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カラーバリエーションは3種類
ホンダ・ADV150…….451,000円
発売を控える2月6日に報道関係者を対象にADV150の発表試乗会が木更津で開催された。会場には3機種のカラーバリエーション全てに加えてアクセサリー装着車も揃えられていた。技術説明会は、タフでアクティブなアドベンチャースタイルについて、そのデザインの解説から始まった。
開発のキーワードは「限界を超えていく都会の冒険者」。“URBAN EXPLORER”を掲げ、未来的で力強いデザインの中にアクティブな佇まいを披露していると言う。あくまで私見ながら、スクーターと言うと、単なる快適移動道具と割り切って考えてしまう筆者だが、ADV150は確かにバイクの様にエネルギッシュな雰囲気が漂って来る。
可動式のフロントスクリーンを備え、テーパードタイプのパイプバーハンドルをヘッドクランプに固定。地上高は高く、リヤにはディスクブレーキを装備する。
パワーユニットは基本的にPCX150と共通ながら、吸気管長を伸ばし、排気系ではキャタライザーの配置を最適化する等、吸排気系を専用チューニング。中低速域、つまりは実用域でのトルク特性をアップ。無段変速Vマチックの特性もそれに合わせて変更され、よりダイレクトなスロットルレスポンスが得られるように調教されたと言う。
そして何よりも特筆すべきは、前後サスペンションのストロークが大幅に向上している点にある。セリアーニタイプの正立式フロントフォークは130mmと言うクラス最長のストロークを稼ぎ、SHOWA製別体タンク付き2本ショックには3段レートスプリングを装備。ユニットスイング式リアサスペンションも120mmのストロークを誇る。
ちなみにPCXのストロークは前後共に100mmだから、2~3割りの向上を果たしているわけだ。
前後タイヤもブロックパターンのチューブレスを専用開発。IRC製TRAIL WINNER GP-212を履く。サイズもPCXと比較すると10mmワイドトレッド化された。後輪は外径寸法を共通としながら13インチに変更。タイヤの空気容量が増えることでクッション性向上も期待できる。
メットインのシート下収納やイージーライディングできる操作性はスクーターと何ら変わらない中に、オフロードテーストとの融合でどこかアクティブな楽しみが加えられている点が印象的である。
生き生きと積極的に走りを楽しんで見たくなる。
先ずは見晴らしの良い目線位置の高い乗り味が印象的。シートに腰を下ろす感じではなく、あくまで跨がるイメージ。足つき性は両足べったりでは無かったが特に不安は覚えない。ただ、スクーター(特に国産の)だと座ったまま楽に足を地面に着く感じで扱うが、ADVでは姿勢を正し(背筋を伸ばし)てきっちりと足を着く感じになった。
目に見える景色の違いと、ちょっと気分の引き締まるそんな乗り味に一般的なスクーターとは異なる新鮮な感覚を覚えた。
実際、多彩な情報表示を担うメーターにも俄然興味を覚える。普通のスクーターなら時計に目が行く程度だが、ADV150では外気温や平均燃費、瞬間燃費にも興味が沸いてしまう。 ややワイドなバーハンドルを握り、フートボードの前方に足を突っ張ると、腰はシート段差にピタリと当たり下半身のホールドが効き身体が安定させられる。ついでに両足の踝で車体を挟むとよりアクティブな走りも難なくこなせるようになるから、ついつい走りを楽しんでしまいたくなるのである。
なるほど試乗前の技説で伺った「都会の冒険者」とはこう言うことなのか、と勝手に納得してしまった。
確かにスロットルレスポンスは元気良い。路面のギャップに対する衝撃吸収能力もレベルアップしている。バネ下がうろたえる程暴れても、ライダーに伝わる振動や衝撃はかなり緩和されていて乗り心地も良い。
しかしそれ以上にライダーが積極的に操縦して走ろうとする気持ちの変化が大きいのである。単なる移動道具としてスクーター任せで快適な時間を過ごすのと、ライダーが走らせる(操る)意識と意欲を持って移動時間を楽しむかの違いが明確に存在する。
狭い場所から出る時、クルッとワンステップターン。ハンドル切れ角は46度とオフ車並に深い。もちろんその気になればPCXでも同様にできる事ではある。しかしADVは難なく超タイトなUターンが気持ちよく決まる。それ以前にライダーを〝その気〟にさせてくれる点が違うのである。
試乗は1時間に過ぎなかったが、平坦な市街地を50km/hクルージングしていると瞬間燃費計は50km/L前後を示す。信号停止も少ないそんなシーンでの平均燃費率は46.2km/Lをマーク。郊外の軽い峠道を快走した時の平均値は39.9km/Lだった。
若い気持ちで走りを楽しめる乗り味と実用的なスクーターの融合には新鮮な魅力が感じられた。