見た目も乗り心地も自転車、でも電動スクーターとして「マーベリック S1-600」に乗ってみた!|運転免許は原付・普通自動車

クラウドファインディングサイト「マクアケ」で目標額の200%以上の応援資金を集めた、今話題の電動コミューターバイク「マーベリック S1」。都市部の若者を中心に大ブレイク中のマーベリック S1シリーズは、2022年8月現在、電動アシストモデル(S1-350)、原付一種モデル(S1-600)、原付二種モデル(S1-1000)の3種類をラインナップ。ここでは原付免許で乗車できる、60V・0.6kW(原付一種は定格出力を0.6kW以下に規定)の原付一種モデル(エンジン車では50cc未満に該当)であるS1-600に試乗。マーベリックS1-600同車は、原付一種の便利さと、電動アシスト付き自転車の手軽さを兼ね備えているのが特徴だ。
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

協力:マーベリックテクノロジー https://www.mavericktechnology.jp/
※注:価格はすべて2022年8月5日現在のもの/写真は社外バックミラー装着車

マーベリック S1-600(原付一種モデル)……29万1500円 (消費税込) 

写真は社外バックミラー装着車。
バッテリー上部(シート下)のスペースにぴったりと収まる、長さ400mmx高さ130mmx幅100mmオプションのフレームバッグ(7700円/消費税込)を装着したところ。
砂地や荒地も走破しやすい、ブロックパターンの極太タイヤを標準装備。サイズは前後とも直径20インチ×幅4インチ(約100mm)。

自転車の手軽さと、原付バイク並の機動力を確保した、新時代の超個性派コミューター・マーベリック(Maverick)S1シリーズ。ファットな直径20インチ&幅4インチの前後タイヤ、高い剛性を確保したアルミフレーム、高速域でも安定した走りを実現する前後サスペンション、制動力に優れた前後ディスクブレーキ、60Vのハイパワー電動モーター(ハブにモーターを設置したインホイール型)、大型バッテリー、シマノ製7段変速ギアなどを採用。頑強なフレームや足周りと豊富なオプションパーツにより、サーフボードやクーラーボックスのような大きな荷物の運搬も可能だ。

電動バイクと自転車をミックスさせた、超個性的な骨太の外観は、カリフォルニアで流行しているサーフスタイルにデザイン。街にも馴染むオシャレなフォルムも影響し、都市部では流行に敏感な若者を中心に高い人気を獲得。東京都心部では昨今、街を歩けば頻繁に目撃する。

マーベリックS1シリーズは、クラウドファインディングサイト「マクアケ」で、目標額の200%以上もの応援資金を集めたことで(40日間で2815万円/265名の支援を獲得)、一気に知名度をアップ。現在、電動アシストモデルのS1-350(バイクの免許不要)、原付一種モデルのS1-600(原付免許が必要)、原付二種モデルのS1-1000(普通二輪・小型AT限定免許以上が必要)の3種類をラインナップ。

マーベリックS1シリーズの3モデルは、一部を除きフレームや足周りが共通。ちなみにタンデムシートやタンデムステップを設けた原付二種モデルのS1-1000は、二人乗り可能な電動バイクの先駆けとして登場した。

マーベリックS1-600は国内において原付一種モデルにカテゴライズ。そのためダブルシートとタンデムステップが装着されているが、2人乗りは不可。

モーターはインホイール式の60Vを採用

原付一種モデルであるマーベリックS1-600のモーターは、60V・0.6kW。過去に試乗した電動バイクでは急勾配の峠道でモーターなどへの負荷が高まり熱が発生。保護機能が働きそれ以上走れず……ということがあったが、今回の市場でこのマーベリックS1-600は同じ坂道でも問題なく走り切ることができた。この優れた登坂力はメリットの一つと言えそうだ。

ハンドル幅は670mm、ハンドル高は980mm。
前後タイヤ径は14インチ。タイヤ幅は4インチ(約100mm)のワイド仕様。

大型バッテリーは2個搭載可能で、航続距離は100kmを実現

大型バッテリーは標準で1個装備。オプションで別途購入可能。

マーベリックS1シリーズは、「電動バイクでエンジン車並みの航続距離を実現したい」という思いから、バッテリーを2個積載可能。市販時の標準装備は1個だが、別途追加購入して2個積めば、2倍の距離を走行できる。航続距離はバッテリー1個搭載時で50km、2個搭載時で100km(平均時速30km/h走行・メーカー発表値)。

