モトコンポは同時に発売された新型小型車、シティのトランクに積載可能とするため開発されたトランクバイクというのがウリだった。この2台で六輪ライフを提唱したわけだが、背の高いトールボーイデザインのシティは大いに売れたものの、トランクへモトコンポを積む人は少なかった。
当初の月間販売目標はシティが8000台でモトコンポは1万台としていたものの、実際にはシティが1万台でモトコンポは半数も売れなかったのではないだろうか。それくらい不人気で、当時ホンダ・ディーラーに勤めていた方から聞いた話では「あまりに売れないから仕入れ値で叩き売ったけれど、それでも余った」とか。モトコンポの新車価格は8万円で、最終的には3万円くらいまで値引きされたそうだ。
だからモトコンポの生産が終了しても中古車相場は激安。1万円とか2万円で買えたものだし、1980年代なら友人や知人からタダでもらうというのもよく聞く話だった。ところが新車から20年も経つと状況が変わってくる。2000年代になったくらいからだろうか、モトコンポの人気が盛り上がり始めるのだ。これは4MINIブームの影響もあったかもしれない。まだ当時はそれほど売り物が豊富にある状況ではなく、ヤフオク!などで数台が散見される程度。ちょっと変わったバイクが欲しいという人向きの存在だった。
ところが2010年代になると人気が定着して、絶えず売り物が見つけられる状況になる。実際、筆者の友人はヤフオク!で2015年に6万2000円で落札している。とはいえ、またヒト桁万円だった。それから6年経った現在、中古車相場は3倍以上に達している! 漫画の影響や可愛らしいスタイル、それに中古バイク全般の価格が上昇したことなど、要因は様々。けれど、これは異常な高騰ぶりといえるだろう。では実際、いくらくらいで流通しているのだろうと思い、調べてみることにした。
まずは価格が安いだろう個人売買で調べてみよう。ヤフオク!で現在価格が安い順にチェックしてみる。すると最安値はなんと15万円! しかも残り2日ですでに2件の入札があるから、まだまだ価格は上がるだろう。実際、普通に乗れる状態で落札しようと思ったら20万円前後を用意しなければならないようだ。
それでは逆に現在価格が高い順にして、極上車がいくらくらいになっているのか調べてみた。すると、驚愕の値段が表示された。なんと最高値は77万円! 新車価格が8万円のトランクバイクが十倍近い価格まで上昇しているのだ。これはスーパーカブのエンジンを載せたものだから例外としても、その下にある未登録の新車と思われる個体が55万円。もはや何もいうことが見つからない、絶句状態だ。
本当にこんな相場なのか疑問に思ったのでグーバイクで販売店が売り出し中の中古車で検索してみた。すると最高値は65万円で、そのあとも40万円台の売り物が続いている。極上車であれば、もはや50万円クラスのバイクになってしまったのは間違いないようだ。
いやいや、モトコンポなんだからもっと安く買いたい!と思う人もいるだろう。そこでグーバイクに掲載されている中古車を安い順に調べてみると、これがまぁ高い。最安値は28万円で諸費用を入れると35万円。価格が高いものでも支払総額でみると35万円から40万円といった相場感のようだ。
これから季節は秋本番で、絶好のツーリングシーズンがやってくる。もしかしたら相場はさらに上がるかもしれない。逆季節が冬になれば相場が落ち着くことも考えられる。モトコンポを買うならいつがいいのかは、もう運次第のようだ。