MT-10 SP ABS 久々に乗ったけれど、あいかわらずの過激さだった。|ヤマハ試乗記

昨年10月26日に新発売されたヤマハの最強ネイキッド。EXCLUSIVE Model として国内販売されている。今回の試乗車両は電子制御サスペンションを採用するなど、ひときはプレミアムな豪華装備が施されたSP仕様である。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●ヤマハ発動機株式会社

ディテール解説

ヤマハ・MT10 SP

個性的なフロントマスク。左(写真右)側のヘッドランプがロービーム。逆がハイビームになっているモノフォーカス式LED。眉毛の様に精悍な表情を醸すLED式マーカーランプ。両脇後方のエア吸入ダクトが迫力もの。ランプ下部に見えるのは、ステアリングダンパーだ。

ゴールドに輝くφ43mmの倒立式フロントフォークはオーリンズ製の電子制御サスペンションを装備。ボトムのキャリパーマウント部分はフレームと同色処理された。標準仕様にはKYB製フォークが装備されている。フローティングマウントされたダブルディスクローターはφ320mm。対向4ピストンラジアルマウントキャリパーはアドヴィックス製。

ヤマハ・MT10 SP

もちろんオリジナルチューニングが施されているが、基本的にはYZF-R1のパワーユニットと共通。水冷DOHC16バルブの直(並)列4気筒エンジンは、圧縮比が13.0対1から12.0対1に下げられた。アンダーカウルの標準装備はSPの証。

ダミー ダミー

ヤマハ・MT10 SP

2段膨張室を採用する排気系。マフラーカバーデザインも一新しアルミカラーに変更。逆にステップステー周辺はフレームと同色の黒系に統一された。

ヤマハ・MT10 SP

スプールバルブ内蔵のオーリンズ製電子制御式サスペンションを装備。ボトムリンク式モノクロスサスペンションだ。標準仕様にはKYB製ショックが使われている。

ヤマハ・MT10 SP

装着タイヤは専用新開発されたブリヂストン製BATTLAX ハイパースポーツS22R。従来のS20より細いグルーブを多くあしらったパターンデザインが印象的。ブレーキはφ220mmのローターにNISSIN製シングルピストンのピンスライド式キャリパーが採用されている。

車幅は800mm。ブラックアウトされたパイプバーハンドルはテーパードタイプ。ハンドルホルダーが斜めにレイアウトされ、がっちりと剛性感がある。マスターシリンダーは別体式だ。

ヤマハ・MT10 SP
標準的スイッチは左側にレイアウトされて扱いやすい。右側は下から順にハザード、クルーズコントロール、MODE用アップダウンスイッチ。MODEスイッチは人差し指で扱う。
ヤマハ・MT10 SP
赤いスイッチはエンジンキルスイッチ兼、始動用のスターター。下はMENU用ホイールスイッチ。メーターディスプレイのスクロールやリセット操作に使用する。
シフトリンケージロッドにセンサーを装備。アップ、ダウン両方に使えるクィックシフターが標準装備されている。
ブレーキレバーユニットには、ブレンボ製の純ラジアルマスターシリンダーが奢られている。
ヤマハ・MT10 SP

4.2インチサイズのTFTフルカラーディスプレイを採用したメーター。夜間やトンネル等では白黒反転表示となる。なお、スタンダード仕様にも新たに同様のフルカラーディスプレイが奢られた。イグニッションスイッチの右側には12V1Aのアクセサリーソケットがある。

シートの両ショルダー部にダブルステッチの入れられた前後一体式ダブルシートは上質な仕上がり。
テールカバー部だけでなく、電装系デバイスのレイアウトもより整然とリファインされた。
ヤマハ・MT10 SP

テールビューのフィニッシュもスッキリと一新されている。レンズデザインも変更された。シートエンドにマウントされたテール&ストップランプはLED式。

ヤマハ・MT-10/〈MT-10SP〉 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式:8BL-RN78J/N537E
全長/全幅/全高(mm):2,100/800/1,165
シート高(mm):835
軸間距離(mm):1,405
最低地上高(mm):135
車両重量(kg):212 〈214〉
燃料消費率(km/L):23.8(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値(km/L):15.6 1名乗車時
最小回転半径(m):3.4

原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列:直列, 4気筒
総排気量(㎤):997
内径×行程(mm):79.0×50.9
圧縮比:12.0:1
最高出力(kW):122(166PS)/11,500rpm
最大トルク(Nm):112(11.4kgf・m)/9,000r/min
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量(L):4.10(フィルター交換時)
燃料タンク容量(L):17(無鉛プレミアムガソリン指定)
燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V-8.6Ah(10HR)/YTZ10S

1次減速比/2次減速比:1.634(67/41)/2.625(42/16)
クラッチ形式:湿式多板
変速装置/変速方式:常時噛合式6速/リターン式
変速比:
 1速…2.600 (39/15)
 2速…2.176 (37/17)
 3速…1.842 (35/19)
 4速…1.578 (30/19)
 5速…1.380 (29/21)
 6速…1.250 (30/24)
フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター(度):24°00′
トレール(mm):102
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/190/55ZR17M/C (75W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
サスペンションストローク(mm・前):120
乗車定員:2名

試乗後の一言!

ヤマハ・MT10 SP
近田茂

凄まじいばかりの高性能ぶりには心底脱帽です。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…