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プジョー・シティスター125RS ABS…….548,900円
プジョー・シティスター125 スマートモーション…….482,900円
シティスター125は前後に13インチのホイールを採用した本格的サイズのスクーター。ホンダPCXやヤマハNMAXと似たカテゴリーに属す。しかしそれらと決定的に異なっているのはステップスルーのフラットフロアを持っている事だ。
プレスリリースによれば「ダイナミックな走りで日常の移動に彩りを添える、GTスクーター」と記されている。
車格的にも125cc クラスとしては立派。写真からもわかる通りそれなりのボリューム感がある。車体寸法はPCXやNMAXより一回り大きめ。ホイールベースで3車比較すると前後14インチを履くPCXは1315mm。前後13インチホイールのNMAXは1350mm。そしてシティスターは1430mm。車重もPCXの130kgとNMAXの128
kgに対しシティスターRS ABSは150kgある。
搭載エンジンは専用新開発された“Power Motion”と呼ばれる物でフリクションロスの低減化が徹底されている。水冷4バルブSOHC単気筒。ボア・ストロークが57×48.9mmというショートストロークタイプの125cc。
一方ベーシックモデルのスマートモーションはスピードファイト125と共通する水冷2バルブのSOHC単気筒エンジンを搭載。こちらはボア・ストロークが52.4×57.8mmというロングストロークタイプである。車体関係は基本的に共通だが、車重は143kgと少し軽く、価格も50万円を切る。
そしてもうひとつ、試乗車のRS ABSと同価格で、BLACK EDITION ABSも選択可能。マフラーまでブラックアウトされた艶消しカラーがオシャレ。日常的コミューターながらも少しプレミアムな仕上がりと本格派スクーターとしての乗り心地に独自の魅力が期待できそうである。
平日も休日も快適にフル活用できる
試乗車を受け取ると、125ccとしては十分に立派な車格感を覚え、取りまわし(扱い)もずっしりと重みがある。スズキバーグマン200 に迫るレベルを感じるが、それよりはいくらかコンパクトだ。ただ、シート高は795 mmと腰高で、ライディングポジション的にその乗り味はオーソドックスな印象である。
13インチ以上のサイズのホイールが組まれたスクーターの多くはスポーツスクーター的なコンセプトを加味したモデルが多い。足元中央にアンダーボーンの張り出しが目立ち、フットボードは左右にセパレートされているタイプだ。
その点フラットフロアのシティスターは、乗車感もシートに腰掛けて楽な気持ちで走るのに相応しい。コミューターとしての通勤用途に合うだけではなく、乗り味にも適度な落ち着きがある。ソフトなリアクションを発揮するサスペンション等、総合的な仕上がりは“GT”と呼ぶに相応しい雰囲気もあって快適。何より乗降性がスムーズで使い勝手が良いのである。
スクーターに何を求めるのか、好みや価値観は正に人それぞれだが、スクーターを利便性の高い移動道具と割り切るユーザーにとっては、平日も休日もフル活用できる絶妙の出来ばえが印象深い。
全体にドッシリと落ち着いた乗り味や軽快な操縦性。しっかりとストロークを駆使して路面の衝撃を吸収するサスペンションと座り心地の良いシート。そして左手だけで簡単に強力制動できる前後連動ブレーキも秀逸。ゆったりと余裕を感じさせる乗り味は上級モデルに匹敵する。
市街地では加速も含めて5000rpm前後で十分に軽快なハイパフォーマンスを発揮。さらにスロットルをワイドオープンしてキビキビ走るとエンジンの回転域は7000rpm程度になり、MAXでも8500rpmぐらい。
125ならそれぐらい回っても不思議はないが、回転フィーリングはとてもスムーズで、騒音レベルも静か。どんな場面でも扱いやすく安心感も絶品な前後連動ブレーキも含め、快適かつ気楽にクルージングできる乗り味が好印象である。