブのSHOWA製電子制御サスペンション(KECS)を採用。ちなみにZ H2はSFF-BPを装備。ダブルディスクブレーキはφ320mmフローティングローターに、油圧キャリパーはブレンボ製対向4ピストンタイプをラジアルマウント。
1Lで200psを発揮するスーパーチャージドエンジン。世界最強レベルのハイポテンシャルは期待以上。フレーム脇に有るフレームスライダーはオプション装着品だ。
右サイド1本に集合するアップマフラーには大型触媒を搭載。排気チャンバーを廃し、エキゾーストパイプ集合部の長い設計も相まってEURO 5排気ガス規制をクリアしている。
ニューユニトラック式のリヤサスペンションは、ホイールトラベルで134mmのストロークを稼ぎ出している。SHOWA製スカイフックEERA(電子制御ライドアジャスト)により減衰力は常に最適化される。
リヤブレーキローターはφ260mm。油圧ブレーキキャリパーはNISSIN製のシングルピストン・ピンスライド式が採用されている。装着タイヤはピレリ製DIABLO ROSSO Ⅲ。
ブラックアウトされたハンドルパイプはテーパードタイプ。ミラーステーの色が異なっているのは、SEにはブレンボ製マスターシリンダーが奢られているから。
親指と人差し指で操作する基本スイッチは扱いやすい。その中間にあるのはライディグモードやメーター表示がコントロールできる。右側はオートクルーズ、下はリセット、そして黒いのがハザードスイッチ。
上はエンジンキル及びエンジン始動用スタータースイッチ。下のSELECTスイッチはメーター表示切り替えを担う。
フルデジタルのTFTカラー液晶スクリーンを採用したメーター。表示モードは2タイプから選択可能。イルミネーションは自動調光され、白黒反転表示もできる。スマホ接続機能がある他、多彩な情報表示ができる。
レーサーレプリカ系デザインを彷彿とさせる前後セパレートシート。オプションながら前後共にコンフォートシートも揃えられている。
前後共にシートクッションは脱着式。キーの解錠で後ろから先に取り外す。前席下にはバッテリー、後席下にはETC2.0車載器を搭載している。
クリアレンズの採用で統一されたリヤビュー。灯火類は全てLED式。シートクッション脇がライムグリーンで鮮やか。
タンクから前方のヘッドランプ周辺もワイドなデザインでかなりボリューム感があるが、乗車位置はしっかりとくびれている。

■主要諸元■

車名(通称名):Z H2 SE (Z H2)
型式:2BL-ZRT00K
全長×全幅×全高(mm):2,085×815(810)×1,130
軸間距離(mm):1,455
最低地上高(mm):140
シート高(mm):830
キャスター(度):24.9
トレール(mm):104

エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒
弁方式:DOHC 4バルブ
総排気量(cm³):998
内径×行程(mm):76.0×55.0
圧縮比:11.2:1
最高出力(kW/rpm):147(200PS)/11,000
最大トルク(N・m/rpm):137(14.0kgf・m)/8,500
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:4.7L
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ:
  1速  3.076(40/13)
  2速  2.470(42/17)
  3速  2.045(45/22)
  4速  1.727(38/22)
  5速  1.523(32/21)
  6速  1.347(31/23)
一次減速比 /二次減速比:1.480(74/50) / 2.555(46/18)

フレーム形式:トレリス
懸架方式(前/後):テレスコピック(倒立・インナーチューブ φ43mm)/スイングアーム(ニューユニトラック)
ホイールトラベル(前/後mm):120 /134
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR17M/C (58W) /190/55ZR17M/C (75W)
ホイールサイズ(前/後):17M/C×MT3.50 /17M/C×MT6.00
ブレーキ形式(前/後):デュアルディスク φ320mm/シングルディスク φ260mm
ステアリングアングル(左/右):29°/ 29°
車両重量(kg):241(240)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量(L):19
乗車定員:2名
燃料消費率(km/L):22.5 (60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
WMTCモード値(km/L):16.9 (1名乗車時)
最小回転半径(m):3.3

●試乗後の一言!

オーナーとして、最強ネイキッドに乗る満足感は半端ないと思う。普段使いも適応する気軽な乗り味にも感心させられた。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…