車載バッテリーは簡単に取り外し可能。バッテリーの重量は1個あたり4kg程度なので、手軽に持ち運べる。ちなみに1個目のバッテリーを低い位置にレイアウトすることで、重心位置を低下し、運転しやすさをアップしているのも利点。

一般的に電動バイクは欧米向けに製造されていることが多く、シート高が900mm以上というのも珍しくない(日本人にとってはかなり高め)。一方、マーベリックS1シリーズは、路面からの衝撃を吸収するリアダンパーを装着しつつ、極限までシート高を低下。これにより、小柄な日本人でも乗りやすいシートポジションを実現した。

また、コントロールボックスはシート下に設置することで、防塵性や防水性をアップ。加えてメンテナンス向上のため、コントローラーのケーブルを集約し、各機器とは脱着容易なコネクター接続にしている。

シート高は800~820mm。テスターの身長173cm、体重60kg。メーカーが推奨する身長は155~190cm。
シート高を抑えた設計により、足着き性は極めて良好。

32kgの軽さが光る自転車並の優れた取り回し

自転車の軽快さと、電動バイクのスムーズさを兼ね備えたマーベリックS1-600。運転には原付免許(普通自動車免許でも運転可)が必要。

イモビライザーを装備した、極めてセキュリティ性の高いリモートキー&カラー液晶モニターによる管理ステムにて電源をON。車体の押し歩き時にまず驚くのが、車重の軽さ。ファットな見た目とは裏腹に、重量はわずか32kg。

試しに両手で持ち上げてみると、比較的余裕をもって持ち上げることができた。この点は、“モペッド”と呼ばれるペダル付きのエンジン車とは、大きく異なる車両だと痛感。

マーベリックS1-600の軽さは、街中ではまさに最強。人や自転車が行き交う駅前や商店街での取り回しも、難なくこなせる。自転車感覚で手軽に駐車できる等々、ストレスも極めて少ない(エンジン搭載のバイクはマフラーの熱等々、周囲に色々と気を遣う)。

まずは走行モード1のアシスト無効モードにセットし、ペダルのみで乗車。想像していた通り、一般的な自転車に比べ、タイヤが太くてヘビー(タイヤ自体が重たく、接地面積が広い)であるのが、両足に伝わってくる。しかも自転車にしては重い32kgの車重があるため、7段式の変速機をガチャガチャと切り替えてみても、両足で漕ぐペダル&車体の動きが、何となく重くてダルいイメージ。

この欠点を見事にカバーしてくれるのが、ハンドル左側のスイッチ1つで動作開始できる電動アシストシステム(走行モード2)。電動アシストシステムは、漕ぎ始めがとにかく軽い! ペダルのみの重くてダルいイメージが、完全に払拭されている。なお、国内規定により、電動アシスト機能は時速24km/hで停止する。
電動アシストモードで、歩道に併設された自転車専用レーンを20km/h程度でしばらく流す。7段変速機を切り替えると、スムーズに楽々走行可能。

特に驚いたのが、フレームや足周りの剛性の高さと、乗り心地の良さ。電動バイクの機能を併せ持つマーベリックS1-600は、フレームや足周りの基本設計がしっかりしており、例えば歩道と車道との段差通過時でも、段差にハンドルを取られることなく、安定した走りを見せた。

最高速度は50km/h。3段階変更可能な電動モードでは、原付並みの走りを発揮

マーベリックS1-600の最高速度は50km/h(メーカー発表値)。

マーベリックS1-600の最高速度は50km/h(メーカー発表値)。今回私有地で試乗したところ、最高速度はメーター表示で50km/hを確認。しかし一般公道を走行する場合、原付一種のマーベリックS1-600は道路交通法により、最高速度が30km/hまで(原付一種は30km/hを超えると交通違反となる)。

電動バイクモードは3(低速→約25km/h)、4(中速→約35km/h)、5(高速→45km/h以上)の合計3モード。まずはモード3(低速→約25km/h)にセット。ペダルを漕ぎながら、右手側のグリップに設置されたスロットルをグイっとひねると、スムーズに加速。スロットルを緩めると、まるで4ストローク車のエンジンブレーキが効くように、自然な感じで減速していく。

モード3とモード4は、のんびり走るのに最適のモード。交通量が多く、スピードが乗りやすい車道を走る場合は、モード5(高速)へのセットは必須だ。

リアホイールのハブ部に電動モーターを設置した「インホイール式」を採用したS1-600は、スロットルレスポンスも良好。3~5のモードは、片側1車線や住宅街などに加え、狭くて入り組んだ道においてスムーズに走行可能。ただし交通量の多い幹線道路、また上りの坂道などでは、ややパワー不足を感じる。この点は、一般的な50cc未満の4ストロークエンジン車と同じだ。

