インドネシアで発表ほやほやのホンダ新型CBR250RR。MotoGP「もてぎ」で生で見た! よりシャープな顔で空力アップ? 走りにも期待大

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
ホンダの新型CBR250RRの現物をMotoGP「もてぎ」でチェック
ホンダのライトウェイト・スーパースポーツ、新型「CBR250RR」の市販予定車とレースベース車が、「MotoGP日本グランプリ」(2022年9月23日〜25日・モビリティリゾートもてぎ)のホンダブースで展示されたので、現物を早速見てきた。

2022年9月19日にインドネシアで発表された新型モデルは、フェイスデザインなど外観を若干変更し、グレードもスタンダードモデルとSP、クイックシフター標準装備のSP QSといった3タイプを設定(インドネシア仕様の場合)。さらに、SPとSP QSはエンジンの最高出力を41psから42psにアップ、倒立フロントサスペンションにはSFF-BPタイプを採用するなどのアップデートが行われている。

現在、250ccクラスで、若い世代からベテランライダーまで、幅広いライダーに支持されている人気モデルの新型だし、現行モデルは筆者も前から気になっていた1台だ。当日、展示ブースでは、公道仕様の市販予定車に加え、レース仕様車も並べられ、跨がることこそできなかったが、手で触れられるほど間近でみられることができたので、早速その印象などをレポートしてみよう。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●平塚直樹、本田技研工業、カワサキモータースジャパン

モノトーンでスポーティなボディカラー

筆者が新型CBR250RRを見に行ったのは、9月25日の決勝当日。熱帯低気圧の影響による前日までの雨も上がり、清々しい秋晴れとなった「もてぎ」には、3年ぶりのMotoGP日本グランプリを見ようと大勢の人でごった返していた。午後の決勝は12時からなので、その前に新型CBR250RRをじっくり見ようと、早速ホンダのブースへ足を運ぶ。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
ホンダブースに展示された新型CBR250RRの市販予定車2台

すると、ブース中央の展示スペースに、ホワイトとブラックのマシンが2台。まわりはロープで囲ってあるので、跨がったりはできないが、手を伸ばせば触れられそうな位置に鎮座していた。ホワイトが公道仕様の市販予定車、フロントカウルにヘッドライトのグラフィックがダミーで描かれているブラックがレース仕様車のようだ。

まずは、公道仕様のほうからじっくり見てみる。ボディカラーは先に発表されたマレーシア仕様には設定がない、ホワイトのボディにブルーのライン、サイドカウルにはブラック系のカラーも採用した仕様だ。現行モデルをはじめ、ホンダのスーパースポーツといえば、トリコロールやマットブラック系のカラーが定番だが、全体的にモノトーンな感じがスポーティさを演出し、これはこれでアリ、好印象だ。

ただ、ちょっと気になったのがホイールの色。ボディカラーと合わせたホワイトカラーとなっていて、全体的なマッチング感は抜群なのだが、走った後の掃除は、やや大変そうだな。ブレーキダストなどの汚れが目立つからだ。ブレーキダストは、放っておくと固着してしまい取りづらくなるので、こまめな掃除は当然なのだが、特にホワイトホイールは気を遣いそう。筆者が、もしこのカラーのバイクを実際に所有したとすると、ツーリングなどバイクで出かけた後は、必ずホイールを磨くことになりそうだ。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRのフロントサスペンションやブレーキ

顔付きはよりシャープに

次は、フロントカウル。カウルの形状が変わっていることが、ぱっと見ても分かる。現行モデルと比べ、スクリーン下からノーズ部にかけてのセンター部が、より盛り上がり、エッジが効いたシャープなデザインになっている。より精悍なイメージになったな。また、この盛り上がった部分は、前方からの走行風を上手く後方へ流す効果も高そうで、おそらく空力特性も向上しているのではないかな、と予想できる。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRのフロントカウル

さらに、サイドカウルの形状も、エアダクト部がより細くなっているが、これも何か空力関連のアップデートだろうか。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRのサイドカウル

加えて、燃料タンクのカバーは、よりボリューム感が増している。CBR250RRは、サーキットなどでスポーツ走行を楽しむユーザーも多いが、コーナーでイン側にヒザを出しながら上体を大きく入れ込むハングオフ・スタイルをする際、アウト側の腕をよりホールドしやすい形状にしたのだろう。実際に、跨がっていないので定かではないが、リヤビューなどのスタイル的なインパクト感と相まって、スポーツ走行での実用性もより向上したことが予想できる。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRの燃料タンク

