このツアラーは上品です、乗りやすいです、DCTも秀逸です。|ホンダNT1100試乗

2022年2月9日、千葉県は南房総でホンダの報道試乗会が開催された。そこに登場したのは、EICMA 2021(ミラノショー)で初公開後12月17日に発表された注目のNT1100である。3月17日の発売に先駆け快晴の海岸線でプチツーリングを楽しんだ。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

ディテール解説

スッキリと仕上げられたフロントマスク・デザインからは先進的な雰囲気が漂う。ライン状に光るデイタイムランニングライトの上側がロービーム、下がハイビーム用のLED式ヘッドライトが組み込まれている。

倒立式フロントフォークはφ43mmのSHOWA(日立Astemo株式会社)製SFF-BP(Separate Function Fork-Big Piston)を採用。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはNISSIN(日立Astemo株式会社)製の対向4ピストン式。フローティングマウントされたダブルディスクはφ310mmを装着。

基本的にはCRF1100Lアフリカツインと共通の水冷OHC4バルブ直(並)列2気筒を搭載。動弁系は吸気側が直打式、排気側にはローラーロッカーアームを介すユニカム式が採用されている。

NT1100用に専用設計された右出しのアップマフラー。エンジン・シリンダーの前方に出された2本のエキゾーストパイプはクランクケース右下で集合している。CRF1100Lアフリカツインよりアップの傾斜は緩く、低い位置に設定されいる。

プロリンク式のリアサスペンション。モノショックのトップ左側にあるダイヤルを回すとプリロード調節ができる。強弱は約35段調節が可能。最弱の0を起点に右へ7クリック回したところが標準位置。

リヤブレーキは、φ256mmのリジッドローターに1ポットピンスライド式の油圧キャリパーを採用。写真ではマフラーに隠れている。下に見える機械式キャリパーはサイドブレーキ用。装着タイヤはメッツラーのROADTEC 01。

ラバーマウントされた黒いパイプバーハンドルはアルミテーパータイプ。フロントフォークトップエンドの左側でスプリングのプリロード調節ができる。(調節作業には車載工具に含まれるBFRアジャスターを使用する)

ハンドル左側には実に豊富なスイッチが並んでいる。左下から順にシフトダウンスイッチ、ウインカー、ホーン、右下はハザード。ディマーやパッシングは人差し指で扱う。残りの多くはディスプレイの切り替えやメニュー選択に使用。慣れるとモード切り替え等も簡単。
ハンドル右側スイッチの内側にあるのが、サイドブレーキレバー。スイッチは赤いのがエンジンキル及び始動用のスタータースイッチ。中段がDCTのコントロール。下はオートクルーズ用のスイッチ。人差し指で扱う右上にはファンクションスイッチがある。

2階建てデザインのインストルメントパネル。上は6.5インチサイズのインタッチパネル式TFTフルカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイを採用。Apple Car PlayやAndroid Autoにも対応。スマホやインカムとの連携(接続)利用ができる。メーター左に12V、右にUSBの電源ソケットが装備されている。

前後セパレートのダブルシート。厚みのあるクッションが採用されている。さらにオプションで専用アクセサリーのコンフォートシートも用意されている。
左脇のキー操作で脱着できるのは、後席のみ。中には車載工具等が余裕で収納されている。写真にあるETCも標準装備されている。

スッキリとスマートなフィニッシュと共に、しっかりと堅牢なイメージを醸すリヤキャリア。タンデム時のグラブバーやトップボックス装着にも対応している。

主要諸元

NT1100
車名・型式:ホンダ・8BL-SC84
全長(mm):2,240
全幅(mm):865
全高(mm):1,360(スクリーン最上位置1,525)
軸距(mm):1,535
最低地上高(mm):173
シート高(mm):820
車両重量(kg):248
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):30.5(60km/h)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(km/L):19.3〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):2.8

エンジン型式:SC84E
エンジン種類:水冷4ストロークOHC(ユニカム)4バルブ直列2気筒
総排気量(㎤):1,082
内径×行程(mm):92.0×81.4
圧縮比:10.1:1
最高出力(kW[PS]/rpm):75[102]/7,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):104[10.6]/6,250
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
バッテリー:YTZ14S [12V-11,2Ah(10HR)]
潤滑方式:圧送飛沫併用式
潤滑油量(L):5.2(交換時:4.0)
燃料タンク容量(L):20(無鉛レギュラーガソリン)
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:電子式6段変速(DCT)
変速比:
 1速  2.562
 2速  1.761
 3速  1.375
 4速  1.133
 5速  0.972
 6速  0.882
減速比(1次/2次):1.863/2,500
キャスター角(度):26゜30′
トレール量(mm):108
タイヤ(前/後):120/70ZR-17M/C(58W) / 180/55ZR-17M/C(73W)
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式 / スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式:セミダブルクレードル

試乗後の一言!

欲張りな私は、“なんでシートヒーターが無いの”?とは思ったが、快適な乗り味は文句無しの出来ばえ。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…