電動スクーターEM1 e:の兄貴分、原付二種モデルの「SC e:Concept」は見た目がなかなかスマートです!|JAPAN MOBILITY SHOW2023

10月15日から11月5日まで、東京ビッグサイトで開催されている「JAPAN MOBILITY SHOW2023」のホンダブースに、原付2種登録ができるミドルクラスのEVスクーターが初お目見え。バイクだけでなくバッテリーパック活用の幅も広がっている。
手前が原付2種登録のコンセプトモデル「SC e:Concept」。奥は原付1種の「EM1 e:」

脱着式のバッテリーパック「Honda Mobile Power Pack e:」を採用するホンダの電動スクーター「EM1 e:」。バッテリーパックの規格を他社とも共用したことで、街中に設置してあるバッテリーステーションで充電済みのバッテリーパックと交換して、長時間の充電を行わずに走行できる。日本国内ではバッテリーのシェアリングサービス「Gachaco」が昨年からサービスを開始しており、東京、埼玉、大阪にバッテリーステーションが30ヶ所設置されている。

充電済みのバッテリーパックを交換できるバッテリーステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」
登録済みの電子キーや携帯などをタッチすれば充電済みのバッテリーが自動で出てくる。空になったバッテリーを差し込めば交換が完了する。

「SC e:Concept」はEM1 e:発表時から要望のあった原付二種モデルとして開発されたもの。モーターはEM1 e:のインホイール式とは異なり、ファイナルギアを装備した駆動方式になっている。インホイールモーターでは高い出力に向いていないことと、低騒音化も考慮してこの方式を採用している。出力は原付二種の上限である1.0kw以下になることは確実だが、現在開発中のため、正確な出力や航続距離などは非公開。バッテリーは定格電圧50.26V、定格容量26.1Ah、定格出力1314Whの「Honda Mobile Power Pack」を2個搭載することができる。EM1e:は満充電での走行距離は約53kmなので、出力の向上分を差し引いても100km近く走れるのではないかと予想される。

タンデムができるミドルクラスのスクーター。このまま発売できるくらいの完成度。
EM1 e:とは異なり、ファイナルギアが設定できるパワーユニットになっている。
サイズ的にはリード125より少し大きめ、PCXより少し小さめといったところ。デザインはスタイリッシュ。
モバイルパワーパックe:を2個搭載する。航続距離は非公開だが、100km近く走れるのではないかと予想する。
開発を担当した二輪・パワープロダクツ電動事業開発統括部 アシスタントチーフエンジニア・後藤香織さん(右)と、モーターサイクル パワープロダクツデザイン開発室 アシスタントチーフエンジニア デザイナー・栗城大亮さん(左)

高出力を見据えたパワートレーンということで、スポーツモデルや軽二輪スクーターの登場にも期待するが、今のところは具体的な計画はないのだとか。

Honda Mobile Power Pack e:はスクーターだけでなく、様々な分野での採用が研究されている。N-VANをベースにしたEV「MEV-VAN Concept」にはモバイルパワーパックe:を8個搭載し、ヤマト運輸と共同で実証実験を行った。既に発売が決定している「N-VAN e:」とは異なる仕様になっている。また、インドでタクシーに使われているオートリキシャーに、モバイルパワーパックを装備したEVリキシャーも展示。インドのメーカーが開発したEVリキシャーにホンダがバッテリーパックの技術を提供した。既に昨年からインドでサービスが開始されている。さらに乗り物だけでなく、建機も電動化が勧められ、コマツ製電動パワーショベルにモバイルパワーパックe:を搭載したプロトタイプ「PC05E-1」も展示されていた。

インドの3輪タクシー「オートリキシャー」にもHonda Mobile Power Pack e:の技術を導入。
コマツの電動パワーショベル「PC05E1」(プロトタイプ)にもモバイルパワーパックe:を搭載。
eバイクの充電など、大容量のポータブル電源としても活用できる。

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