ボアアップ? いえいえ、ビッグスロットルボディでスーパーカブ110をパワーアップしちゃいました。|旅仕様への道・カスタム化

購入からおよそ1年、走行距離はまだまだ少ないけれど、その間にコツコツと旅仕様へとカスタムしてきた我がスーパーカブ110。今回はついにエンジン周りにも手を入れることになりました。カブ主にはおなじみの東京堂目白店さんのご協力で、スロットルボディを交換しました。



TEXT:栗栖国安
PHOTO:武田大祐
スーパーカブ110(JA44)、クロスカブ110(JA45)に適合する東京堂目白店製のスロットルボディ&ブースターケーブルセット:¥11,500(税込) 

大径のスロットルボディへの換装で手軽にパワーアップ

 スーパーカブ110の最高出力は5.9kW(8.0ps)で最大トルクは8.5N・m(0.87kgf・m)というのがエンジンスペックです。日常的な使い方でこのエンジン性能に特に不満はありません。しかしツーリング中に急勾配の上り坂が続く峠道を走る際には「もう少し力がほしいな~」と感じることもあります。それを改善するにはエンジンをパワーアップすればいいのですが、方法はいくつかあります。マフラーを交換する、排気量をアップするなどのカスタムがその代表的な方法です。しかし今回選択した方法は、吸入装置のスロットルボディを大径のものに交換するというもの。調べてみると、これだけでもかなりパワーアップが図れるようです。
 スーパーカブ110用のスロットルボディはいくつかのメーカーから販売されていますが、その中から選んだのは、個人的に昔からお付き合いのある東京堂目白店さんの製品のビッグスロットルボディ&ブースターケーブルセットに換装することにしました。ノーマルのスロットルボディの口径が19Φなのに対して東京堂目白店製は22Φとなっています。混合気の吸入量を増やしてパワーアップが図れるというわけです。
 作業手順はまず、エンジン周りを露出させるためにレッグシールドを取り外していきます。カバーやボルト類など外す箇所が意外と多いので、地味に手間がかかります。ボルト類の紛失にも注意が必要です。
 エンジンが露出したら、エアクリーナーボックスとの接続部やマニホールドを緩めてスロットルケーブルを外し、スロットルボディを取り外します。スロットルボディには各種センサーが装着されていますから、それらも一つひとつ外していきます。

 

 ノーマルに換えて東京堂目白店製のビッグスロットルボディに外したセンサーを取り付けていきます。一つひとつの部品が小さいので破損させたり紛失しないよう気をつけて取り扱いながら各種センサーを装着していきます。あとはエアクリーナーボックス、シリンダーヘッドにビッグスロットルボディを取り付けていけば、換装作業は終了です。
 さらに東京堂目白店製のビッグスロットルボディに換装した際には、ワイヤーハーネスの空燃比センサーケーブルに専用の付属ブースターケーブルを取り付けていきます。ビッグスロットルボディに換えたことで燃料の吐出量を変えるのですが、ブースターケーブルによって適切化を図るわけです。これは東京堂目白店独自のノウハウによるものです。
 スロットルボディの換装が終わりましたが、これですべてが終了というわけではありません。ECU(エンジンコントロールユニット)のリセット(初期化)が必要になるのです。キャブレターのころにはそんな作業はいらなかったのですが、電子部品が多く使われるようになった現在は、電気的な操作というか作業も加わるんですね。
 まずはDTCに保存されているデータを除去します。DTCは診断トラブルコードのことで、電子部品に過去になんらかのトラブルが発生していた場合、それが記録されているというものです。やり方は、メインスイッチをオフにして、バッテリーカバーに取り付けてある赤色のサービスチェックカプラーを外します。次にカプラーカバーを外してそこにホンダの専用パーツであるSCSカプラーを装着します。このパーツはサービスチェックカプラーの青色と緑/黒色コードを短絡させるものです。
 メインスイッチをオンにして、サービスチェックカプラーからSCSカプラーの接続を外します。メーターに表示されるPGM-FI警告灯が点灯していることを確認したら、5秒以内に再びSCSカプラーをサービスチェックカプラーに接続します。PGM-FI警告灯が消灯して点滅を開始したら、DTCに保存されていたデータは消去されました。つまりリセットされたわけです。
 次にスロットル開度センサーをリセットします。メインスイッチをオフにし、DTCデータ消去同様にサービスチェックカプラーにSCSカプラーを接続します。さらにシリンダーに接続してある黒のカプラーを外し、そこにジャンパワイヤーを接続します。これで準備完了です。この状態でメインスイッチをオンにします。するとPGM-FI警告灯がゆっくりと点滅を始めます。10秒以内にジャンパワイヤーを油温センサーの黒カプラーから外します。PGM-FI警告灯の点滅が早くなればスロットル開度センサーのリセットは完了です。
 最後にIACバルブ(アイドルエアコントロールバルブ)の初期学習を行います。サービスチェックカプラーにSCSカプラーを接続した状態でエンジンを始動し、15~25分ほど暖機運転します。この暖機運転中にPGM-FI警告灯が20秒間点灯し、その後消灯すればIACバルブの初期学習は完了です。アイドリングが安定していることが確認できればこれで、スロットルボディ交換に伴うECUのリセットはすべて終了です。
 このようにFI化された現在のスーパーカブでは、スロットルボディを交換して終わりというわけにはいかず、ECUのリセットという作業が必要になっています。実は僕自身もこうした電気的な作業は初めての経験で、ちんぷんかんぷんでした。今回の交換作業は東京堂目白店の村田店長にすべて行っていただきましたので、作業中に何度も「それはなにをやっているんですか?」と確認しながらでした。もちろんネット通販などで交換するスロットルボディを入手して自ら作業するのは決して悪いことじゃありません。ただはじめは、ホンダ販売店など専門家にやってもらうほうが安心かもしれませんね。

スタートした瞬間、パワーアップを実感できる

東京堂目白店 〒161-0032 東京都新宿区中落合3-27-3 ☎03-3950-6758

営業時間:10:00~20:00(日祭日 10:00~19:00) 水曜休

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著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…