カワサキ・Z900RSカフェ、走り込んで分かったZ900RSとの大きな違い。|詳密インプレから実走燃費まで解説

発売から間もないにも関わらず、入手困難なほど品薄となっているZ900RS。その話題のモデルをベースに、カフェレーサー風に仕上げた「Z900RSカフェ」を駆り、走り込んでみたところ、単にビキニカウルを付けただけではない、カフェモデルならではの魅力に気付かされた。

(REPORT:近田茂 PHOTO:山田俊輔)

※2018年04月09日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
カワサキ・Z900RSカフェ

カワサキ Z900RSカフェ……1,350,000円(消費税込み)

カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ
カワサキ・Z900RSカフェ

都内の桜が散り始めた先週の事、試乗用に拝借していたZ900RSカフェの返却に自宅を後にした。本来ならば30分も走ればひと仕事完了……のはずだったのだが、ふとひとっ走りしたい衝動に駈られた。春風の心地よさを満喫しながら峠道を流してみたい気分にかられたのが本音である。

特に当ての無いまま中央高速道に乗って下り方向へ。するとふと高校時代、半世紀も昔の記憶が蘇って来た。始業の2時間半前に家を出て田舎方向へ走り、ちょうど1時間で引き返して学校へ向かう通学前のミニツーリング。寒さの薄らいだ春先の空気感の中を駆け抜ける心地よさは格別の物があった。
今回そんな気分にさせてくれたのは、Z900RSカフェならではの、若干攻撃的なライディングポジションのせいだったのかもしれない。

記者の記憶が正しければカフェレーサーのブームは70年代の中頃にイギリスで流行りはじめ、その話題は日本にも渡来。過激なレーサーレプリカすら存在しなかった時代において、それは最もスポーティでエキサイティングなバイクだったのである。カフェレーサースタイルにおいて必須となるポイントはハンドルだ。普通のロードスポーツが採用しているアップハンドルを幅が狭い一文字ハンドルに換装する。
グリップ位置が遠く低くになり幅もスリム。さらにはバックステップやシングルシートに換装してスポーティな前傾姿勢と深いバンク角を稼ぎ出すのがお決まりのパターンだ。とは言え、普通の街乗りでそこまではやり過ぎと思う人は、その中間的存在のスワローハンドルを取り付ける事が多かった。
Z900RSカフェはまさにそんな当時のカフェレーサーを再現。スワロー然としたローポジションハンドルとフロントカウルの装備。シートやマフラーの仕上げも専用となり、ベースとなったZ900RSと比較して2 万円高いだけという価格設定もソソられる。

遠出がとにかく楽なのはZ900RS、一方のZ900RSカフェはちょっと攻めたい気分にさせてくれる

Z900RSカフェに跨がると若干の前傾姿勢となり、ヘルメットの中でやや上目づかいで前方を睨む感じとなる。これが峠道へと誘われた大きな要素となったことは間違いない。

タイトコーナーの連続する道志道を目指すと左、右への旋回と立ち上がりでのググッと背骨が詰まるような加速G を体感。シート高はZ900RSより20mm高く、少し腰を落としてのS 字切り返しなど、ライダーの動作がスポーティに決められる。

カワサキ・Z900RSカフェ

。腹筋と背筋とをバランスさせる操縦法が、峠道の走り方にイイ感じにシンクロしてくるから気分が良い。ニーグリップを利かせてやや背中を丸めながらのブレーキングから旋回そして加速までの一連の動作に夢中になれる感覚は、スポーツバイクを操縦する醍醐味のひとつなのだ。

沿道には満開の桜が出迎える中、アップダウンと屈曲路が続く峠道を軽く疾走する爽快感はバイクで旅する楽しみとはまた別の種類の走る楽しみを味わうことができる。マシンを扱いこなす楽しさ、気持ち良い汗をかける心地よさは格別。そこに魅力を感じるユーザーならZ900RSよりもこちらの“カフェ”がおすすめだ。

燃費は思いのほか良好の約20km /L

今回は撮影や市街地の足代わりも含めて郊外、高速と峠道と合わせて約220㎞を走行。メーターによる平均燃費はちょうど20㎞/Lを示していた。なお、満タン法計測による実燃費率は19.5㎞/Lだった。エコランを心がけたわけではなく、自由に楽しく走った割にはなかなかの好燃費率である。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…