モデルチェンジで25万円アップにはビックリだけど! ヤマハ・TRACER 9 GTのグレードアップっぷりには脱帽です。

ヤマハのラインナップで「スポーツツーリング」のカテゴリーに属しているTRACER 900が、新たにTRACER 9 GTとしてフルモデルチェンジされた。MT-09 SPやMT-07と共に2021年7月28日に新発売。その発表試乗会は、袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された。

REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力⚫️ヤマハ発動機株式会社

ディテール解説

新設計されたフロントのクリアスクリーンは5mm毎に10段階の高さ調節ができる。左右にセパレートされたLED式のツインヘッドランプは、ハイ/ロー別体式。バンク角に応じて照射エリアが広がるコーナリングランプも装備されている。
KYB社と共同開発された電子制御サスペンションのKADS(KYB・Actimatic Damper System)を装備。走行状況に応じて減衰レベルが自動調節される。マニュアルでプリロード調節もできる。
直(並)列3気筒の水冷888ccエンジンはMT-09と共通。新設計されたアルミダイキャスト製フレームはダイヤモンド式で、エンジンはリジッドマウントされている。
左右対称のデュアルエキゾーストを持つ1本マフラーは、エンジンの真下にセンターレイアウト。スタンドも標準装備されている。
リヤサスペンションにはボトムリンク式のモノショックを搭載。写真右側に見えるプリロードアジャスターを手で回すことで、24段階調節できる。反時計方向(左)いっぱいまで回して11段時計方向(右)に戻した所が標準。さらに回すとハード設定になる。
オリジナル新設計されたロングタイプのスイングアームを装備。ホイールベースはMT-09より70mm長い1,500mmある。シングルディスクブレーキローターにはNISSIN製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーが採用されている。
左側の上に七つ、右側は五つの警告(表示)灯が並ぶ。左右共に多彩な情報がディスプレイされる。13,000rpmスケールのタコメーターは100rpm刻み、10,600rpmからがレッドゾーン。ハンドル右側のホイールスイッチで、簡単に表示内容を変更する事ができる。
左側下から順にホーン、ウインカー、ディマー&パッシング、人差し指で扱うモードスイッチが並ぶ。右側は下から順にハザード、クルーズコントロール、そしてモード切り替えスイッチだ。
メニュー画面のさらにひとつ深い階層にある手動設定画面。TCS(トラクション・コントロール・システム)やスライド&リフト(SCS、LIF)も含めてTCS-MODE Mの設定をカスタマイズできる。
グリップヒーターを標準装備。風防効果の高いブラッシュガード(ナックルガード)も標準装備されている。
ダブルシートには前後セパレートタイプのクッションが採用されている。前シートは高低2段の高さ調節ができる。
リヤフレームは専用設計されている。後席用のスペースもしっかりと確保され、シートクッションにも厚みがある。シート両脇のグラブバーも堅牢なデザイン。オプションのサイドケース取付け用ステーはダンパー内蔵式だ。

主要諸元

TRACER 9 GT

認定型式:8BL-RN70J
原動機打刻型式:N718E
全長×全幅×全高(mm):2,175×885×1,430(1,470スクリーン・ハイ)
シート高(mm):820(ロー)/835(ハイ)
軸間距離(mm):1,500
最低地上高(mm):135
車両重量(kg):220
燃料消費率(km/L):30.5(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値(km/L):20.4 1名乗車時
最小回転半径(m):3.1

原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列:直列,3気筒
総排気量(㎤):888
内径×行程(mm):78.0×62.0
圧縮比:11.5 : 1
最高出力(kW/rpm):88(120PS)/10,000
最大トルク(N/m/rpm):93(9.5kgf・m)/7,000
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量(L):3.5
燃料タンク容量(L):18(無鉛プレミアムガソリン指定)
燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V 8.6Ah(10HR)/ YTZ10S

駆動方式:チェーン
クラッチ形式:湿式多板
変速装置:常時噛合式6速
変速方式:リターン式
1次減速比/2次減速比:1.680/2.812 (79/47 X 45/16)
変速比:
 1速:2.571  (36/14)
 2速:1.947  (37/19)
 3速:1.619  (34/21)
 4速:1.380  (29/21)
 5速:1.190  (25/21)
 6速:1.037  (28/27)

フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター(度):25
トレール(mm):108
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR-17M/C (58W・チューブレス)/180/55ZR-17M/C (73W・チューブレス)
制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED/LED
乗車定員:2名

●試乗後の一言!

旅支度はこれで準備万端! トップケースと両サイドケースの装備で約110L容量ものラゲッジスペースが確保できる。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…