日本でも一般的な先着順とは異なる方法が採用される可能性
トヨタの新型スーパースポーツ「GR GT」をめぐり、米国向けの初期割り当て分が正式発売前に「完売した」と報じられ、大きな話題となった。

しかし、その後トヨタ側から追加説明があり、実際にはGR GTはまだ1台も販売されていないことが明らかになった。
では、なぜ「発売前に完売」という話が広がったのか。

発端となったのは、トヨタ・モーター・ノース・アメリカで自動車事業を担当するシニア・バイス・プレジデント、アンドリュー・ギルランド氏の発言だった。
米国向けには200~250台程度が割り当てられる見通しで、ギルランド氏は需要を満たすだけの台数を用意しないことについて「意図的」だと説明。さらに最初の割り当てがすでに売れたと受け取れる発言が伝えられ、海外メディアを中心に「GR GTが発売前に完売」と報じられた。
ところが、その後トヨタが説明を追加した。
トヨタによれば、「sold out」という表現はモントレー・カー・ウィーク期間中のイベント「The Quail」で寄せられた極めて高い関心を指したもので、車両の割り当てや売買が成立したという意味ではなかったという。トヨタはGR GTについて「先行販売は行なっていない」と説明しており、現在は購入希望者が情報を登録するページを開設した段階だ。誰に販売するかについても、まだ決定まで時間があるとしている。
つまり、一般的な新車販売でいう「受注枠がすべて埋まった」という意味での完売ではなかったわけだ。
もっとも、GR GTに対する人気そのものが誇張されていたわけではない。ギルランド氏によると、The Quailでは正式な注文受付が始まっていないにもかかわらず、150人以上の購入希望者がトヨタのスタッフと車両仕様について話し合ったという。米国への割り当てが200~250台程度とされることを考えれば、正式受注が始まった際に希望者が供給台数を上回る可能性は十分にある。
そしてGR GTでは、一般的な量販車とは異なる販売方法が採用される可能性もある。トヨタはGR GTを投機や転売の対象ではなく、実際にクルマを走らせて楽しむユーザーへ届けたい考えを示している。そのため単純な先着順ではなく、購入希望者の中からオーナーを選定する仕組みも検討されている。
それほど特別な販売方法が検討されるのも、GR GTが通常のGRモデルとは異なる存在だからだ。
GR GTは「公道を走るレーシングカー」をコンセプトに開発されるGRブランドの新たなフラッグシップである。
パワートレーンには、新開発の4.0L V型 8気筒ツインターボと1基のモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。新開発8速ATをリヤのトランスアクスルに組み込み、FRレイアウトを採用する。システム最高出力650ps以上、最大トルク850Nm以上、最高速度320km/h以上はいずれも開発目標値。車両重量1750kg以下、前後重量配分45:55も目標としている。シャシーにはトヨタとして初めてオールアルミニウム骨格を採用し、カーボンや樹脂も適材適所に使用。前後ダブルウィッシュボーンサスペンション、カーボンセラミックブレーキなどを組み合わせる。
発売についてトヨタは2027年頃を目指して開発中としており、価格はまだ発表されていない。
気になるのは、日本での販売方法だ。現時点で日本向けの割り当て台数や購入条件は明らかになっていない。ただし米国で転売対策を含めたオーナー選定が検討されているのであれば、日本でも一般的な先着順とは異なる方法が採用される可能性はある。
「発売前に完売」という話は、結果的には少し先走ったものだった。しかし、正式受注前から150人以上が具体的な購入意思を示し、米国向けはわずか200~250台程度とされる。むしろ注目すべきなのは「もう売り切れたか」ではなく、トヨタが誰にGR GTを売るのか?だろう。
2027年頃の発売に向け、価格だけでなく、その異例ともいえる販売方法にも注目したい。
















