今から約10年前の2014年、これまでのモデルとは異なる独特のスタイルで登場したMT-09。今でこそネイキッドの1モデルとして認識されているが、元々はアンダーグラウンドなバイクムーブメントにインスパイアされて誕生したと言われている。当時流行していたモタードとストリートバイクが融合した尖ったスタイルと、独特のフィーリングを持つ3気筒エンジンが、これまでのストリートバイクにはないモデルとして注目された。その後は多くの改良を繰り返し、幅広いライダーが楽しめるハンドリングマシンに成長した。
2024年に10年目を迎えるMT-09がフルモデルチェンジされ、11月7日からイタリア・ミラノで開催されているEICMA2023(モーターサイクル国際博覧会)でお披露目された。2024年モデルの新型MT-09は、従来から提唱してきた「The Rodeo Master」としての乗り味をさらに洗練し、「The Knight Horse」をコンセプトに開発された。エンジンの懸架公式を変更して剛性を高める一方で、フロント周りの剛性はやや抑え気味にチューニング。これにより幅広い領域での安定感と軽快さの両立を実現している。また、ブリヂストン製タイヤ「BATTLAX HYPERSPORT S23」の採用に加え、これに連動して前後サスペンションのバネレートと減衰力特性のセッティング見直し、リヤサスペンションのリンク変更、ライディングポジションを見直して乗車姿勢の自由度に配慮、YRC(ヤマハライドコントロール)やクルーズコントロールシステムなどのライディングアシストテクノロジーの採用、スマホなどと通信可能な多くの機能を搭載した5インチのフルカラーTFT液晶メーター、Type-CのUSBソケットなど、機能面でも充実させている。
デザイン面では「Torque&Agile」なキャラクターにさらに磨きをかけ、燃料タンクのデザインを一新。灯火類も新機能を搭載した新設計のフラッシャーを採用するなど、スタイルも大きく進化。カラー&グラフィックも一新された。欧州での発売は2024年の3月から。日本国内への導入は2024年春以降を予定している。
また、装備を充実させたMT-09SPの発売も発表されている。フロントフォークにはKYB製41mmフルアジャスタブル倒立フォークを採用し、リヤサスペンションはオーリンズ製。ブレーキキャリパーはBREMBO製ラジアルキャリパーの「Stylema」を採用。さらにスマートキーシステムも装備されている。
SPEC
- 全長×全幅×全高(mm):2090×820×1145
- ホイールベース(mm):1430
- 車両重量(kg);194
- シート高(mm):825
- 燃料タンク容量(ℓ):14
- エンジン形式:水冷4ストローク3気筒DOHC4バルブ
- 総排気量(cc);890
- ボア×ストローク(mm):78.0×62.1
- 変速機形式:6速リターン
- 最高出力(kW[PS]/rpm):87.5[119]/10000
- 最大トルク(Nm/rpm):93.0/7000
- タイヤサイズ:120/70ZR17(F)、180/55ZR17