KTM125DUKE試乗レポ|125ccなのに400ccクラスの立派な車格、標準装備のラジアルタイヤもなかなかイイ。

125ccの原付二種と言えば、軽くてコンパクトというイメージだが、KTM 125DUKEは一味違う。250DUKE、390DUKEといったミドルクラスと同じボディサイズの本格派モーターサイクルなのである。

REPORT●後藤 武(GOTO Takeshi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2020年4月2日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

KTM 125DUKE……524,600 円

「125ccの癖にずいぶんとゴージャスなバイクだな」というのがKTM 125デュークを見ての第一印象。実は初代の125デュークには散々乗ったものの2017年にフルモデルチェンジしてから試乗する機会がなかった。
 久しぶりに見た125デュークは、フレームが250,390と統一されたことで質感とインパクトは125ccクラスとは思えないほどに高くなった。見た目はまるっきりミドルクラスのようだ。。スイッチを入れた瞬間のメーターの動きにも感動。メカ好きの心をくすぐるデザインと動き方。小型免許で乗れるマシンとはとても思えないほど凝りまくった作りなのである。

ハンドリングと安定感もミドルクラス並

 このマシンの魅力はなんといっても車体と足回り。そしてそこから生まれるコーナーリング性能の素晴らしさだ。フレームがしっかりしていることに加えて前後のサスがしなやかに動く。おまけにタイヤにラジアルが奢られているから、安定感や接地感、グリップも125ccクラスのレベルを大きく超えている。
 小排気量のマシンは、軽快に走れる代わりにタイヤの接地感が掴みにくかったり、安定感がなくて攻めるのが今ひとつ不安だったりすることもあるのだけれど、125デュークの場合はそういったことがまったくない。上級マシン並に安心してバイクに体をあずけることができてしまう。
 ブレーキは車体が軽いからとても良く効くし扱いやすい。加えてABSの作動もきめ細やかで作動時のキックバックも少ないところも素晴らしい。

中速が気持ち良いエンジン

 エンジンを始動してみるとレスポンスが凄く良い。ただしこれ、エンジンにトルクがあるわけではなく、フライホイールマスが少ないから生み出されている鋭さ。だから走り出してみれば加速は加速が驚くほど良いというわけではない。125としてはまあまあ元気という感じ。低回転で走ってもそんなにかったるい感じはしないし、スムーズな回り方をするので、ストリートを走っていてストレスが溜まってしまうようなことはない。

 シュンシュンと気持ち良く回るから、つい高回転まで引っ張って走りたくなるのだけれど、このマシンの場合、引っ張り過ぎはあまり良くない。高回転で特にトルクが盛り上がるわけではなく、レブリミット付近ではダラッと回っていく感じなのだ。
 125のスポーツネイキッドというと、どうしても「上までブン回して……」というイメージがあるかもしれないが、デューク125は回転を上げてパワーを絞り出す特性ではない。7000rpmぐらいまでの回転域を使っていたほうがスムーズで気持ちよく走ることができる。小排気量の4ストは高回転型にしてしまうと、それこそ下がスカスカで乗りにくくなってしまうから これくらいが調度良いところなのだろう。

ハイエンドな小排気量マシン

 もしもミドルクラスやビックバイクから125に乗り換えるのであれば、125の性格を理解しておいたほうが良いだろう。軽量な車体とこの安定感のおかげでコーナーリングはとても楽しいのだが、パワーでマシンの姿勢やコーナーリング中の速度を積極的にコントロールできないし、加速が特に良いというわけではないから、キビキビ走りたいと思ってもどうしても限界がある。エンジンは回しきれるけれど、町中を走っていても常に全開に近くなるから、人によってはこれが疲れるという場合もあるだろう。これについてはデューク125というよりも125の4ストロークマシンに共通した点。
 つまり中大排気量のマシンとはライディングにおいて楽しむ点が違う。少ないパワーを、どうやって効率よく走るか、というのが小排気量の醍醐味なのである。その点を理解して125デュークを見てみれば、ライバル達を超える車体と足回りの出来はやはり魅力的。マシンと対話しながら走るという小排気量車の楽しみ方ができるモデルである。

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