50cc未満のエンジン車と同様、S1-600は、近場の移動に最適な1台。なお、最高速度30km/h規制から開放される原付二種モデルのS1-1000との価格差は、わずか1万2000円。普通二輪・小型AT限定以上の運転免許を所有している人は、パワー・利便性・コスパを考慮した場合、原付二種モデルとなるS1-1000を選択するほうが、コスパや満足度は高いかもしれない。(S1-1000の試乗記は近日公開予定)

ディテール解説

プロテクターを装備したワイルドなヘッドライト。ヘッドライト本体はハイビーム・ロービームの切り替えが可能。
フロントフォークにはスポーツバイクに採用のイニシャルアジャスター機能を装備。
マウンテンバイクをイメージさせるスポーティーで軽快なイメージのハンドル周り。バーエンドミラーは社外品。
カラー液晶のメーター。速度、走行モード、バッテリー残量、トリップメーターなどを表示。
ペダルのギアチェンジはシマノ製の手動式7段変速。右手親指と人差し指or中指でスムーズにチェンジできた。電動バイクモードのスロットル(アクセル)は、右グリップとホルダーの間に設置。右手の人差し指及び中指+親指でスロットルを挟み、絞りor戻して速度を調整するしくみ。
5段階の走行モードは、左グリップ横に装備(+と-のボタン)。走行時は左手の親指でスムーズに操作できた。走行モードはハンドル中央のモニターに表示される。
オプション設定のフレームバッグ(7700円/税込)。
前後に長いダブルシートを採用。マーベリックS1-600は原付一種のため、一般公道での2人乗りは不可。
強靭な設計のアルミフレーム。
リアのサスペンション部にはダンパーを採用して乗り心地をアップ。
バッテリーの重さは約4kg。1個目のバッテリーを低い位置にレイアウトすることで、重心位置を低下し、運転しやすさをアップ。
ナンバープレートのほか、ヘッドライト、テールテールランプ、前後ウインカー、反射材など、国内の原動機自転車の保安基準に則った保安部品を装備済み。電装系は12V用であれば、社外品パーツも装着可能。
前後のブレーキは制動力に優れた油圧式ディスクブレーキを採用。
もちろんペダルを漕いでの自転車走行も可能。なお、国内規定により、電動アシスト機能は時速24km/hで停止するしくみ。
前後とも砂地や荒地も走破するブロックパターンの極太タイヤを採用。
サイズは前後とも直径20インチ×幅4インチ(約100mm)。
手動式のシマノ製7段変速機を採用した自転車機能。

マーベリックS1シリーズ 主要スペック

S1-350(電動アシストモデル)S1-600(原付一種モデル)S1-1000(原付二種モデル)
ボディサイズ全長173cm×幅70cm全長173cm×幅70cm全長173cm×幅70cm
車重31kg32kg32kg
タイヤサイズ直径20インチ×幅4インチ(約10cm)直径20インチ×幅4インチ(約10cm)直径20インチ×幅4インチ(約10cm)
モーター36V 0.35kW60V 0.6kW60V 1.0kW
バッテリー36V 10.4Ah60V 15Ah60V 15Ah
保安部品ヘッドライト、警笛、速度計原付に必要な保安部品原付に必要な保安部品
走行モード自転車モード、電動アシスト
モード
自転車モード、電動アシスト
モード、フル電動モード
自転車モード、電動アシスト
モード、フル電動モード
航続距離バッテリー1個搭載のみ50kmバッテリー1個搭載50km / 2個
搭載100km ※平均時速30km/h走行
バッテリー1個搭載50km / 2個
搭載100km ※平均時速30km/h走行
トップスピード時速24km/hで電動アシスト停止時速50km/h時速55km/h
変速ギヤシマノ製7段変速シマノ製7段変速シマノ製7段変速
ブレーキ機械式ディスクブレーキ油圧式ディスクブレーキCBS(前後連動機能)付き油圧式ディスクブレーキ
サスペンションフロント:正立フォーク式
リア:ダンパー式
フロント:正立フォーク式
リア:ダンパー式
フロント:正立フォーク式
リア:ダンパー式
ディスプレイ白黒液晶カラー液晶カラー液晶
価格¥247,500 (税込) ¥291,500 (税込) ¥313,500 (税込) 
カラーブラック、ミリタリーグリーン、サンドベージュ、ホワイトブラック、ミリタリーグリーン、サンドベージュ、ホワイトブラック、ミリタリーグリーン、サンドベージュ、ホワイト

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