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先日開催された東京モーターサイクルショーでは新型車を存分に楽しめたけれど、数多く出展されていた用品・グッズにも注目すべきアイテムが目白押しだった。なかでも紹介したいのは、なんと骨伝導技術を導入したヘルメットスピーカー。株式会社あおごちが開発した製品で、自分のヘルメットに装着するのは従来のインカムと同様。ところがヘルメット内にスピーカーを装着しなくても良いという。一体どんな製品なのか、実際にヘルメットを被って試してきた。
add sound for your bike life ……2万9700円(税込)
製品名は「add sound」というもので、インカムのように本体とスピーカーがケーブルで繋がるものではなく、ヘルメットの後ろに本体を装着するだけ。それじゃ音の出るモノがないじゃないか!と思うのだが、実はこれ最近話題の「骨伝導」技術を使ったスピーカーなのだ。人体の骨に直接振動を与えて音声を伝える新しい技術で、本体からの振動がヘルメットに伝わり、それを被った頭に直接音声を送り届けてくれるという。
本体の内部にエキサイターと呼ばれる振動スピーカーが2つあり、ヘルメットに振動を与える。ヘルメットには2つのエキサイターが位置するあたりに取付プレートを貼り、本体を固定する仕組みだ。スマホとはブルートゥース接続なのでワイヤレスで使用できるから、装着も簡単にできる。しなければならない作業といえば、ヘルメットに取付プレートを貼るだけなのだからラクでいい。しかも本体の重量はわずか198g。これだけ軽量なら長時間使用しても首が痛くなるようなことはなさそうだ。
STDモデルではインカムのような通話はできないが、別売りの専用マイクを使用することで、電話としての機能を持たせることができる。専用マイクは5500円(税込)なので、走行中に通話しないという人なら不要。またヘルメットを複数所有している場合には、取付プレートが単体で購入できるので本体を使い回すこともできる。追加プレートは2200円(税込)で白と黒の2色が選べる。
実際にヘルメットを被って音楽をスタートさせると、音源がないのに音楽が聞こえてくる。一種独特な感覚だが、通常のスピーカーで聞くのと何も変わらないし音質もクリア。ブルートゥース接続にありがちな雑音がなく、低い音量でもしっかり音の輪郭を聞き分けることができた。それなのに、周囲の音や会話が聞こえてくる。そうなのだ、スピーカーで聞いているわけではないので、音楽と周囲の音を両方とも聞くことができるのだ。運転中に音楽しか聞こえないと周囲の環境を認識するのが遅れて危険なこともある。ところがadd soundなら周囲の音を聞き分けることができるから、気兼ねなく音楽やナビ音声ガイドを使うことができる。さらにスピーカーがヘルメット内に存在しないので、耳が圧迫されて痛くなることもない。これは画期的な商品ではないだろうか。モーターサイクルショーから帰って購入しようとネット検索したのだが、なんと現在のロットはすでに完売……。次回の販売を心待ちにしているところだ。
add soundは本体がマットブラックとオフホワイトの2色から選べる。どちらも単色なので、そのままでヘルメットの色や形状を問わない。また、単色なので上からステッカーやシートを貼ってキャンバスのように好きな模様を楽しむこともできる。
バイク以外にも使える
この技術を使えば、バイク用だけでなくさまざまな用途に生かされそう。例えば写真のように工事現場で必須となるヘルメットに装着すれば、轟音のなかでも音声が聞き取れるので監督の指示が確実に伝わり作業ミスを減らすことができるだろう。
バイクや自転車での配達はもはや一般的なことだが、乗車中に連絡があっても従来なら一時停止して通過しなければならなかった。この製品を使えば乗車中でも通話ができるため、より多くの配送が可能になるだろう。インカムを取り付けるのは意外に手間がかかるし、コードの取り回しも考えなければならない。対してadd soundはヘルメットに取り付けるだけで音声を楽しむことができるし、マイクを追加すれば通話もできる。さらに耳への負担がなく周囲の音まで聞こえるのだから、今後のバイク生活に欠かせないアイテムになるかもしれないと感じた。