
OWNER PROFILE

作ったのはこの人!
石野天馬さん
16歳で免許取得直後から整備とチューニングにドはまり。レプリカを乗り継ぎ、18歳のときにVWビートルのチューニングエンジンを製作。2スト、4スト、二輪、四輪すべてDIYでチューニングしている。
見た目だけじゃない!? 本気でオフも遊べます!
西東京方面に凄いプライベートチューナーがいるという連絡が入った。話を聞くと自分で色々なメッキや表面処理をしてしまうし(しかもホームセンターで買えるものだけで)、2スト、4ストのチューニングも得意。理論に基づいた知識や加工技術も凄い。そしてモトチャンプ読者に嬉しいのは、作るバイクがどれも遊び心を忘れていないことである。
そのチューナーの名は石野天馬さん。愛車のジョグを見せてもらうと、これが呆れるばかりの激しさ。絶対に足はつかなそうだが、「信号待ちも足をつかずバランスを取るんです!」とキッパリ。いやー、男らしい。
しかもこのジョグ、ジョークで作ったのではなく、本気のオフロード走行を考え、テストを繰り返しながら3年かけて進化してきた。走破性の高さは抜群で、このぶっ太いタイヤにも関わらず「120km/hは出ますよ」と涼しい顔で言う。

走破性と笑いを追求して生まれたクロカンジョグ
いやしかし、なんでこんなスクーターを作ってしまったのか?
「仲間達と頻繁に林道へ行っていたんです。ある日、1人がミニモトクロッサー用タイヤ付けたスクーターで来やがった。皆それを見て『ぬぁに〜』ってなったわけですよ。次のツーリングは皆カブかスクーターっていう、ふざけた集団になってしまったんです(笑)」
マシンの走破性、速さ、そして笑いを取れるかということを仲間と競い合ってきた結果、生まれたのがこのクロカンジョグだったのである。

フレームはJOG ZⅡ(SA04J)がベースだがネック周辺とステップ下部の分岐などを中心に各部を補強。ノーマルフレームでガレ場を攻めるとステップ下部から折れるのだとか。リヤショックは手持ちで一番長かったものを使い、更に車高上げキットを組み合わせている。
極端に上がった車高によって足は絶対につかないが、それもこのマシンの個性。オフロードでの走破性を追求した結果が、この独特なスタイルにつながっている。

徹底した研究と加工が支える驚異のメカニズム
クロカンジョグ製作にあたっては綿密な検討と計算を行い、テストを繰り返している。内容はすべて2冊のノートにビッシリ書き込まれている。
シリンダーはKJT(台湾メーカー)のボアアップキットがベース。自身の経験からポート加工を行っている。ピストンはJCCの54mm。シリンダーヘッドはジョグ50系(3YK)を切削加工し、スキッシュエリアの高さ、幅、角度、燃焼室容積の違うものを数種類作り、市販のハイオクでデトネが発生しないレベルにしている。山での焼付きは遭難に直結するからである。
クランクはKN企画の45mmストローク。1次圧縮も2次圧縮にあわせて低めの設定。キャブレターはOKOφ32を装着する。
マフラーは山に行くときはウインドジャマーズ製神田管を装着。膨張室が高い位置にあるのでオフで必要な地上高もかせげる。ただし排気音が大きいのでストリートではリバイブのスポーツマフラーを使用する。
極太タイヤを入れるためにクランクケースはCPIを使用。ケースが長いのでタイヤ外径が大きくなった分をクリア。タイヤのサイドがケースにあたらないようにホイールを左へオフセットさせ、ケース自体を右に50mmオフセットさせている。
ステムはアヴェニス150、ボトムケースはアドレス110。更にシートパイプを延長し、ストロークは200mm弱を確保。リバウンドストロークを多くした設定だ。
前後タイヤはATV用のカーライズAT23×7-10。寒冷地用の柔らかいコンパウンドをチョイスしている。
ディテールチェック






他にもこんなの作ってました!
カム手削りのチョイノリボバー

オールドスクールなボバーが作りたいと考えてチョイスしたのはなんとチョイノリ。ハイカムは手削りで、ベースサークルを切り込んで小径にしてカムプロフィールを変更。何個も作っては試走を繰り返して仕様を決定している。
マフラーは色々なパーツの寄せ集めで、メーターはタイヤ外径を入力して使うタイプの自転車用。外装関連は濃いオレンジに塗り替え、テール周りは適当にボブ(シッポを切り詰めるという意味)している。
非常にセンスよくまとまったマシンだが、パワーも上がって普通のスクーターをぶっちぎる速さを発揮する。
林道でも遊べる太足ビーノ

トレーラーを製作しようと考えて購入していた7インチATV用ホイールが余っていたので作ってしまったビーノ林道スペシャル。
ハブはATV用を加工し、アドレス110用フォークとアヴェニス用ステムの組み合わせ。リヤホイールはセンターのドラム部分を純正から切り出してATV用ホイールが装着できるPCDに加工している。
エンジンはノーマル。ジョグより加工部分は少ないものの、それでも製作にかかる手間は大変なものだ。
こちらの記事はモトチャンプ2023年10月号に掲載されたものを加筆修正しています。




