GSX-1000が本格派スポーツツアラーに進化した。|スズキGSX-S1000GT試乗記

第2世代モデルのGSX-S1000をベースに開発されたニューバリエーション。GSX-1000GTが2022年2月17日から新発売されたのは既報の通り。グランドツアラーとしての性能には興味津々。果たしてどのような乗り味を発揮してくれるのだろうか。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 スズキ

ディテール解説

ツインで装備されるLED式ヘッドランプは左右にセパレートされてレイアウト。左側(写真右)がロービーム。右側がハイビームになっている。

フロントフォークはKYB製φ43mmの倒立式。伸び圧減衰とプリロード調節ができる。油圧式ダブルディスクブレーキには、ブレンボ製対向4ピストン式キャリパーをラジアルマウント。

水冷ツインカム16バルブ998ccの直(並)列4気筒エンジンを搭載。6速ミッションのギヤレシオを含めて、スペックデータはGSX-S1000と共通。

右出し1本のショートアップマフラー。エンジン下部に2個のキャタライザーを内蔵。右出し接続部分には、SET(スズキ・エキゾースト・チューニング)システムと呼ばれる排気バルブ機構が採用されている。

ボルトオンされたリアフレーム(シートレール)は、GSX-S1000のシルバーに対してGTはゴールド。ボトムリンク式モノショック・サスペンションは、7段階スプリングプリロードと伸び側のダンパー調節ができる。

スイングアームはマフラーと干渉しない独特なデザイン。シングルディスクブレーキはNISSIN製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーを採用。タイヤはダンロップ製スポーツマックスのロードスポーツ2。

ブラックアウトされたテーパードタイプのパイプバーハンドルは、ブラケット部にはラバーマウントされたフローティング構造が採用されている。クランプ位置はGSX-S1000より少し高く、若干手前にセット。

一番下のベストポジションにあるのがホーン、その上がウインカースイッチ。右側にあるグレーのシーソースイッチはクルーズスピードスイッチ、人差し指で扱う向こう側のスイッチがディマー&パッシング。そしてグレーの丸いのがセレクト、その右脇の黒いのがモードスイッチ。
上の赤いシーソースイッチが、エンジンキルスイッチ及び始動用のスタータースイッチ。中段はスイッチを右にスライドすると作動するハザード(非常点滅灯)。下の黒いのはクルーズコントロールスイッチ。押すとメーター内に作動を示すアイコンと共に設定速度も表示される。

フルカラーの6.5インチTFT液晶式マルチインフォメーションディスプレイ。白黒反転表示となるナイトモードは、手動はもちろん自動でも切り替えられる。スマホと連携し「SUZUKI my SPIN」(アプリ)の使用も可能。

前後セパレートタイプのダブルシート。タンデムライディングの快適性が追求されて後席には厚いクッションが採用された。
車体左サイドのキーロックを解錠すると脱着できる後席。下部にはETC2.0車載器が標準装着されている。
メーター左脇にはUSB電源ソケットが標準装備されている。
プリロード調節、及び伸び側のダンピング調節ができる。
フロントフォークのボトムには圧側のダンピング調節機構が装備されている。

純正オプションの樹脂サイドケースセットは左右共に容量は各36L。輸入品で価格は99,000円。取付にはサイドケースブラケット13,200円が必要。

サイドケースの装備を考慮したテールのデザインは、シートカウル左右のデザインがGSX-S1000と異なっている。LED式のテールランプやウインカーデザインは共通。

主要諸元

型式:8BL-EK1AA
全長 / 全幅 / 全高(mm):2,140 / 825 / 1,215
軸間距離(mm):1,460
最低地上高(mm): 140
シート高(mm):810
装備重量(kg):226
燃料消費率(km/L):21.2(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 (km/L):16.6 1名乗車時
最小回転半径(m):3.1

エンジン型式:DTB1・水冷・4サイクル・直列4気筒 
バルブ形式:DOHC・4バルブ
総排気量(㎤):998
内径×行程(mm):73.4 × 59.0
圧縮比:12.2:1
最高出力(kW/rpm):110〈150PS〉/ 11,000
最大トルク(Nm/rpm):105〈10.7kgf・m〉 / 9,250
燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム
始動方式:セルフ式
点火方式:フルトランジスタ式
バッテリー:12V-10Ah(FT12A-BS)
潤滑方式:圧送式
潤滑油容量(L):3.4
燃料タンク容量(L):19
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速  2.562
 2速  2.052
 3速  1.714
 4速  1.500
 5速  1.360
 6速  1.269
減速比(1次 / 2次):1.553 / 2.588

フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター (度):25
トレール(mm):100
ブレーキ形式(前 / 後):油圧式ダブルディスク(ABS) / 油圧式シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ (前 / 後):120/70ZR17M/C(58W) / 190/50ZR17M/C(73W)
舵取り角左右(度):31
乗車定員:2名

試乗後の一言!

GTというネーミングと共に、そのキャラクターは遠くへのツーリングに誘われる。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…