基本情報

現行のハイゼットトラックは、658ccのKF型水冷直列3気筒12バルブDOHCエンジンを搭載する。最高出力は34kW(46PS)/5,700rpm、最大トルクは60N・m/4,000rpm。トランスミッションにはCVTと5速MTがあり、2WDと4WDを用途に応じて選択できる。

全長は3,395mm、全幅は1,475mm。全高はエクストラやスタンダードなどが1,780mm、ハイルーフおよびジャンボが1,885mmとなる。最大積載量はいずれも350kg、乗車定員は2名だ。

現行モデルには「ジャンボ エクストラ」「ジャンボ スタンダード」「エクストラ」「ハイルーフ」「スタンダード“農用スペシャル”」「スタンダード」を設定している。価格はスタンダードの1,094,500円(税込)から。キャビンの広さや装備、駆動方式など、使い方に応じたグレードを選べる構成だ。

代表グレード例

ここでは、代表的な「ジャンボ エクストラ」「エクストラ」「スタンダード“農用スペシャル”」を紹介していく。

ジャンボ エクストラは、広いキャビンと充実した装備を特徴とする上級グレード。エクストラは通常キャビンを採用した上級仕様で、スタンダード“農用スペシャル”は農作業での使用を想定した4WD専用グレードとなる。

項目ジャンボ エクストラエクストラスタンダード“農用スペシャル”
車両型式3BD-S500P/3BD-S510P3BD-S500P/3BD-S510P3BD-S510P
駆動方式2WD/4WD2WD/4WD4WD
トランスミッションCVT/5MTCVT/5MTCVT/5MT
乗車定員2名2名2名
全長×全幅×全高3,395×1,475×1,885mm3,395×1,475×1,780mm3,395×1,475×1,780mm
荷台長×荷台幅×荷台高1,650×1,410×285mm1,940×1,410×285mm1,940×1,410×285mm
最大積載量350kg350kg350kg
WLTCモード燃費16.5km/L(2WD/CVT)/15.6km/L(2WD/5MT)/15.8km/L(4WD/CVT)/15.6km/L(4WD/5MT)16.5km/L(2WD/CVT)/15.6km/L(2WD/5MT)/15.8km/L(4WD/CVT)/15.6km/L(4WD/5MT)15.8km/L(CVT)/15.6km/L(5MT)
メーカー希望小売価格1,419,000円〜1,628,000円(税込)1,309,000円〜1,518,000円(税込)1,254,000円〜1,331,000円(税込)

ダイハツ・ハイゼットトラックの魅力

ハイゼットトラックには、日々の仕事を効率よく進めるための工夫が各所に取り入れられている。

荷物の積み降ろしから狭い場所での取り回し、悪路への対応、長期間の使用まで、軽トラックが使われる場面を考えた設計が特徴だ。

作業性まで考えられた荷台

通常キャビンの荷台床面地上高は660mm。荷台へのアクセスに使えるステップや、あゆみ板を掛けられるテールゲートなどを備え、積み降ろしのしやすさに配慮している。

荷物を固定するためのフックも多く、通常キャビンには計25個、ジャンボには計23個を設定。ジャンボ エクストラ、エクストラ、スタンダード“農用スペシャル”には、夜間や早朝の作業を支えるLED大型荷台作業灯も標準装備される。

荷台そのものの広さに加え、積載や固定、乗り降りまで含めた作業性が考えられている。

長期間の使用を見据えた防錆性能

農業や建設業などで使われる軽トラックは、泥や水分、融雪剤などにさらされる機会も多い。

ハイゼットトラックでは、アッパーボディ表面積の100%に防錆鋼板を使用。カチオン電着塗装、中塗り、上塗りによる3層塗装を施し、フレームにも防錆鋼板を採用している。

ボディ外板の表面サビは荷台を含め3年、穴あきサビは5年の保証を設定。荷台全面へのメッキ加工や下まわりの防錆処理を強化する「ストロング防錆」もメーカーオプションとして用意されている。