なお、マレーシア仕様車には、前述の通り、クラッチ操作なしでシフトアップ/ダウンができるクイックシフターを標準装備した、SP QSというグレードも設定されているが、今回の展示車は通常のシフトペダル仕様。国内仕様のグレード展開はまだ未発表だが、もしマレーシア仕様と同じ展開になるとすれば、展示車はスタンダードモデルかSPということになる。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRのシフトペダルやステップ

レース仕様車はサスペンションなどを強化

一方、ブラックの外装をまとったレース仕様車。公道仕様車とやや形状が異なるフロントカウルには、MotoGPホンダワークスのエースライダー、マルク・マルケス選手のゼッケン「93」が付けられるなどで、よりレーシーなフォルムを持つ。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRレース仕様車

外観を見た感じで、レース仕様車が公道仕様車と違うのは、まずクイックシフターが装備されていること。また、左右のステップも、下部にバンクセンサーの役割をする突起が付いている公道仕様車と違い、突起はないし、形状もレース仕様車でよくみるタイプに変更されている。また、マフラーは、アフターパーツメーカーの「エンデュランス」製だ。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRレース仕様車にはクイックシフターを装備
ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRレース仕様車のリヤビュー

新型の走りは旋回性がよりアップしているかも

以上が、今回の展示車両を見た主な印象だ。新型CBR250RRのマレーシア仕様では、SPとSP QSは最高出力を41馬力から42馬力にアップされているから、国内仕様も同様の馬力になることが予想できる。わずか1psのアップではあるが、車両重量が166〜168kgと、現行モデルと同様に超軽量なこともあり、スロットレスポンスや加速性能などには違いがでるかもしれない。

ちなみに、マレーシア仕様のスタンダードモデルでは、最高出力が38.7psに抑えられているが、その分、街乗りなどでは扱いやすいこともうかがえる。さらに、パワーを抑えているため、逆に燃費はスタンダード仕様の方がいいかもしれない。もし、国内仕様にも同仕様が設定されるのであれば、ロングツーリングなどをメインとするライダーには最適だろう。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRのエンジン

また、新型の車体は、マレーシア仕様の場合、
全長2061mm×全幅724mm×全高1114mm、ホイールベース1385mm。

一方、現行モデルの国内仕様が
全長2065mm×全幅725mm×全高1095mm、ホイールベース1390mm。

新型モデルの国内仕様が、マレーシア仕様のボディサイズと全く同じになるかどうかは不明だが、もし同じだと仮定すると、全高以外は全体的にややコンパクトになることが分かる。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRのリヤビュー

特に、新型のマレーシア仕様は、全長が4mm短いが、ホイールベースはさらに5mm短くなるので、車体をよりショートホイールベース化をしているのかもしれない。もし、そうであれば、従来から高い旋回性がより高まり、街乗りでの細い路地やUターン時での取り回しが向上していることも考えられる。さらに、ワインディングやサーキット走行などでも、より俊敏な走りが楽しめそうだ。

ほかにも、新型では、倒立フロントサスペンションにSFF-BPタイプを採用している。片側フォークに減衰機構とスプリング、もう片方にスプリングのみを装備したタイプで、摺動抵抗の低減と車体の軽量化に貢献する。近年のホンダ製スポーツモデルはもちろん、CBR250RRのライバル、カワサキ「ニンジャZX-25R/SE」にも採用されているサスペンションだ。新型のフロントサスが、このタイプになったことで、どんな走りを味わえるのかも気になるところだ。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
新型CBR250RRは倒立フロントサスペンションにSFF-BPタイプを採用

以上、妄想も含め、いろんなことが予想できる新型CBR250RR。筆者は、1度、現行モデルを市街地で乗ったが、ただ扱いやすいだけでなく、軽量な車体とアクセルレスポンスの良さがあいまったスポーティな乗り味も印象的だった。さて、新型がどんなマシンに仕上がっているのか、今から試乗するのが楽しみだ。

ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
CBR250RRの現行モデル
ホンダの新型CBR250RRをMotoGPもてぎで見てきた
カワサキ・ニンジャZX-25R SE

最後に、余談だが、日本グランプリでは、Moto2クラスで「イデミツ・ホンダ・チームアジア」の小椋藍選手が、母国大会で16年ぶりに日本人ウイナーとなる快挙を達成。現場で見ていた筆者も感動ものだった。小椋選手、おめでとうございます!

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…