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ハスクバーナ・スヴァルトピレン125……53万9000円(消費税込)
マシン解説
原付二種とは思えぬハイスペックな作り
ハスクバーナはかつてオフロードモデルで一世を風靡したことで知られるが、その起源は17世紀に創業した王室御用達の銃器メーカーだったという。バイクを作り始めたのは20世紀になってからだが、ブランドとしては300年以上続く老舗中の老舗。今のブランドロゴも王冠と銃口がそのモチーフになっていると伝えられる。どことなく中世のゴシック様式を思わせる重厚感のあるスヴァルトピレン125のデザインは、そんな歴史を感じさせるものだ。
水冷単気筒125ccエンジンをスチール製トレリスフレームに搭載するスヴァルトピレンには、同じ車体を共有する250(249cc)と401(373cc)がある。排気量が増えれば当然馬力も上乗せされるわけで、最高出力は125の15psに対し250は31psと約2倍、401は44psと約3倍なっている。つまり、そのエンジンパフォーマンスを受け止める車体が必要なことから、125にも最初からハイスペックなパーツが奢られているのがポイントだ。
例えば足まわり。前後サスペンションはレースでも実績のあるWP製、ブレーキもブレンボの小排気量向けブランドであるBYBRE製を採用。ABSはボッシュ製で後輪のみ解除可能なスーパーモトモード付きという豪華さだ。厳ついブロックタイヤにワイヤースポークホイールという組み合わせが示すとおり、スヴァルトピレン125はその気になればダート走行もこなすスクランブラーなのだ。そこにハスクらしい土の香りを感じる。
ライディングポジション
試乗インプレッション
アクセル全開、高回転キープの走りが楽しい
スヴァルトピレン125はこのクラスとしては大柄で迫力ある見た目も含め、とても原2とは思えぬ存在感がある。未来からやってきた異形のマシンのようでもあり、厳ついタイヤや剥き出しの骨格などがベビーデューティな道具感も醸し出している。なんとも例えようがないところが、唯一無二の魅力になっていると思う。
ハスクにはスヴァルトピレンと対をなすヴィットピレンというスポーツネイキッドがあって、そちらは低いセパハンで上体が前傾したライポジが特徴。一方、こちらはオフ車のようなアップハンドルが付いているため上体が起きた楽な姿勢がとれる。その点でダートはもちろん、街乗りメインや長距離でも疲労は少ないと思う。
まずエンジンがいい。水冷4スト単気筒DOHC4バルブで1万rpm近くまでスムーズに吹ける高回転型で、シフトワークを駆使しつつパワーバンドキープで走るのが楽しい。公道でもアクセル全開にできるのは125ccならでは。大排気量モデルのような発進でドカンとくるパンチはないが、とにかくスムーズ。前述のように強靭な足まわりやフレーム構造を含め、完全に車体が勝っているのでコーナリングも安定している。ちょっとやんちゃな乗り方をしても何も起きないような安心感があるのだ。以前、兄貴分のスヴァルトピレン401にも試乗したことがあるが、長いストロークの前後サスとブロックタイヤのおかげで、比較的フラットな林道なら問題なく走れた記憶がある。
走りの良さには理由がある。実はこのマシン、同じグループ企業であるKTMの125デュークともエンジンと車体を共有しているのだ。KTMといえばMotoGPやダカールラリーでも輝かしい実績を残してきたブランドだ。外観はまるで異なるが、その走りの哲学とクオリティは引き継がれている。また、原付二種免許で乗れるということはファミリーバイク特約にも入れるし、維持費も含めたコスパも高いと言える。ちょっとお洒落なセカンドバイクとしてもおすすめだ。
ディテール解説
佐川健太郎(ケニー佐川)
早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
●主要諸元
エンジン形式 :水冷DOHC 4バルブ単気筒 総排気量 :125cc 最高出力 :11 kW(15PS)/9,500rpm 最大トルク :12Nm/7,500rpm 変速機 :6速 タイヤ(F/R):110/70 R-17”/150/60 R-17” ホイールベース :1,357mm±15.5mm シート高:835mm 燃料タンク容量:約9.5ℓ 車輌重量:約146kg(燃料除く) 保証期間:2年間 生産国:インド