ホンダの新型CL250に乗った! ヒット作になりそうな予感がプンプンだった。

EICMA2022で初公開されたホンダの新型スクランブラー、CL250がいよいよ日本でもリリースされた。クルーザーのレブル250をベースとしながら、普遍的なスクランブラースタイルを見事に構築している。コンセプトは「Express Yourself(あなた自身を表現しよう)」で、感度の高い若者世代に向けて開発されている点はレブル250に共通する。まずはファーストインプレッションをお届けしよう。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

249ccの水冷DOHC4バルブ単気筒はレブル250用をベースに、低中回転域重視のCRF250L用カムシャフトを組み込む。1次減速比および1~6速の変速比はレブル250と共通で、ドリブンスプロケットの歯数を36Tから37Tとし、リヤタイヤ外周の小径化と合わせて加速重視のセッティングとしている。最高出力は24ps/8500rpm、最大トルクは23Nm/6250rpmで、アシスト&スリッパークラッチを採用する。
オーバル断面のアップサイレンサーは、排気口を二つにすることで十分な開口面積を確保。ぞれぞれのテールパイプを小径にすることで高音成分を強調し、クリアなパルス感を表現することに成功している。マフラープロテクターはヘアライン仕上げのステンレス製だ。
スチール製のダイヤモンドフレームは、ステアリングヘッドからスイングアームピボットまでのメイン部分をレブル250と共有し、シートレールを専用設計としている。φ45mmの鋼管で構成されるスイングアームは、エキパイをできるだけ車体中央に寄せるため、右部分を内側へ追い込んだ左右非対称のアーム形状となっている。
φ41mm正立式フロントフォークはクラシカルなラバーブーツ付きで、ストローク量は150mmを公称。フロントブレーキはφ310mmフローティングディスクとニッシン製ピンスライド片押し式2ピストンキャリパー(焼結パッド)の組み合わせだ。
標準装着タイヤはダンロップのトレイルマックス・ミックスツアー(ラジアル、チューブレス)で、車両の特性に合わせて内部を小変更したもの。リヤショックは5段階のプリロード調整が可能で、標準位置は最弱から2段目だ。ホイールトラベル量は145mm。リヤブレーキはφ240mmディスクとニッシン製シングルピストンキャリパーのセット。ABSは2チャンネル式だ。
アップタイプのハンドルにバーエンドはなし。ハンドルクランプはトップブリッジにラバーマウントされている。ハンドル切れ角は左右38度だ。燃料タンクは専用設計で、容量はレブル250よりLl多い12L。
φ100mmの小型反転液晶メーターはレブル250から流用しているため、残念ながらタコメーターはなし。瞬間/平均燃費計やギアポジションインジケーターなどを採用。急制動を後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナルを標準装備。
φ175mmのアウターレンズ内に4個の直射式LEDを配置したヘッドライトもレブル250から流用している。
LEDのテールランプや前後ウインカーもレブル250から流用。カスタマイズの幅を広げるため、樹脂製のリヤフェンダーはシートレールにボルト4本のみで固定されている。
レブル250と同様、ハンドルは別体式となっている。なお、メインスイッチは燃料タンクの左側下方にレイアウトされている。

ホンダ・CL250(2023年モデル) 主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BK-MC57
全長(mm) 2,175
全幅(mm) 830
全高(mm) 1,135
軸距(mm) 1,485
最低地上高(mm) 165
シート高(mm) 790
車両重量(kg) 172
乗車定員(人) 2
燃料消費率(km/L)
 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 47.0(60)〈2名乗車時〉
 WMTCモード値(クラス) 34.9(クラス 2-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 2.6
エンジン型式 MC57E
エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3) 249
内径×行程(mm) 76.0×55.0
圧縮比 10.7:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 18[24]/8,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 23[2.3]/6,250
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 12
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
 1速 3.416
 2速 2.250
 3速 1.650
 4速 1.350
 5速 1.166
 6速 1.038
減速比(1次/2次) 2.807/2.642
キャスター角(度) 27° 00′
トレール量(mm) 108
タイヤ
 前 110/80R19M/C 59H
 後 150/70R17M/C 69H
ブレーキ形式
 前 油圧式ディスク(ABS)
 後 油圧式ディスク(ABS)
懸架方式
 前 テレスコピック式
 後 スイングアーム式
フレーム形式 ダイヤモンド

製造国 タイ

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…