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初代モンキーZ50M型が発売された1967年から、半世紀にわたり多くのライダーに愛されてきたモンキーが、2018年春、125ccになって帰ってきました。生まれ変わったモンキーは、かつてモンキーに乗って青春を謳歌した大人たちにも、生まれて初めてバイクに触れる少年たちにも、大きな歓声をもって迎えられました。
排気量アップとともに、すべてがアップデートされたモンキー125ですが、モンキーらしさは昔のまま。ぽってりと丸みをおびた可愛いボディやぴかぴかのクロームメッキパーツ、タックロールシートなど、モンキーテイストが随所にあふれたデザインです。フューエルタンクに誇らしげに輝くオールドタイプのウイングマークも嬉しい装備のひとつですね。
モンキー125が最新技術を盛り込んだオールドスタイルのバイクだということは、前後の足まわりをみるとよくわかります。フロントサスペンションは走りを追求した倒立フォーク。フロントブレーキにはABSも装備しています。いっぽうリアサスペンションには旧式のツインショックを採用。リアにはABSもありません。昔ながらの乗り味と最新性能をうまくバランスさせた構成です。
モンキー125のインパネは、反転液晶タイプのシンプルな単眼メーターです。イグニッションキーをひねると起動時にウインクするアニメーションが組み込まれたメーターのグラフィックには、ちょっとコミカルなおサル感が漂っています。そういえばヘッドライトやテールライトのデザインも、どことなくおサルっぽいですよね。モンキーの車名にちなんだ遊び心のデザインなのかな? なんて感じてしまいました。
身長164cmの私なら、モンキーはベッタリらくらく良好な足つき性です。見るからにコンパクトなマシンですが、ハンドルバーのレイアウトにはゆとりがあり、自然にアップライトなポジションになるため、大柄な男性が乗ってもけっして窮屈ではありません。
また細身のフューエルタンクは、よほど意識してニーグリップしないと膝が当たらないため、いっそう車体を小さく感じさせる効果があるようです。こんなところにも50ccモンキーの乗り味を残す工夫が感じられますね。
4ストロークSOHC124cc単気筒エンジンの最高出力は9.4ps。107kgの軽量ボディを走らせるには十分なパワーです。でもモンキーは、動力性能よりも楽しさを味わうマシン。フラットでイージーなエンジンが、メカノイズ多めのちょっと懐かしいエキゾースト音をお供に、ライダーをどこへでも身軽に連れ出してくれます。
サスペンションはソフトでふわつき感があるものの、腰砕けにはならず、しっかり走りを支えてくれます。峠のハードコーナリングには向きませんが、乗り心地はよく、幹線道路から狭い路地、ダートの空き地まで、オールマイティに楽しめるモンキーらしい足まわりです。
ブレーキはやわらかいタッチで扱いやすく、低速から高速まで安定した制動力を発揮します。フロントに装備されたABSは、ハードブレーキングの初期から介入してアンチロック効果を発揮しますが、ぬかるんだダートなどの極端にスリッピーな路面では十分機能しない場合もあるので過信はせず、安全運転を心がけましょう。
ヘルメットをかぶってパッとまたがれば、いつでもすぐに走り出せて、どこにでも行ける。モンキーは、いちばんシンプルなバイクの喜びを小さなボディにぎゅっと詰め込んだマシンです。排気量が変わっても、50年前から現在までその楽しさは変わりません。
モンキー125は、16歳になったばかりのバイク少年でも、かつて16歳だった大人のバイク少年でも、同じ青春のきらめきが味わえる特別な一台なのかもしれませんね。
モンキー125 主要諸元
車名・型式 ホンダ・2BJ-JB02 全長(mm) 1,710 全幅(mm) 755 全高(mm) 1,030 軸距(mm) 1,155 最低地上高(mm)160 シート高(mm) 775 車両重量(kg) 105【107】 乗車定員(人) 1 エンジン型式 JB02E エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒 総排気量(cm³)124 内径×行程(mm)52.4×57.9 圧縮比 9.3 最高出力(kW[PS]/rpm) 6.9[9.4]/7,000 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 11[1.1]/5,250 燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉 始動方式 セルフ式 点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火 潤滑方式 圧送飛沫併用式 燃料タンク容量(L) 5.6 クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式 変速機形式 常時噛合式4段リターン 変速比 1速 2.500 2速 1.550 3速 1.150 4速 0.923 減速比(1次/2次)3.350/2.266 キャスター角(度)25° 00′ トレール量(mm)82 タイヤ 前 120/80-12 65J 後 130/80-12 69J ブレーキ形式 前 油圧式ディスク 後 油圧式ディスク
ライター紹介
村上 菜つみ
モデル・モータージャーナリスト。
ツーリング雑誌の編集部員を経て、フリーランスとして独立。
オートバイや車での気ままな一人旅を好み、各地のグルメや名湯をレポートし続けている。
月刊モトチャンプにて旅企画「ぶらり二輪散歩」連載中。
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