【01】「田中愛生のアフリカ・エコレースへの道」/バイク女子がサハラ砂漠を目指すまで

皆さん、はじめまして! 
オフロードバイクが大好きな田中愛生と申します。
これから「愛生のアフリカ・エコレースへの道」と題し、定期的に記事をアップさせていただけることになりました。どうぞよろしくお願いします!
編集●佐藤旅宇

田中愛生

 この連載では、「アフリカ・エコレース」(以下AER)出場の準備に奔走する私の様子をユルく(真面目過ぎても面白くないので)レポートしていくつもりです。

AERとは何ぞや?

大学時代は父と共に様々な場所をツーリング

 まずはAERとは何ぞや?という人のために簡単にご説明しますね。

 AER(AFRICA ECO RACE)は冒険レースの側面が色濃かった「パリ・ダカ(パリ-ダカール・ラリー」への回帰を謳い、2009 年から毎年開催されている国際ラリーです。ルートはモナコをスタートし、モロッコやモーリタニアを駆け抜けてセネガルのダカールの海岸でフィニッシュするという過酷なものです(総距離6000㎞以上!)。
なぜ「エコ」かというと、自然との共存や持続可能性を意識して運営しているから。ラリーの収益は通過地域の環境改善などのために役立てられています。

 私はオフロードバイクのスペシャリストではないですし、いまのところ海外ラリーの経験もないのですが、砂漠を走るライダーのカッコ良さに魅了され、無謀にも2024年大会への出場を目指しています。

 今回の記事では、自己紹介として私がバイクに乗り始めたきっかけから、これまでのバイクライフ、AERへ憧れを抱くようになった経緯を簡単に書きたいと思います。

ライダーになったきっかけは父の強引な勧め

 いまでこそ大好きなバイクですが、乗り始めたきっかけは父の強引な勧めでした。18歳になって四輪免許を取ろうと思ったら、父から「二輪免許も一緒に取得するなら教習所などの費用をすべて出す」と言われたのです。何となく気が進まないまま教習所に通ったのですが、いざバイクに乗ってみると、私はその面白さにすっかり引き込まれました。

 さらに教習中に東日本大震災の際にオフロードバイク隊がボランティア活動をしていることを知り、バイクに対するイメージも大きく変わりました。当時、私は大学で社会貢献について学んでいたので、こうした形でバイクが社会の役に立つことができる事実に驚いたんです。免許を取ったら絶対オフロードバイクに乗ろう、そう思いました。  

バイクで東日本大震災の被災地へ。震災復興のボランティアに従事したこともあります

 父が所有していたバイク雑誌やビデオを通じて、風間深志さんや山村礼子さんといったバイクの冒険家を知ったのもこの頃です。とくにパリ・ダカで砂漠を走る姿にはひと目で魅了されました。

2017年に一人で行った北海道一周ツーリング

 免許取得後、初めて乗ったバイクは父が所有していたホンダ AX-1(渋すぎw)。後に自分でヤマハ ツーリングセロー250を買ってあちこちツーリングに出かけるように。
 バイクツーリングはマシンを自在に操る面白さに加え、さまざまな出会いや発見をもたらしてくれることをこのとき知りました。大学卒業すると、北海道をソロツーリングしたり、語学留学先のニュージーランドでも知人から借りてバイクに乗ってましたよ。

風間事務所の面々と箱根ツーリングへ。BMW HPエンデューロに乗っているのが風間深志さん

三好礼子さん&風間深志さんと運命の出会い

 ニュージーランドの語学留学から帰国後、私は思うところあって長野県白馬村に移住しました。なるべく自然と共生した暮らしを自分なりに追求してみたいと思ったのです。そして、大きな転機が訪れます。
三好礼子さんが営む「ペレファ・カフェ」(長野県松本市)を訪れると、礼子さんが実際にパリダカを走ったマシンが展示されていました。興味しんしんでマシンを眺める私に礼子さんはこう言ってくれたのです。

「頑張れば愛生ちゃんだって行けるよ」

 それまで漠然とした憧れでしかなかった「パリ・ダカ」が少しだけリアルになった気がしました。しかも礼子さんの仲介で(憧れの)風間深志さんの元で仕事をさせてもらうことに。まさに運命の出会いでした。

いつも応援してくれる三好礼子さん。写真は初めてお会いした2015年のもの)

アフリカ・エコレースを走りたい!

 普通なら不可能と投げ出してしまうようなことも、不屈の精神とバイタリティで実現してしまう風間深志さん。約3年間わたり、そんな風間さんの姿を間近で見続けながら働いたことで、私も「サハラ砂漠を走る」という大きな夢に向かって一歩踏み出す勇気をもらえました。
 モトクロスやエンデューロといったオフロード競技でまったく実績のない私にとってAERは完走はおろか、出場自体が高い壁です。ライディングやメカのスキルアップはもちろん、人間として、ひと回りもふた回りも成長する必要があると思っています。応援よろしくお願いします!

エンデューロレースやモトクロスレースに参加しつつ、テクニックを磨いています

ライター紹介/田中愛生(TANAKA Ai)

田中愛生

バイク好きの父の影響で二輪免許を取得。初めてのバイクはセロー250。大学卒業後ニュージーランドへ語学留学し、帰国後2016年より長野県白馬村に移住。2018年より三好礼子氏の紹介により風間深志氏が代表を務めるNPO法人 地球元気村で勤務。2022年に退職し、現在はフリーランスで営業職をこなしながら、海外ラリー参戦に向け、国内のエンデューロやラリーレイドに参戦してライディング技術を磨く。最終目標は2024年1月の「アフリカエコレース」参戦。
現在は東京との二拠点生活。所有バイクはヤマハ・ツーリングセロー250、セロー225、ホンダ CRF150RB、BMW  F650GS等。1994年生まれ。群馬県出身。

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