ツアラー=快適は当然!|BMWが誇るアドベンチャーBMW・R 1250 GSは、ライダーをいかなる時も穏やかに包んでくれる。

現在BMWのラインナップは、7つのカテゴリーに分類された全33機種が揃えられている。中でも同ブランドの伝統と人気を象徴する存在として、またアドベンチャー系モデルの最高峰としても高い評価を集めているのがこのR 1250 GSである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ビー・エム・ダブリュー 株式会社

ディテール解説

アッパーフェンダーが前方に迫り出し独特のフロントマスクを構築。個性的なヘッドライトはLEDスイベル機構を持つアダプティブタイプ。コーナリングライトとして機能し、旋回時には前方内側への照射を補う。

BMW・R 1250 GS

フロントフォークはテレレバーと呼ばれるセンターモノショックのストラット式。タイヤは19インチサイズのブリヂストン製バトラックス・アドベンチャーを履く。ブレーキは対向4ピストンキャリパーをダブルでラジアルマウント。ディスクローターはφ300mm。

伝統的ボクサーエンジンの最新鋭を搭載。後方カムチェーンとギヤで駆動されるDOHC4バルブヘッドの吸気側にはShiftCamと呼ばれる可変コントロール機構(低回転用と高回転用のカムを切り替える)が採用されている。

BMW・R 1250 GS

左右シリンダーからのエキゾーストパイプはエンジン後方で集合し、右側1本のアップマフラーに導かれる。片支持されるホイールぎりぎりに寄せられ、パニアケース装備にも対応されている。

BMW・R 1250 GS

ゴールドのシリンダーと白いコイルスプリングが目立つリヤショックはZF製。後輪の直前にセットされたパラレバー式サスペンションで、スイングアームはアルミ鋳造製。中空構造でドライブシャフトが通っている。ショックは伸び側に電子制御式可変ダンピング調節機構が採用されている。

大口径の中空アクスルが印象的。左側片支持のリヤホイールは17インチサイズ。ブレーキはφ276mmのシングルローターに、ブレンボ製2ピストンのピンスライド式キャリパーを装備。エアロイクイップ製の油圧ホースが採用されている。

BMW・R 1250 GS

テーパードタイプのパイプバーハンドルを装備。写真では見えないが、アンダーブラケットの下側にステアリング・ダンパーが装備されている。センターフェアリング(タンクカバー)を取り外すとエアクリーナーにアクセスできる。

BMW・R 1250 GS
左側のスイッチは10種に及ぶ。下から順にホーン、ウインカー、MENU、右列はDTC(トラクションコントロール)&ESA(電子調節サスペンション)スイッチ。上はハザード、クルーズコントロール、向こう側にディマー&パッシング。一番右はサブランプ、左のダイアルがマルチコントローラー。
BMW・R 1250 GS
ハンドル右側には3つのスイッチが縦に並んでいる。上から順にシートヒーター、走行モードスイッチ。そして赤いのがエンジンキルスイッチ兼、始動用スターター。
BMW・R 1250 GS

スマートキー方式が採用されている。メインスイッチはメーター手前のプッシュスイッチを押せば良い。フルカラーのTFTディスプレイはハンドル左側のマルチコントローラーとMENUボタンで操作できる。上は純正のナビゲーションシステム。

BMW・R 1250 GS
前後共にクッションに厚みのある快適なセパレートタイプのダブルシートを採用。シートヒーターは両方に装備されている。
BMW・R 1250 GS
左脇のキー操作でシートは脱着できる。完全に取り外すにはシートヒーター用電源コードのコネクターを外す必要がある。

アルミ鋳造製リヤキャリアは、後席から後方へフラットに伸びている。下のフレームには純正のパニアケースが簡単に脱着できる。

シリンダーが左右に張り出しているのがボクサーツインならでは。フロント回りのボリューム感は、堂々と立派なフォルムを披露している。

主要諸元

エンジン型式:空水冷/4ストローク水平対向2気筒
動弁型式:DOHC 1気筒あたり4バルブ、可変カムシャフト
ボア x ストローク(mm):102.5 x 76 
排気量(cc):1,254
最高出力(kW/rpm):100 (136 PS) /7,750
最大トルク(Nm/rpm):143/6,250 
圧縮比:12.5 : 1
点火 / 噴射制御:電子制御エンジンマネージメントシステム(DME)、燃料カットオフ機能付
エミッション制御:三元触媒コンバータ、排ガス基準EURO5をクリア
最高速度(km/h):215
燃料消費率(km/L)/ WMTCモード値:21.0(1名乗車時)

燃料タンク容量(L):20 (予備約4L)
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
エンジンオイル容量(L):4.0
オルタネータ(W):510
バッテリー:12 V / 11.8 Ah、メインテナンスフリー

クラッチ:湿式多板、アンチホッピング機能付、油圧式
ミッション:常時嚙合式6速リターン
駆動方式:ドライブシャフト式
1次減速比 / 2次減速比:1.650/2.91
ギヤ比:
 1速:2.438(39/16)
 2速:1.714(36/21)
 3速:1.296(35/27)
 4速:1.059(36/34)
 5速:0.943(33/35)
 6速:0.848(28/33)

フレーム:トラス構造スチールパイプ
サスペンション(前 / 後):テレレバー(モノショック)センタースプリングストラット / パラレバー、センタースプリングストラット
サスペンションストローク(前 / 後mm):190 / 200(ローダウンサスペンション158/170)

全長(mm):2,205
全幅(mm):965(ハンドガード付き980)
全高(mm):1,490(ローダウンサスペンション 1,465)
軸距(mm):1,510(ローダウンサスペンション 1,525)
シート高(mm):850-870(ローダウンサスペンション805-825)
乾燥重量(kg):
車両重量(kg):256(ハンドガード付き 258)
トレール(mm):100.6
キャスター(度):25.7
ホイール:クロススポーク式
リム(前 / 後):3.00-19 / 4.50-17
タイヤ(前 / 後):120/70 R-19 / 170/60 R-17
ブレーキ(前 / 後):φ305mmフローティングダブルディスク / φ276 mmシングルディスク
ABS:BMW Motorrad Integral ABS Pro

試乗後の一言!

懐の深い大人の乗り味が至高のツアラーとして魅力的。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…