狭い場所から悪路まで対応する走行性能

現行ハイゼットトラックのホイールベースは1,900mm、最小回転半径は3.6m。農道や住宅地、作業場など、スペースが限られる場所でも取り回しやすい。

4WDのCVT車には電子制御式4WDを採用。「2WD」「4WD AUTO」「4WD LOCK」の3モードを備え、路面状況に応じて切り替えられる。

一部の4WD車には、左右後輪の回転差をなくしてぬかるみなどからの脱出を支援するスーパーデフロックを設定。一部の4WD・5MT車にはHi-Loモード切替機構も用意され、急勾配や悪路で大きな駆動力が必要な場面に対応する。

日常の舗装路から農地や未舗装路まで、使用環境に合わせた駆動方式を選べる点が特徴である。

車内で過ごす時間にも配慮したジャンボ

ジャンボはキャビン後方を拡大し、通常キャビンより室内空間に余裕を持たせたモデルである。

エクストラと比べて室内高を90mm、室内長を270mm拡大。シートをリクライニングできるほか、シート後方にも収納スペースを確保している。オーバーヘッドシェルフなど、仕事道具を収納できるスペースも用意された。

荷物を運ぶ機能を確保しながら、移動や休憩などで車内にいる時間が長い使い方にも対応した仕様である。

仕事車にも安全運転支援機能を採用

予防安全機能「スマートアシスト」を採用

現行モデルでは、予防安全機能「スマートアシスト」を採用している。搭載される機能や装備内容はグレード、仕様によって異なる。

2026年3月の一部改良では、衝突回避支援ブレーキの検知対象に横断する自転車を追加。交差点で右折する際の対向車や、右左折時に対向方向から横断してくる歩行者も検知対象となった。

現行仕様では、ジャンボ エクストラやエクストラにADB(アダプティブドライビングビーム)やサイドビューランプなども標準装備。積載性や走破性に加え、日常の運転を支える安全機能も備えている。

ダイハツ・ハイゼットトラック 変遷

ハイゼットの歴史は1960年から始まり、トラックは現行型で10代目となる。

ハイゼットシリーズにはトラックとカーゴがあり、モデルチェンジの時期や世代数は一致しない。ここではトラックを中心に変遷を振り返る。

初代 L35/L36型(1960年〜1967年)

初代ハイゼットは1960年11月に、ダイハツ初の軽四輪車として登場した。

フロントにエンジンを搭載したボンネット型の軽トラックで、356ccの強制空冷2ストローク直列2気筒エンジンを採用。最高出力は17PSだった。

軽三輪車が広く使われていた時代に登場し、その後60年以上続くハイゼットシリーズの原点となったモデルである。

2代目 S35P/S36P型(1964年〜1968年)

1964年4月には、キャブオーバー型のハイゼットキャブが登場した。

エンジンをシート下へ配置することで、限られた軽自動車の車体寸法をキャビンと荷台へ効率よく振り分けた設計が特徴。当初は初代と並行して販売されている。

3代目 S37P型(1968年〜1971年)

1968年5月に3代目へ移行した。

新しい水冷2ストロークエンジンを採用し、動力性能を向上。車体デザインも刷新され、キャブオーバー型を基本とした軽トラックとして改良が進められた。

4代目 S38P/S40P型(1971年〜1981年)

1971年9月に4代目が登場した。

積載性や乗り心地、キャビンの居住性などを見直し、仕事車としての使いやすさを向上。1976年には軽自動車規格の変更に対応した550ccクラスのモデルも加わった。

旧規格の360ccモデルも継続して生産されたため、後に登場する5代目と販売期間の一部が重なっている。

5代目 S60P型(1977年〜1981年)

1977年4月には、拡大された軽自動車規格に本格対応した「ハイゼット55ワイド」が登場した。

550ccのAB型エンジンを搭載し、車体も新規格に合わせて拡大。より広いキャビンや荷台を確保し、360cc時代から新しい軽自動車規格へ移行した世代である。

6代目 S65P/S66P型(1981年〜1986年)

