ペリカンJOGやDJ・1を中古で探す前に「アプリリア SR50R」に乗ってみましょう! 今だに新車で買える希少な2スト原チャリ! しかも今時キャブ車!【50ccスクーター試乗レポ】

筆記試験だけで、費用も安くとれる原付1種免許。生まれてはじめて手にした免許証は嬉しかったものです。70〜80年代、学生たちがまず最初に乗ったのが50ccスクーターでした。あの頃はほとんどが2ストエンジンで、ノーヘルOKだったって世代の人も少なくないはず。バイクに興味を持ち出した若き日を思い出して、もういちど原付スクーターで街を駆け抜けてみませんか? 今度はもう少しだけオシャレに、イタリア製の車両で……。

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) 
PHOTO●太宰吉崇(DAZAI Yoshitaka)

※2019年01月27日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
アプリリア・SR50R

高性能を競った80年代のレーサーレプリカブーム

アプリリア・SR50R
スズキRG250ガンマ(1983年)
スズキRG250ガンマ(1983年)
アプリリア・SR50R
ホンダNSR250R(1986年)
ホンダNSR250R(1986年)

「レーサーレプリカブーム」といわれた1980年代は、サーキットで培われた技術を惜しみなくフィードバックした過激なモデルが数多く発売されました。量産市販車初のアルミ角パイプフレームに、最高出力45馬力を発揮する水冷2ストローク並列2気筒を積む「RG250ガンマ」を1983年にスズキがリリースすると、各社が競い合うようにフルカウルモデルを市場に投入。「NSR250R」や「TZR250R」「RGV250ガンマ」らは、今なお当時を知るバイクファンに語り継がれ、中古車市場でも引っ張りダコの人気です。

2スト全盛期、ティーンエイジャーが求めたスクーターは過激だった!

アプリリア・SR50R
ヤマハJOG(1983年)。
アプリリア・SR50R
ホンダDJ・1(1985年)。

 そんな熱き時代のバイクは、原付1種=50ccクラスもまた強烈でした。16歳になった少年少女たちが最初に乗るエンジン付きの乗り物であることが多く、選択肢は大きく分けて2つ。クラッチ付きのマニュアルミッション車か、あるいはスクーターかということになります。スクーターといえば、市街地を走るのに手軽で便利なコミューターですが、250ccや400ccのレーサーレプリカに憧れるティーンエイジャーたちは、自分たちが乗る“ゲンチャリ”(原付スクーター)にも速さやレーシングイメージを追いかけたのでした。

ハイグリップパターンのタイヤとエアー封入式ダンパーを採用したホンダ リードR(1986年)。

 ヤング層のニーズに応えて登場したのが、ヤマハの「JOG」や「チャンプ」であったり、ホンダ「DJ・1」や「リードR」です。スピードリミッターなどなかったJOGの初期型は70km/hもの最高速度が出ましたし、後発のリミッター付きもユーザーの手によって容易く解除され、制限速度30km/hなど軽々とオーバーする動力性能を誇っていました。1986年まではヘルメット着用義務も原付1種にはなく、若者たちはスクーターに夢中となったのです。

若者向けのカジュアルなスタイルを持ちながら大容量センタートランク「メットイン」を装備したホンダ ディオ(1988年)。

 いずれにも共通して言えるのが、今や懐かしい2ストロークエンジン&キャブレターのモデルということです。環境規制によって絶滅状態となってしまいましたが、あの甲高い独特なサウンドや小排気量車に最適な高回転型の出力特性を忘れられないという人は、今も少なくありません。また、その全盛期を知らない若い人にとっても、2ストエンジンは新鮮な魅力があるはずです。

アプリリア・SR50R……¥324,000

アプリリア・SR50R

 前置きがずいぶんと長くなってしまいましたが、現在も2スト&キャブレターのモデルが新車で買えるのはご存知でしょうか。アプリリア「SR50R」です。売れ残りが辛うじて生き長らえているのではなく、ユーロ4規制に適合させての登場で、2スト好きには朗報と言えるでしょう。

アプリリア・SR50R

 そんな「SR50R」に乗ってみようと実車を目の当たりにすると、まずスポーティなスタイルとカラーグラフィックスに圧倒されます。さすがはMotoGPやスーパーバイク選手権に参戦し続けるなど、レースにも積極的なイタリアンブランド「アプリリア」といったところでしょうか。ステムカバーには“54 WORLD TITLES”と、世界タイトル54勝の記念エンブレムが誇らしげに貼られています。

アプリリア・SR50R
アプリリア・SR50R

 お買い物向けの平凡なスクーターとは明らかに違うムードで、50ccスクーターにしては車体が大きくタンデム用のリアシートやグリップハンドル、折りたたみ式のステップバーも備わっています。もちろん原付1種スクーターですから、日本では2人乗り不可です。
 ただし、余裕を感じる大柄な車体を歓迎する人は少なくないかもしれません。じつは筆者もそのうちのひとりで、つい最近まで8年間にもわたってアプリリアの「RALLY(ラリー)50」という90年代半ばに発売された旧いスクーターを所有していました。やはり2スト&キャブで、チャンバーから煙とオイルの匂いを吐き出しながら走っていました。

アプリリア・SR50R

 ラリー50もそうでしたが、「SR50R」もまた50ccスクーターなのにシート高が795mmと高めで、身長175cmの筆者でもツマ先立ちになってしまいます。写真を撮っておらず後悔しています(スイマセン)が、サイドスタンドはオプション設定で、スタンドはメインのみ。駐車時に少し手こずることがあるはずです。

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著者プロフィール

青木タカオ 近影

青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返…