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利用者1日200人、予約なし、自主管理でクラブ的な利用に
オートバイ専用練習コース「小石原川ダムふれあい公園」は、国道500号線沿いにあります。担当する都市建設部水のまちづくり課は、開設のきっかけをこう話します。
「きっかけは小石原川ダムの完成時に不要になった土地を朝倉市が買い取ったこと。(通常の)市民公園は居住地域に点在して設置されているので、ほかにない公園づくりができないかと考えていました。ここは小石原川ダム建設工事前からライダーのツーリングコースにあったので、ライダーに使ってもらうのがよいのではないかと」
朝倉市は人口5.1万人、面積の半分以上が山林に囲まれた地域です。朝倉市交通公園は、福岡市から九州縦貫道~大分道で約40分の場所にあり、国道500号線を使って大分県別府市や、日田市から国道212号を利用し、熊本県阿蘇市に抜けるなど地元ツーリングの定番コースの途上に位置します。
「国道500号も新しくなり、ツーリングの立ち寄り先にしてもらえたらと、再びライダーが増えるのを期待しています」(同水のまちづくり課)
こうして全国でも珍しい専用コースは、2022年4月24日に誕生しました。使用料が無料ということもありスタートから4か月、利用状況は好調です。
「夏場は暑いので50人ほどに少し減っていますが、シーズンには1日200人ほどの利用者があります。施設には清掃用具などを常備しているので、利用者が危険のないようにコース上を清掃していただくのが基本。利用者が練習に必要なカラーコーンなどを持ち込むなど、思い思いの活用をしていただき、地元では“バイク公園”と呼ばれるようになっています」(前同)
広さ約9000㎡、とにかく広い専用コース
数少ない練習コースということに加えて、施設の人気の秘密はゆとりある広さにあるようです。
バイク公園の広さは約9000㎡。例えば、富士スピードウエイのジムカーナコースは1万2000㎡ありますが、ここは四輪車兼用。バイク専用でこの広さは、全国屈指のバイク専用コースと呼べるものです。
この十分すぎる広さに、S字、クランク、一本橋、スネーク一本橋、8の字のおなじみの課題を常設。ペーパーライダーや初級者を対象にした初心者向けと中級者・上級者向けの2コースを設置しています。休憩ができるベンチも併設されています。利用は予約も不要なので気軽です。練習場所に困っているライダーにとっても、うってつけのスポットです。
さらに「周囲に民家はないので、エンジン音の苦情などはありません」(水のまちづくり課)という恵まれた立地だけに、早朝からの練習に気を使うことも少なそうです。
熊本県立の矢部高校には、高校の部活としては珍しい二輪車競技部があり、二輪車安全運転全国大会の常連出場校でもある同部は、SNS上にこんな書き込みをしています。
「コロナが落ち着いたら、生徒達連れていこう」
朝倉市はこの設備の利用に大きな期待を寄せています。
「バイクを対象にした交通公園は、西日本では少ない。福岡県宮若市に1コースを備えた交通公園がありますが、広く九州管内から目指して来てくれるようです。地元の活性化に役立てばと考えています。ぜひ朝倉市にも来ていただきたい。少し足を伸ばして地元の原鶴温泉などを利用していただき、朝倉市の魅力ををライダーのみなさんのSNSで発信していただければ」(前同)
●オートバイ専用練習コース「朝倉市交通公園」(小石原ダムふれあい公園)
・利用料=無料
・利用時間 6時~18時(4月~10月)、7時~17時(11月~3月)
・条件=免許保持者に限る。運転できる車両は免許で許されたクラスまで。
違法改造車両、ナンバーの無い車両は不可。
※免許取得のための練習はできません。
(文・中島みなみ 写真提供=朝倉市水のまちづくり課)