突然のバーストは、空気圧不足と路面熱が引き起こす

夏の高速道路では、タイヤトラブルによるJAFの救援要請も多い。
実際、JAFが公開する2025年度8月のロードサービス救援データを見てみると、計20万5987件の故障内容のうち、四輪の救援要請1位の過放電バッテリーに続いてタイヤのパンクやバースト、エアー不足などのトラブルが続いている。
いったいなぜ、炎天下のドライブではタイヤトラブルが増えるのだろうか。

その最大の要因として挙げられるのが、タイヤの空気圧不足と高速走行によって引き起こされる「スタンディングウェーブ現象」である。
車体重量を支えきれないほど空気圧が下がった状態のタイヤで高速走行を続けると、接地面の変形が復元する前に次の回転が始まってしまい、タイヤの後方側が波打つように変形する現象が発生する。
スタンディングウェーブ現象が発生するとタイヤの内部では激しい摩擦が起こり、一気に高熱が発生する。
そして、その蓄積された熱によって、タイヤ内部のゴム構造やスチールコードを結合している接着面が一気に破壊されてしまうのである。

さらに、夏場の高速道路ならではの過酷な環境もこの危険性を後押ししている。
炎天下の夏場は、アスファルトの路面温度が50度から60度以上もの高温に達することも珍しくない。
ただでさえ空気圧不足でタイヤ内部に大量の熱が発生しているところに、酷暑による強烈な路面熱がダイレクトに加わることで、タイヤゴムの劣化やダメージは加速的に激化していく。
こうして耐えきれなくなったタイヤが、走行中に突然前触れもなく破裂(バースト)するというわけだ。
冷えた状態での空気圧調整と傷やひび割れの点検が大事!

バースト事故を防ぐためには、日頃からのメンテナンスと走行前の入念な点検が重要になる。
まず徹底したいのが、タイヤの空気圧管理である。タイヤの空気圧を測定し調整する際は、必ず走行前の「タイヤが冷えた状態」でおこなうことが原則だ。
走行後のタイヤは摩擦や路面熱によって内部の空気が温まり、膨張して空気圧が高く表示されてしまうことで正確な数値を把握することが難しくなるため、ガソリンスタンドや自宅で出発前の冷えているタイミングを狙い、ドライバーズドアの開口部などに記載されている「指定空気圧」に合わせて適切に調整することが欠かせない。
あわせて、タイヤ本体の物理的なダメージや摩耗状態のチェックも怠ってはならない。
タイヤのトレッド面(接地部)に刻まれている溝を確認し、摩耗が進むと現れる「スリップサイン」が出ていないか目視で確認することが望ましい。溝が浅くなったタイヤは制動距離が伸びるだけでなく、熱の放散性も低下してトラブルの原因となりやすい。
くわえて、タイヤの側面上部や接地面に細かいひび割れや亀裂が生じていないか、あるいは釘や金属片、小石などの異物が刺さっていないかも丁寧に確認しておくことが重要だ。
とくに製造から年数が経過してゴムが硬化したタイヤや、小さな傷が残っているタイヤは、高温と高負荷に耐えきれずバーストするリスクが跳ね上がる。
ドライブの途中で異音や不快な振動を感じた際も、最寄りのSAやPAへ安全に入り、直ちに状態を再確認する姿勢が大切だ。

少しでもひび割れや異常な変形を見つけた場合は、無理をしてそのまま長距離走行を続けず、出発前にタイヤ専門店や整備工場へ相談して速やかに交換などの適切な対応をとることが事故を防ぐ確実な手立てとなる。
夏場のドライブ前には、こまめな空気圧チェックと亀裂の確認をおこない、タイヤのコンディションを保つことが欠かせない。日頃からのメンテナンスを怠らず、万全の状態で出発することが安全な移動へとつながる。