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GFR-02とはどんなモデル?
GFR-02は、和歌山県を拠点とするスタートアップ企業のグラフィットが開発した、原付一種と同じ車両区分の電動モペットだ。
ボディサイズは全長1280mm×全幅535mm×全高1040mmで、ホイールベース900mm。とてもコンパクトな車体なうえに、車両重量は19.4kg(バッテリー装着時)とかなり軽量。しかも、折りたためば全長700mm×全幅500mm×全高600mmとさらに車体を小さくできることで、自宅の玄関などに置くことも可能。また、クルマのトランクに積めば、アウトドアなど出先での移動手段にも使える。
電動バイクとして走行するための電動モーターは出力0.25kWで、後輪内蔵タイプのインホイールモーターを採用。また、36V/9.6Ahのリチウムイオンバッテリーを搭載し、電動走行距離は約34kmを実現する(走行条件により異なる)。
バッテリーは、取り外して自宅内にある家庭用コンセントで充電ができ、充電時間は約2〜3時間。足まわりには、前後14インチタイヤを装着し、ディスクブレーキも前後に採用することで、安定した制動力も発揮する。
さらに、3つの走行モードも用意。モーターの動力で走る場合は「MID」「HIGH」を選択、モーターの動力を使わずにペダルを漕いで走る場合は「ECO」を選択する仕組みとなっている。
独自のモビチェン機構がクラスチェンジを可能に
GFR-02は、2020年より販売していたが、当初は、原付一種扱いのみ。ナンバープレートも白地の原付一種バイクと同じナンバーを付けていた。それは、現在も、原付バイクとしてモーター走行する場合は同じで、最高速度30km/hや2段階右折といった50ccバイクが守るべきルールが適用される。
GFR-02が、原付バイクと自転車の切り替えができるようになったのは、2021年7月からだ。これは、同社が開発した「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー(以下、モビチェン)」という機構について、実証実験などを経た後に、当局が認可を出したことで可能となった。2021年7月1日に警察庁が公表した「車両区分を変化させることができるモビリティついて」という通達が後ろ盾となっている。
このモビチェンという機構は、簡単にいえば、ナンバープレートにカバーをセットし、番号などを見えなくすことで、原付バイクから自転車にクラスチェンジできるというものだ。ただし、どんな電動モペットでも、ナンバープレートを隠せばいいわけではなく、一定の要件を満たしている必要がある。
モビチェンの操作は、以下の通りだ。
【電動バイク(原付)から自転車への切替え】
1、バイク本体の電源を切る
2、モビチェンの左ボタンを押しながら右のボタンを押し、カバーを引き上げる
→自転車として走行可能
【自転車から電動バイク(原付)への切替え】
1、モビチェンの左ボタンを押しながら右ボタンを押すと自動でカバーが下がり電源が入る
2、ECOモード(ペダル走行)からMIDモードもしくはHIGHモードに切り替える
→電動バイク(原付)として走行可能
ポイントは、電動バイクから自転車へ切替える場合に、バイク本体の電源を切り、モーター走行ができない仕様にすることだ。また、車両区分の切り替えは、電動バイクから自転車へ、自転車から電動バイクへする場合の両方で、完全に停止した状態で行う必要がある。
ちなみに、グラフィットでは、GFR-02のモビチェン付きと、モビチェンのない通常仕様を販売しており、価格(税込)はモビチェン付きモデル30万8000円、通常モデル27万5000円だ。
電動バイクから自転車に早変わりできるメリットは?
以上が、GFR-02が採用するモビチェン機構の概要だ。こうした切り替えができるメリットは、まず、原付バイクのモードでは、高い機動力を発揮し移動がとても楽なこと。急な坂道などでも、スイスイと走ることができる。
一方、自転車にクラスチェンジすれば、車道だけでなく、自転車道や自転車専用通行帯、路側帯なども走行が可能だ。また、歩道も、自転車が走行できる場所であれば、歩行者の通行を妨げない範囲で走ることができる。
さらに、通勤・通学や買い物などの日常使いをする場合に便利なのが、自転車専用の駐輪場にも駐車できることだ。最近は、バイク用の駐輪場も増えてきてはいるが、まだまだ自転車用と比べれば少ない。
ほかにも、前述の通り、電動バイク仕様では、GFR-02の航続距離は約34km。片道17kmほどしか走れないが、いざというときに自転車モードにしてペダルを漕げば、ちょっとした遠出も可能だ。
このように、原付バイクと自転車にクラスチェンジできるメリットは、意外に多い。街中はもちろん、アウトドアでのレジャーなど、さまざまシーンで手軽に乗れる乗り物として、今後も注目だ。