スズキ・GSX-8S試乗記|この新型パラツインエンジンは”脳がバグる”フィーリング。

スズキの新型スポーツアドベンチャー、Vストローム800DEの775cc水冷パラツインとメインフレームを共有し、GSX-S1000に通じるマスフォワードデザインを与えられたのが、ブランニューモデル「GSX-8S」だ。ミドルクラスのネイキッドと言えば、全世界で販売累計12万台をオーバーするヤマハのMT-07が大人気だが、GSX-8SはそのMT-07よりも排気量は87cc大きく、車重は18kg重く、そして車両価格はおよそ25万円も高い。果たしてどんな走りを見せてくれるのだろうか。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

最高出力80psを発生する775cc水冷並列2気筒エンジンはVストローム800DEと共通だが、排気系に関してはGSX-8S専用の2-1ショートタイプとされる。サウンドはジェントル系だ。
任意にキャンセル可能なクイックシフターを標準装備。シフトアップは2,000rpm以上、シフトダウンは1,700rpm以上で作動し、街中においてもスムーズに変速できることを確認。
KYB製の倒立式フロントフォークは非調整式で、ホイールトラベル量は130mm。アルミキャストホイールはGSX-S1000とも異なる新デザインだ。標準装着タイヤはダンロップ・スポーツマックスロードスポーツ2で、内部構造やコンパウンドをGSX-8S専用設計としている。
リヤサスはリンク式モノショック(KYB製)で、7段階のプリロード調整が可能。標準位置は最弱から3段目だ。ブレーキキャリパーは前後ともニッシン製で、フロントにはラジアルマウントの対向式4ピストンをチョイス。ブレーキレバーは5段階の開き角調整が可能だ。
アルミ製のテーパーハンドルを採用。クランプはトップブリッジと一体式とされる。メーターの表示切り替えや走行モードの変更など各種操作は、左側にあるセレクトスイッチとモードボタンで行う仕組みで、慣れてしまうと非常に扱いやすい。
5インチカラーTFT液晶ディスプレイを採用。写真のデイモード(白)のほかナイトモード(黒)を手動または自動で切り替え可能だ。走行モード(SDMS)はA/B/Cの3種類で、ピークパワーは共通となっている。トラクションコントロールは1/2/3/オフが任意に選べる。
六角形のモノフォーカスLEDヘッドライトを縦に2灯配置。ウインカーは前後ともフィラメント球だが、純正アクセサリーでLEDターンシグナル(前後セット2万2000円)を用意する。
LEDナンバー灯一体型テールランプを採用。フェンダーレス化が難しいデザインではあるが、トップケースを装着した状態でもストップランプの被視認性が確保されるのは美点。
シートは前後別体式。ライダー側は座面が広く、着座位置の自由度が高い。純正アクセサリーでツートーンシート(2万240円)やシングルシートカウル(2万350円)を用意する。
タンデムシートはキーロックを解除すると取り外せる。ライダー側はボルト1本で固定されている。タンデムシートの裏面にメットホルダーとラゲッジストラップが設けられる。

GSX-8S 主要諸元

型式 8BL-EM1AA
全長/全幅/全高 2,115mm/775mm/1,105mm
軸間距離/最低地上高 1,465mm/145mm
シート高 810mm
装備重量 202kg
燃料消費率 国土交通省届出値:定地燃費値 34.5km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 23.4km/L(クラス2、サブクラス2-2)1名乗車時
最小回転半径 2.9m
エンジン型式/弁方式 FRA1・水冷4サイクル2気筒/DOHC4バルブ
総排気量 775cm3
内径×行程/圧縮比 84.0mm×70.0mm/12.8:1
最高出力 59kW〈80ps〉/8,500rpm
最大トルク 76N・m〈7.7kgf・m〉/6,800rpm
燃料供給装置 フューエルインジェクションシステム
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ式
潤滑方式 圧送式ウェットサンプ式
潤滑油容量 3.9L
燃料タンク容量 14L
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比

 1速 3.071
 2速 2.200
 3速 1.700
 4速 1.416
 5速 1.230
 6速 1.107
減速比(1次/2次) 1.675/2.764
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 25°/104mm
ブレーキ形式(前/後) 油圧式ダブルディスク[ABS]/油圧式シングルディスク[ABS]
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17M/C(58W)/ 180/55ZR17M/C(73W)
舵取り角左右 35°
乗車定員 2名
排出ガス基準 平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応


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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…