半日、500円(保険代)の気軽なライディングスクール!|ゆるふわ八王子二輪車安全運転講習会

その名のとおり基本中の基本を楽しく体現できるのが、ゆるふわ八王子二輪車安全運転講習会の特徴です。日本二輪車文化協会が主催して八王子市道路交通部交通事業化が協力して開催されるライディングスクールが10月22日(日)、八王子市役所の特設会場で行われました。
主催:一般社団法人 日本二輪車文化協会 https://amac.or.jp/

自分のペースで実践できるライディングスクール

バイクに乗るようになったらだれでも、運転がうまくなりたいと願います。その手段のひとつがライディングスクールへの参加です。基本的にはビギナーが対象となるはずですが、中には難しいセクションをこなさなくてはいけないスクールもあります。しかし、ゆるふわ八王子二輪車安全運転講習会は、オートバイライフの❝はじめの一歩❞にまつわる不安を一緒に楽しく解消することが主旨のライディングスクールです。なので、発進時のエンストが心配、立ちゴケが怖くて乗れない、愛車の取り回しが不安といったビギナーや女性、リターンライダーにピッタリなのです。
 10月22日(日)9時、快晴の下、講習会場の八王子市役所市民駐車場に続々と愛車に乗った参加者が集まりました。50名の募集に対してこの日の参加者はおよそ40名。秋のツーリングシーズン真っただ中ということもあって、参加者は控えめでした。
 9時30分から講習の説明などが行われ、10時からまずは完熟走行がスタートしました。メイン会場の駐車場と市役所玄関前のロータリーを行き来しながら体をほぐしていきます。その後いくつかのグループに分かれて、坂道発進とUターンの練習から始まります。実践する項目にスラロームや一本橋といった競技性のあるものはいっさいありません。坂道発進とUターン、それにブレーキングの3つだけです。
 それでもうまくできなかったらどうしようと二の足を踏んでしまいがちなのがビギナーです。でも心配無用。ゆるふわ二輪車安全運転講習会では、うまくできないのが当たり前という考えに基づいて、あくまでもコツをつかんで公道での安全運転につなげてもらいたいというのが目的だからです。
 まずは坂道発進ですが、ここでは急坂を後退することなくしっかりスタートさせることが目標ではなく、繊細なクラッチミートを覚えることが主旨です。アクセルを回さずクラッチ操作だけでバイクを発進させ、坂道を上ります。このとき、不安があれば両足を着いてもかまいません。初めのうちはエンストしちゃうこともありますが、何度かやることでコツをつかみ、だれでもできるようになります。一般道でエンストを繰り返してしまうのはアクセル、クラッチ操作が雑だからです。そしてそれは立ちゴケにもつながってしまいます。それを防ぐための練習が、この坂道発進なのです。
クラッチ操作だけで坂道発進できることをインストラクターが実際にやって見せる
参加者一人ずつにクラッチ操作の仕方をレクチャーしながら進めていく
 次にUターンですが、ビギナーや女性に限らず苦手意識のあるライダーは多いはずです。それもそのはず、低速で車体を倒し込むのはだれだって怖いものです。一般的な講習会では小さく回ることが求められ、結果としてうまくできずにバイクを倒してしまったりしがちです。ゆるふわ講習会ではそんな難易度の高いUターンはやりません。そのため比較的大きく回るコースが設定されていて、速く回ることも要求しません。むしろ車体をあまり倒さずにバランスを保ちながら操舵してUターンする指導を行っています。交差点を曲がっている最中に歩行者が飛び出してきたときにも、転倒することなく停止あるいは回避できることを目的にしているのです。
Uターンは小回りできるように指導するのではなく、不測の事態に際してもきちんと停止あるいは回避できるように操作することを目的にしている
 最後にブレーキングですが、教習所や試験では40km/hからの急制動といった課題だったと思いますが、ゆるふわ講習会ではギヤが何速で時速何キロという指定はありません。定められた停止位置に前輪をピタッと合わせて止めることが目的なのです。ブレーキングで止まった瞬間バランスを崩して倒れてしまう、そんな光景を街中で見かけることがあります。これは自分が止まろうとしている位置と、ブレーキ操作によって実際に止まった位置とのずれが、意識と体のアンバランスをつくり、よろけてしまうという結果になるのです。それを防ぐため、自分が狙ったところにピタッと停止させる練習を組んでいるのです。短い距離で止まることが目的ではなく自分の意志で止めるのですから、ゲーム感覚で楽しみながらできるのです。練習というと自らにプレッシャーをかけてしまいますが、ゲーム感覚でやれば飽きることなく取り組めるものですね。
ブレーキング講習の目的は、停止する位置に前輪がピタッと止められるようにすること
ブレーキ体勢に入るまでのスピードは自由。車体を安定させた状態で目標位置にきちんと停止せるというゲーム感覚で楽しく行う
 こうして1時間半ほどインストラクターの優しい指導を受けたところで、恒例のもぐもぐタイム。用意されたパンやケーキ、飲み物を楽しみながら参加者同士で談笑する姿がなんともほのぼのとしていました。
もぐもぐタイムには、パンやケーキ、コーヒーなどの飲み物が提供され、ピクニック気分で休憩する。あちらこちらで参加者同士が談笑する光景が見られた
 もぐもぐタイム後には再び同じ講習が1時間ほど行われ、午後1時前には終了です。わずか半日のライディングスクールは、保険料500円でオヤツ付きなのですから実に格安。午後にツーリングに出かけることもできるので時間も無駄になりません。この講習を受けたからといってライディングテクニックが一気に上達するわけじゃありません。しかし、ちょっとした操作のコツや考え方を知ることで、普段の走りの中で着実にスキルアップできるはずです。いつまでも安全に楽しいバイクライフを送りたいというライダーに、ゆるふわ八王子二輪車安全運転講習会は良いきっかけになるんじゃないかと思いました。
最後には八王子市からも参加記念品が手渡された

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著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…