【207馬力】街で不要の超絶スペック、BMW・S1000RRで市街地&郊外をインプレッション。

11年前にセンセーショナルなデビューを飾ったBMW・S1000RR。熟成に熟成を重ねて2019年にフルモデルチェンジを決行。5代目となった当モデルは多方面からの評判がすこぶる高い。そのスーパースポーツを長年BMWに親しんできたライダーが満を持して試乗レポート! とは言っても公道オンリーなので普段使いでの情報としてお役立てくださいませ!!

REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)

※2020年5月20日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や仕様、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ディテール解説

BMW・S1000RR
4ピストンのラジアルマウントキャリパーはHAYES(ヘイズ)製を採用。φ320mmダブルディスクとの組み合わせは申し分なしのストッピングパワーを発揮!
BMW・S1000RR

Mパッケージモデルは専用の“Mカーボンホイール”を装備する。車重はもちろん、バネ下重量の軽減にも大きく貢献。

BMW・S1000RR
リヤブレーキはφ220mmシングルディスクと、ブレンボ製1ポットフローティングキャリパーのコンビ。フロントと同じくリヤホイールもカーボン製だ。
BMW・S1000RR
フロントマスクは先代までのアシンメトリー形状から、左右対称型のデザインとなった。ヘッドライトはLED化とともに小型化され、ウインカーがミラー一体型となったため、よりソリッドな顔つきに! ちなみにウインカーにはオートキャンセラーが追加されている。
BMW・S1000RR
ナンバープレートホルダーにLEDウインカーを配置。テールランプはLEDウインカー内に収められ、リヤビューがさらに先鋭化された。ウインカーとテールランプを一体化することで、サーキットでの保安部品の着脱が大幅に簡略化された。
BMW・S1000RR
BMW・S1000RR

倒立式のテレスコピック式フォークは先代のザックス製からマルゾッキ製に変更。太さはφ46mm→φ45mmへと細身になった。左側フロントフォークの電子制御システム「DDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール)」が伸び側・縮み側も調整し、速度や路面状況に応じて最適な車体姿勢を作り出す。右側フロントフォークはスプリングを内蔵したセパレート方式でプリロード調整も右側のみで行う。

BMW・S1000RR
フロントと同じく電子制御システム「DDC」が伸び側・縮み側のダンピングを調整。エンジンの熱の影響を受けにくくするため、ボトムリンク式からアッパーリンク式に変更された。ストローク量を増やしつつスプリングレートを低めに設定することで、しなやかで初期動作から理想的な減衰圧を生み出せるようになった。
BMW・S1000RR
新たに可変バルブ機構「BMW Shift Cam(シフトカム)」を搭載しながら、車両重量は約4kgの軽量化に成功! 排気量やボア×ストロークは先代と同じだが、最高出力は199ps→207psへ8psアップ。最大トルクは先代と同じ113Nmだが、発生回転数を1万500rpm→1万1000rpmへと微変動してトルクカーブを適正化している。
BMW・S1000RR
シフトペダルにはshiftアシストコントロール機構を装備。クラッチは発進時と停止時以外に使用することなく、いたって普通に走ることが可能だ。シーソータイプのリンクになり、簡単に逆チェンジに変更できるようになった。
BMW・S1000RR
ハンドルは先代モデルから絞り角が緩やかになり、さらに幅広となった。キーレス仕様ではないので、中央からすこし左にずらした位置にメインキーシリンダーを配置している。
BMW・S1000RR
メーターは他の新型モデルと同様に6.5インチのTFTディスプレイとなり、画面を切り替えることで表示される情報量が格段に増えた。回転計はエンジンのコンディションでレッドゾーンが変化する。
BMW・S1000RR

各種モードの切り替えやクルーズコントロールなどは、左スイッチボックスに集中させている。ジョグダイヤル式のマルチコントローラーを使用して、メーターのTFTディスプレイに表示される画面上で調整する。標準装備のエンジン出力モード「ライディングモードPro」は「レイン」、「ロード」、「ダイナミック」、「レース」の4モードがあり、ABSプロ、トラクション/ウィリーコントロール(DTC)、エンジンブレーキコントロールなど、それぞれのモードに合わせた最適な設定で作動。さらにオプションで「レースプロ」モードが3種追加される。

BMW・S1000RR


MパッケージにはMマークの入った特別仕様のシートが装着される。スタンダードより表皮が滑りにくく、クッションは硬質で、よりスポーツライディングに適した作り。タンデムシート下は小物入れスペースがあるが、標準装備のETC2.0車載器が装着されているので余分なモノが入る余裕はあまりない。

BMW・S1000RR

主要諸元

■車体寸法・重量
全長:2,070 mm
全幅(ミラーを除く):740 mm
全高(ミラーを除く):1,160 mm
シート高:824 mm
インナーレッグ曲線:1,827 mm
車両重量:200 kg (Mパッケージは196.5 kg)
燃料タンク容量:16.5 L(リザーブ約4L)

■エンジン
エンジン型式:水冷並列4気筒4ストロークエンジン4バルブ(チタン製)
ボア×ストローク:80 mm x 49.7 mm
排気量:999 cc
最高出力:152 kW (207 hp) / 13,500 rpm
最大トルク:113 Nm / 11,000 rpm
圧縮比:13.3:1
点火/噴射制御:電子制御インジェクション、可変インテークパイプ長
エミッション制御:クローズドループ制御式触媒コンバーター(EURO4排ガス規制適合)
最高速度:305 km/h
燃料消費率(WMTCモード値クラス3 ※1名乗車時):15.62km/L
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン

■電装係
オルタネータ:450 W
バッテリー:12V / 8Ah(メンテナンスフリー)

■パワートランスミッション
クラッチ:湿式多板(アンチホッピング)
ミッション:6速
駆動方式:チェーン式

■車体・サスペンション
フレーム:アルミ合金製ブリッジフレーム
フロントサスペンション:倒立式テレスコピックフォーク(45mm径)、調整式スプリングプリロード、調整式リバウンド/圧縮ダンピング
リヤサスペンション:アルミニウム製ビームスイングアーム、フル フロート Pro、センタースプリングストラット、調整式リバウンド/圧縮ダンピング、プリロード調整機能付き
サスペンサスペンションストローク(フロント/リヤ):120mm/117 mm
軸間距離:1,440 mm
キャスター距離(トレール):93.9 mm
ステアリングヘッド角度:66.9°
ホイールアルミキャストホイール(Mパッケージはカーボンホイール)
ホイールサイズ:
 フロント3.50 - 17"
 リヤ:6.00 - 17"
タイヤサイズ:
 フロント:120/70 ZR 17
 リヤ:190/55 ZR 17(Mパッケージは200/55 ZR 17)
ブレーキ:
 フロント:ツインディスクブレーキ、直径320mm、ラジアル4ピストン固定式キャリパー
 リヤ:シングルディスクブレーキ、直径220mm、1ピストンフローティングキャリパー
ABS:BMW Motorrad Race ABS 、パーシャリーインテグラル

ライダープロフィール

BMW・S1000RR
川越憲

川越 憲

1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集。
現在所有するバイクはBMW R1150GS・BUELL XB9SX・TZR250(1KT)・NSR250R(MC18)etc.。
趣味は草野球、バレーボール、映画鑑賞(16mm映写技師免許所持)。

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著者プロフィール

川越 憲 近影

川越 憲

1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集者。現在…