ホンダが北米でハイブリッド車(HEV)の生産体制を大幅に強化する可能性が浮上した。米国オハイオ州に最大4000億円規模を投じ、HEVを中心に生産する新工場を建設する計画が報じられている。計画が実現すれば年間生産能力は最大25万台。2027年にも着工し、2030年の生産開始を目指すという。

注目されるのは、この計画が浮上したタイミングである。
ホンダは2026年3月、北米で投入を予定していた「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」、アキュラ「RSX」の3車種について、開発・市場投入の中止を決定した。EV需要を取り巻く環境の変化を受け、電動化戦略を見直した結果である。



一方、北米ではHEV需要が拡大している。そこでホンダが生産能力の増強策として検討しているとされるのが、オハイオ州の新工場だ。報道によれば、投資額は3000億~4000億円規模。州政府との交渉がまとまれば2027年にも建設に入り、2030年の稼働を目指すとされている。年間生産能力は最大25万台で、大型HEVの生産拠点になる可能性もある。
そこで気になるのが、何を生産するのかだ。
候補のひとつとして浮上しているのが、アキュラの大型SUV「MDX」の次期モデルである。

さらにアキュラでは、レクサス「TX」などと競合する新たな3列シートSUVの開発も報じられている。現時点では「Acura XL」と呼ばれるモデルで、実現すればMDXより上のクラスを担う可能性がある。
ホンダブランドでも大型SUV拡充の動きが伝えられている。現在の「パイロット」より約203mm長い、いわゆる「Pilot XXL」と呼ばれるモデルが検討されているという。

新工場が実現した場合、こうした北米向け大型SUVに次世代ハイブリッドシステムを組み合わせ、生産する拠点となる可能性が考えられる。
ホンダ自身も、HEVへのリソース配分を強める方針をすでに打ち出している。
2026年5月に発表した事業方針では、需要が高まるHEVへ開発・生産リソースを重点配分すると説明。2027年から新世代ハイブリッドシステムと新プラットフォームを採用したモデルを順次投入し、2030年3月期までにグローバルで15車種を展開する計画だ。
さらに北米では2029年からDセグメント以上の大型HEVを投入する。次世代システムでは、2023年に投入したシステムと比較してコストを30%以上削減し、新プラットフォームなどとの組み合わせによって燃費性能を10%以上改善することを目標としている。
今回報じられた新工場計画が実現すれば、こうしたHEV戦略を生産面から支える重要拠点となる。北米向けEV3車種の計画を取りやめる一方、需要の強いHEVには開発・生産リソースを振り向ける。これはEVを放棄するという話ではなく、市場の変化に合わせて電動化戦略の配分を修正する動きと見るべきだろう。
なお、新工場についてホンダが正式決定したわけではない。一連の報道に対し、ホンダは米国での新工場について「現時点では何も決定していない」としている。
ただ、北米の既存工場をHEV生産に対応させる方針はすでに示されている。そこに最大4000億円、年産25万台規模という新たな生産拠点が加わるのか。2030年に向けたホンダの北米戦略を占ううえで、今後の動きが注目される。
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