6代目は1981年4月に登場した。

1982年には4WD車と農業向け仕様の「クライマー」を追加。1983年にはキャビンを拡大した「ジャンボ」も加わった。

悪路での走行性能と室内空間という、現在のハイゼットトラックにも受け継がれる選択肢が広がった世代である。

7代目 S80P/S81P/S82P/S83P型(1986年〜1994年)

1986年5月に登場した7代目では、新しい547ccの直列3気筒エンジンを採用した。

4WD車にはスーパーデフロックを設定。1990年の軽自動車規格変更では排気量を660ccへ拡大し、全長も100mm延長された。

エンジンや車体だけでなく、悪路での走行性能についても進化が進んだ世代である。

8代目 S100P/S110P型(1994年〜1999年)

8代目は1994年1月に登場した。

660ccのEF型直列3気筒エンジンを搭載し、動力性能や使い勝手を向上。2WDのS100P型、4WDのS110P型を展開し、ホイールベースは1,900mmとした。

9代目 S200P/S210P・S201P/S211P型(1999年〜2014年)

1999年1月に登場した9代目は、新しい軽自動車規格に対応して全長3,395mm、全幅1,475mmへ車体を拡大した。

トラックにはフルキャブ型を採用し、荷台長を確保。2WDと4WDを設定し、長い販売期間のなかでエンジンや装備などの改良が重ねられた。

10代目 S500P/S510P型(2014年〜)

現行型となる10代目は2014年9月に登場。トラックとして約15年ぶりのフルモデルチェンジとなり、2WDのS500P型と4WDのS510P型を設定した。

荷台やキャビンの使い勝手を見直したほか、防錆性能やカラーバリエーションなども充実。2018年には衝突回避支援ブレーキ機能を備えた「スマートアシストⅢt」を採用した。

2021年12月のマイナーチェンジではFR用CVTを採用し、スマートアシストも進化。燃費性能や走行性能、安全性能などを高めた。

2026年3月には安全機能を中心とした一部改良を実施し、現行仕様へ移行している。

ダイハツ・ハイゼットトラック 販売台数推移

ダイハツ・ハイゼットトラック 販売台数:2006〜2025年
西暦新車販売台数
2006年66,143台
2007年63,278台
2008年60,384台
2009年60,604台
2010年65,412台
2011年55,513台
2012年60,679台
2013年75,614台
2014年90,948台
2015年76,380台
2016年73,173台
2017年73,406台
2018年79,123台
2019年80,815台
2020年75,712台
2021年78,943台
2022年90,142台
2023年77,893台
2024年65,112台
2025年73,013台
2026年46,858台 ※1〜7月累計

※2006〜2025年は1〜12月の暦年販売台数。2026年は1〜7月累計。数値は全国軽自動車協会連合会の通称名別新車販売台数をもとに作成。

販売台数の推移を見ると、2010年代前半を境に販売規模が一段大きくなっている。2006〜2012年は年間5万〜6万台が中心だったが、2013年に7万台を超え、2014年には90,948台まで増加した。

その後も年間7万〜8万台を中心に推移し、2022年には90,142台を記録。2006年以降で年間9万台を超えたのは、2014年と2022年の2回である。

2023年、2024年は2年連続で前年を下回ったが、2025年には73,013台まで回復した。2026年1〜7月は46,858台で、前年同期の39,842台に対して117.6%。足元では前年を上回るペースで推移している。

まとめ

ハイゼットトラックは、用途の異なるユーザーに合わせて細かく仕様を分けている点が特徴である。

荷台を広く使いたいのか、農地や悪路へ入る機会が多いのか、車内で過ごす時間を重視するのか。必要な条件によって、通常キャビンや農用スペシャル、ジャンボと適した仕様は変わってくる。

軽トラックは仕事の内容と使用環境が車選びに直結しやすい。価格や装備だけで比べるのではなく、日常的に走る場所や積載する荷物、車内での過ごし方まで整理することで、ハイゼットトラックの豊富なラインアップから自分の使い方に合った一台を選びやすくなるはずだ。