日立Astemoがミニバイク向けの吸気FIシステム『MINI ETB』を初公開!バイオエタノールにも適用【EICMA2023】

写真左)MINI ETB (Electronic Throttle Body Body/小型電子制御スロットルボディ) 写真中)フレックスフューエル対応フューエルインジェクター 写真右)MINI ETB ECU(Engine Control Unit Unit/小型エンジンコントロールユニット)
「NISSIN」「KEIHIN」「SHOWA」の各製品ブランドを展開(2020年に経営統合)する四輪車と二輪車の新技術・先進技術カンパニー「日立Astemo」は、2023年11月8日~11月13日にイタリア・ミラノで開催された世界最大のモーターサイクルショー「EICMA(エイクマ)」において、小排気量のスクーターやライトモーターサイクルに搭載する単気筒エンジン専用のフューエルインジェクション(FI)システム『MINI ETB(Electronic Throttle Body Body/小型電子制御スロットルボディ)』を世界初公開。同品は既存のメカニカルスロットルボディと同サイズの小型化を達成。同時に開発中の『MINI ETB ECU(Engine Control Unit Unit/小型エンジンコントロールユニット)』と連携することで、走行性能と燃費を向上させるとともにエミッション低減を実現。MINI ETB ECUを搭載することで幅広い燃料調整コントロールが可能となり、バイオエタノールなどにも適応させている。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

MINI ETB(Electronic Throttle Body Body/小型電子制御スロットルボディ)……参考出品

電子制御スロットルボディはECU(下記)からの指令により開閉バルブ(金色の部分)を作動させ、燃焼室内に理想的な空気を送り込む装置。

MINI ETB(Electronic Throttle Body Body/小型電子制御スロットルボディ)は、小型スクーターやライトモーターサイクルに搭載する小排気量単気筒エンジン専用に開発。小排気量車用に限定することで、スロットルボディの小型化を実現。小型化・省スペース化は、車両搭載性を向上するとともに、広いラゲッジスペース(スクーターのシート下収納スペース)の確保にも貢献する。

MINI ETB ECU(Engine Control Unit Unit/小型エンジンコントロールユニット)……参考出品

ECU(エンジンコントロールユニット)は車体に設置された各センサーの数値を集め、スロットルボディやフューエルインジェクターに指令を出すコンピューター装置。

先述のMINI ETBは、同時開発中のMINI ETB ECU(ETB Engine Control Unit Unit/小型エンジンコントロールユニット)と連携。走行条件や走行状況に応じ、アクセル操作に対するエンジンの反応をコントロールすることで、ライダーの意志に忠実に応えながら、ライダーの実体験による燃費の向上を追求した。

電子制御スロットルボディおよびMINI ETB ECUの連携により、トラクションコントロールやクルーズコントロール、二輪車用ADASなどの新機能の追加や連携など柔軟な対応が可能となる。

MINI ETBとMINI ETB ECUは、コミューターおよびライトモーターサイクルの商品性向上にも貢献。さらにモデルの個性を引き立てるとともに、付加価値の付与によるハイグレードモデルの追加設定も実現。

またMINI ETB ECUのプログラム変更のみで、すでにブラジルやインドで広く流通し、今後は世界各地でさらなる需要拡大が見込まれるバイオエタノールなどにも柔軟な対応が可能となる。

フレックスフューエル対応フューエルインジェクター……参考出品

ECUからの指令により、燃焼室内に理想的な量の燃料(ガソリン)を送り込む装置。

現在開発中である次世代燃料対応の小型フューエルインジェクターは、同社の二輪車向け小型インジェクターをベースに、ブラジルでの市販実績から使用材料の選定を見直し、低コストと耐食性の両立を狙った製品。

ブラジルではバイオエタノール燃料を使用した、「フレックスフューエルエンジン」が今や定番。高濃度アルコール含有燃料であるバイオエタノールは、燃料噴射装置となるインジェクターの内部パーツに損傷を与えるため、耐食性の向上が必須。

これまで日立Astemoは、ブラジル市場向け車両に搭載するフューエルインジェクターの燃料通路構成パーツに表面処理を施し、フレックスフューエルエンジンに対応。

開発中のフレックスフューエル対応フューエルインジェクターでは、表面処理が必要だった内部パーツを、インジェクター機能を維持しながら高い耐食性を獲得しつつ、量産に適した材料に置換。大量生産に対応することで、低コスト化を実現した。

フレックスフューエル対応フューエルインジェクターは、現在量産している世界トップクラスの小さなインジェクターと同等サイズを維持することで、スクーターやライトモーターサイクルなど小排気量車両への搭載を促進。通常燃料にも対応することで、ユーザーの燃料選択肢を拡大。

また燃料の噴射角度や噴射粒子の大きさなどが異なる、インジェクターの噴霧バリエーションを拡充。二輪車の多様なエンジン特性に合わせ、インジェクター噴霧特性の選択肢を広げている。

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