目次
ヤマハ・セロー250ファイナルエディション……¥588,500(生産終了)
ヤマハ・ツーリングセロー……¥644,600(生産終了)
「稀代の名車、その最終型を手元に残したい」がきっかけだった
2021年1月、2014年から乗り続けてきたホンダ・NC750Sの継続車検のためにショップへ持ち込んだときのこと。昨年中に完売したと思っていた新車のセローが、何と10台ほど並んでいるではないか。車検手続きの書類に記入しつつ、雑談がてらスタッフに聞いてみる。
「例えば、NC750Sを下取りに出してセローに買い換えたらいくらになりますか」
結果はお察しの通り。それから2週間後、我が家に新車のツーリングセローがやってきた。林道ツーリングに興味があるわけでも、また体力的に厳しくなったわけでもなく、ただ稀代の名車の最終型を手元に残したい、そんな想いからだ。これまでに何度もセローに試乗しているので、ネガティブな要素は十分把握している。その上で、実際にオーナーになってから何を長所に感じ、そして不満に思ったのか。包み隠さずお伝えしたい。
良いトコロその1:オンオフを問わない走りの楽しさ
今回、私のツーリングセローと乗り比べたことで、あらためて素のセロー250のバランスの良さに感心した。エンジンはバランサー付きの空冷シングル、最高出力は20psなので加速力はそれなりだが、秀逸なハンドリングに加えて車体が軽いので、峠道では同じ250ccクラスのオンロードモデルと対等に走れるのだ。つま先やステップを擦るまで寝かせるとタイヤがグリップ限界を超えはじめるものの、滑り出しが穏やかなので慌てずにコントロールできる。
そして、やはり秀逸なのが林道へ足を踏み入れたときの安心感だ。ホンダ・CRF250Lも同等の走りが可能だが、セローは正立フォークをはじめとするシャシー全体のしなやかさで路面を捉え続けるような印象があり、二輪二足でトコトコと進むシーンには最適だ。付け加えると、林道を荒らさないためにも、リアタイヤをスライドさせて土ぼこりを上げるような走りは慎むべきだろう。
良いトコロその2:無限大とも思えるカスタマイズの幅広さ
セローのカスタマイズの方向性はさまざまだ。ハンドルバーやステップ、タイヤなどをトライアル向けに変更して林道遊びに特化したものから、より積載力を高めてライトウェイトなアドベンチャーモデル風にしたものまで、とにかく幅が広い。そして、ありとあらゆるカスタマイズパーツがあり、しかもそれほど高くないというのも美点だろう。
良いトコロその3:約40km/ℓという燃費の良さ
あくまでも満タン法による計算だが、悪いときでも36km/ℓを下回ったことがない。私のセローの場合、初回1,000kmの時点で1ランクいいエンジンオイルを入れたのと、あとは適度に慣らしが進んだこともあってか、最近は40km/ℓをコンスタントに上回る。燃料タンク容量はCRF250Lの7.8ℓ、カワサキ・KLX230の7.4ℓよりも多い9.3ℓを公称し、残量が2.0ℓ以下になると警告灯が点灯する。これまでのデータから、満タン給油からの走行距離が250kmで点灯すると燃費は約36km/ℓ、280kmだと約40km/ℓというのがおおよその目安だ。
良いトコロその4:ツーセロ限定、非常に優秀な防風効果
ツーリングセローを手に入れて最も意外だったのがこれ。100km/h巡航ともなるとエンジンは高回転域(計算するとトップ5速で6,620rpm。ちなみに6速だった225時代は6,500rpm)をキープしなければならず、またSTDのシートは座り心地が悪いというネガ要素はあるものの、それを補って余りあるのがウインドプロテクションの優秀さだ。アドベンチャースクリーンは小さいながらも上半身に当たる走行風を積極的に減じてくれ、またハンドルガードも寒い時期に防風効果を感じることができる。そして、前後サスのグレードは決して高くないものの、しなやかなセミダブルクレードルフレームやワイヤースポークホイールらの相乗効果によって生み出される乗り心地は非常に優秀だ(ゆえにシートの座り心地だけが余計に残念に感じる)。
良いトコロその5:分からないことはWEB上にヒントあり!
セローシリーズの歴史は1985年にスタートし、排気量が225から250になってからも15年以上が経過している。インターネット上にはありとあらゆるトラブルの事例とその解決方法、裏技などが紹介されており、先人の知恵を拝借できるのもロングセラーモデルならではだろう。ちなみに私は、ヘルメットホルダーのハンドルバーへの移設や、USB電源をホーンから取り出す方法、GIVIのベースプレートをできるだけ後方へ装着する方法などをネットから得ている。この場を借りて御礼を申し上げたい。