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ヤマハ・YZF R25……599,400円(消費税込み)
ヤマハ・YZF R25 ABS……642,600円(消費税込み)
若々しくファッショナブルな印象だったR25は、今回のマイナーチェンジでグッと大人びた雰囲気になっていた。マット(艶消し)カラーにもよるが、新作のフルカウルやタンク&タンクカバーデザインは250とは思えない立派なボリューム感を漂わせている。
フロントにはゴールドのφ37mm倒立式フォークを採用。剛性向上に対してトップブリッジは肉抜きされた専用開発部品に換装されてバランスがとられたと言う。
カウルやスクリーンは、単なる意匠変更ではなく、エアロダイナミクスを徹底追求したデザインに熟成。しかもMotoGPマシンに通じるイメージのフィードバックにも抜かりは無い。
左右にワイドなデュアルヘッドランプは、ポジションランプと共にLED化され、中央に口を開けた吸気ダクトと共に相変わらず精悍なフロントマスクを魅せる。
水冷ツインカム2気筒の搭載エンジンや駆動系は従来通りだが、見た目の印象は大きく進化しており、シニア層も含めた幅広いユーザーに訴求できる柔軟かつ上質な商品性が備わっていると感じられた。
今回のモデルチェンジによって3万円ほど価格が上がったが、倒立式フロントフォークの装備を考えれば割高には感じられない。むしろ従来モデルにはあった、手を加えたいと思える部分が少なくなった熟成ぶりに改めて魅力を覚えた。
何気なく走行距離が伸びるのは、楽しさと快適性の証。
早速跨がると、ライディングポジションは従来通りスマートに決まる。しかし少し車格が大きくなった感じ。僅差ではあるが、上体の前傾度合いも強められていた。
タンクの幅が31.4mmワイドになり、トップ位置は20mm低い。そしてハンドル位置が22mm下げられたと言う。車体サイズや重さはほとんど共通ながら、ひとクラス上のバイクに乗るような雰囲気を覚えるから不思議だ。
スポーティな雰囲気は相変わらずで、身体の筋力を使って走ることにワクワクさせられ、ワインディングロードでも一体感のある走りが楽しめる。 郊外や高速道路をクルージングする時でも全身の筋力を活用しながらワクワク気分で走れると尻への体重負担も軽減されて、ロングランも快適にこなせてしまう。
今回箱根や栃木、そして撮影と連日走らせたが走行距離は難なく600kmを超えていた。
低速域からよく粘るエンジンは、住宅街や市街地のノロノロ走行でも扱いやすい。どの回転域でもスロットルレスポンスに優れ、遅滞無くスムーズに加速を始める乗り味は活き活きとしている。
スロットルをワイドオープンすれば、1万4000rpmからのレッドゾーンへも難なく吹き上がる。もっとも回転上昇の勢いは1万rpmオーバーで緩くなるので、実質的には1万rpm当たりまでが効率良い感じ。引っ張ったとしてもせいぜい1万2000rpmで早めにシフトアップする方が有効である。
タコメーターは5000rpm迄が200rpm刻み、それ以上は100rpm刻みで精細表示される。トルクは5000rpmあたりからもりもりと力強くなり、7500rpm前後が一番頼れる感じで元気良く走れる。
ちなみに6速トップギヤ100km/hクルージング時のエンジン回転数は7200rpm。120km/hなら8600rpmになる。個人的にはより静かなクルージングを期待してもう少しハイギヤードな設定を望みたいところではあった。
カチッと固い確かな操舵レスポンスを発揮するグッドハンドリングは好印象。あえて比較するとリヤサスペンションも熟成したいと思えてきたのが正直なところだが、ダンパーの利き具合はなかなかの優れもの。直進安定性に優れた乗り味は快適で、自然と走行距離が伸びてくる。ついでに峠のワインディングロードを目指して寄り道して行きたくなるから尚更であった。
なお、約600km走行した実用燃費率はトータルで34.2km/L。流れの遅い高速と郊外を走った時は37.9km/Lをマークした。