車重は380kgの乗り心地は「THEアメリカンの雄大さ」、この一言に尽きる。|インディアン・チャレンジャーリミテッド試乗

昨年本国デビューした“チャレンジャー”の最高グレードであるリミテッドにJAIA(日本自動車輸入組合)試乗会でプチ試乗。バリエーションも豊富になった同社最新鋭、最強モデルの走りをチェックした。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ポラリス ジャパン株式会社

※2021年5月14日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
ディープウォーターメタリック
インディアン・チャレンジャーリミテッド
サンダーブラックパール…….3,698,000円
インディアン・チャレンジャーリミテッド
ルビーメタリック…….3,738,000円
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャー(チタニュームメタリックスモーク)…….3,450,000円
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーダークホース(スモークホワイト)…….3,688,000円

フレーム剛性の高い、しっかりとした乗り味。

インディアン・チャレンジャーリミテッド

 最新モデルだけに当然の様にスマートキー方式。メーター右脇にある4輪乗用車と同様なスターターボタンをワンプッシュするとエンジンは簡単に始動する。
 全長が約2.5m、ホイールベースは約1.67mもある車体は流石にドデカイ。車重も約380kgもあるだけに、その堂々たる貫祿の前に少し怖じ気ついてしまうが、実際に股がってみると意外な程フレンドリーである。
 その理由は足つき性が良い事。大型のカウルがフレームマウントである事。また、倒立式フロントフォークの採用と、明らかに高剛性に感じられるフレーム等の影響で、車体の引き起しや操舵フィーリングが、以前試乗したチーフテンよりも軽快に感じられたから。

 大きな差ではないが軽快故に、取り扱いもスムーズでダルさを感じない。扱いに対する車体挙動のレスポンスが素直であり、少しスポーティなキャラクターが加えられた様に思えた。

 Vツインエンジンは水冷だけどシリンダーヘッドにはフィンが刻まれた他、クロームメッキカバーで綺麗に化粧されている。車体関係はほぼ全てがカバーリングされているが、パワーユニットと水平ロングマフラーの存在を目立たせたデザインセンスも印象深い。
 装備面も最新鋭の物が奢られ、フルカラーディスプレイはタッチパネル式。走行中はハンドル左スイッチでそれを賄うこともでき、慣れると扱いやすそう。
 エンジンは排気量のダウンサイジングを感じさせないビッグトルクが発揮されており、なおかつスムーズな吹き上がりを発揮。レッドゾーンが始まる5,000rpmまでは、苦もなく軽やかに伸びる。
 チーフテンで感じられたOHVロングストロークエンジンらしい吹き上がりも魅力的ではあったが、チャレンジャーのSOHC4バルブエンジンもまた清々しく、特にスロットルレスポンスの軽快さには楽しさを覚えた。
 ハンドリングも旋回時の自然操舵が適切でUターンも素直に扱える。切り返す時のレスポンスもオットリと鈍い雰囲気が薄れ、スポーティなキャラクターへの進化が感じられるものだった。

 ローギヤでエンジンを3,000rpm回した時のスピードは、メーター読みで約35km/h。6速トップギヤで100km/hクルージング時のエンジン回転数は2,250rpmだった。オートクルーズコントロールを活用して遠出するのも楽ちん。
 31度が確保されているバンク角も、実用上は十分と思われる。ボードタイプのステップに足を乗せてクルージングコントロールを活用してロングツーリングする快適性は侮れない。そんな移動道具としての機能性のみならず、旅先でひと山超えるルートを選んでも、不満のない気持ち良い走りが楽しめそう。
 あえてチーフテンの乗り味と比較すると、極低速時の扱いで、少しギクシャク感が発生する。もちろんその反面としてスムーズで軽快感のあるチャレンジャーの出力特性はまた魅力でもあるわけだ。

足つき性チェック(ライダー身長168cm/52km)

インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
インディアン・チャレンジャーリミテッド
ご覧の通り両足はベッタリ地面を捉えることができる。シート高は672mm。重量車を支える上でも安心できる足つき性だ。

ディテール解説

インディアン・チャレンジャーリミテッド
大型アッパーカウルにショートスクリーンの組み合わせが個性的。スクリーンは電動上下できる。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
フロントフォークは倒立式。ダブルディスクブレーキローターはφ320mmのセミフローティングタイプ。ブレンボ製の対向4ピストン油圧キャリパーをラジアルマウント。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
「パワープラス」と呼ばれる新エンジンは水冷60°Vツイン。SOHC4バルブヘッドが採用された1768ccだ。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
クランクケースカバーは美しくクロームメッキされ、オリジナル・マークがあしらわれている。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
全幅は990mm。いかにも大柄なライディングポジション。操舵フィールは意外と軽快。ハンドルスイッチもクロームメッキされている。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
左側のハンドルスイッチは、ホーン、右がディマー、中段がウインカー&ハザード、そしてオーディオやディスプレーのコントロールスイッチだ。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
始動用スターターボタンは液晶ディスプレイ右脇にある。ハンドル右側スイッチは上から順にエンジンキルスイッチ、クルーズコントロール、電動スクリーンの上下スイッチだ。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
4輪乗用車を思わせるツインメーター。それぞれに四角い液晶表示が組み込まれている。左は燃料計と航続(予測)距離が示されている。右のレッドゾーンは5,000rpmから。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
ツインメーターの下にセットされた7インチ液晶ディスプレーはタッチスクリーンコントロールに対応。様々な車両情報表示の他スマホとの連携も可能。ナビも装備済みだが、残念ながらアメリカ本国仕様だ。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
ダブルステッチが入れられて、丁寧に仕上げられたダブルシート。前後に段差があり、シートストッパーとして機能する。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
しっかりとボルトオンされたサイドパニア。サイドヒンジ方式が採用されその部分もオリジナルデザインで綺麗に化粧(カバー)されている。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
蓋はキーロック付き。普段はワンプッシュで簡単に開く。上面からの出し入れも扱いやすい。
インディアン・チャレンジャーリミテッド
右側で一旦集合した排気は、後輪の直前で左右にセパレートされ、水平に伸びるツインマフラーへ導かれる。

⬛️主要諸元⬛️

全長(mm):2500
全幅(mm):990
全高(mm):1340
ホイールベース(mm):1670
シート高(mm):672
最低地上高(mm):137
重量(kg)燃料タンク空/満タン:362 / 381
最大許容重量(kg):628

エンジンタイプ:PowerPlus
排気量:1767cc
ボア x ストローク(mm):108 x 96.5
圧縮比:11.0:1
電子制御燃料噴射システム:クローズドループ制御 / スロットルφ52mm デュアルボア
排気システム:レゾネータ付きスプリットデュアル
最高出力:90kW(122hp)
最大トルク:178Nm/3800rpm
クラッチ:湿式多板式・アシスト付き
一次減速:ギアドライブ
ギア比(全体):
 1速 10.169
 2速 6.933
 3速 5.151
 4速 4.105
 5速 3.508
 6速 3.017
最終減速比:2.379

サスペンション(前/後):
 φ43mm倒立式テレスコピック
 油圧プリロード調節式Fox製モノショック・ハイト調節付き
サスペンション・トラベル(前/後・mm):130 / 114
ブレーキ(前/後):
 デュアルブレンボφ320mmセミフローティングローター4ピストンラジアルキャリパー/
 ブレンボシングルφ298mmフローティングローター2ピストンキャリパー
タイヤ(前/後):/Metzeler Cruisetec 130/60B-19 66H / 180/60R16 80H
ホイール(前/後):インディアンレッドピンストライプ入り 19 "x 3.5" / 16 "x 5"
キャスター:25°
トレール(mm):150
リーンアングル:31°
燃料タンク容量(L):22.7
インディアン・チャレンジャーリミテッド

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…