次期スカイラインは、電動化や知能化が進む時代に「日産らしい走りとは何か」を提示
日産が2026年8月3日に発表した2026年度第1四半期決算では、営業損益が前年同期の791億円の赤字から779億円の黒字へ転換。親会社株主に帰属する純損益も、前年同期の1158億円の赤字から38億円の黒字となった。
わずか1年前とは大きく異なる数字だ。ただし、これだけで「日産復活」と判断するのは早い。本当の勝負は、これから投入する新型車が市場で結果を残せるかどうかにある。その象徴のひとつとなるのが、次期「スカイライン」だ。

今回の業績改善を支えたのは、単純な販売増だけではない。2026年度第1四半期の世界販売台数は70万1000台で前年同期比0.9%減だった一方、米国では24万3000台を販売し、同9.6%増と好調だった。
さらに、経営再建計画「Re:Nissan」によるコスト改善も寄与した。日産によれば、第1四半期だけで前年同期比600億円の改善効果があり、為替も営業利益を押し上げた。販売台数を追うだけでなく、収益構造そのものを変える取り組みが黒字化につながった形である。

Re:Nissanを率いるのがイヴァン・エスピノーサCEOだ。収益性の低い事業や商品構成を見直し、生産能力の適正化や開発期間の短縮を進めている。
一方、単純に車種を減らすだけではない。2026年4月に発表した長期ビジョンでは、世界の商品ラインアップを56車種から45車種へ絞り込み、それぞれの役割を明確化する方針を示した。
新たな商品戦略では、モデルを「ハートビート」「コア」「成長」「パートナー」の4カテゴリーに分類する。なかでも「ハートビートモデル」は販売台数だけではなく、日産らしさやブランドの情緒的価値、革新性を担う存在だ。そして日本では、スカイラインがこのハートビートモデルに正式に位置付けられた。
北米では次世代「ローグ e-POWER」や新型「エクステラ」を中心に商品力を強化。日本でも新型「エルグランド」などの投入によって、長らく不足していた新型車を増やしていく。
ただし、販売状況には地域差がある。米国は回復が鮮明で、日本も2026年度第1四半期の小売販売が前年同期比1.3%増となった。一方、中国では現地メーカーとの競争が激しく、依然として厳しい市場環境が続く。足元の黒字化だけで再建が完了したとは言えない。
そこで重要な存在となるのが次期スカイラインである。
日産は2026年4月、将来の商品戦略の中でスカイラインを日本向けハートビートモデルと明示した。つまり次期型は、単純に販売台数を稼ぐためのクルマではなく、「日産とはどんなメーカーなのか」を示す役割を担うことになる。
さらに入手した情報によると、日本市場向けの次期スカイラインは開発が進められており、日産を象徴するモデルとして、走行性能やデザイン、先進技術に強くこだわったモデルになる可能性がある。
スカイラインは長い歴史を持つ一方、現在の日産にとって大量販売を期待する車種ではない。それでも、「GT-R」「フェアレディZ」と並んで日産の走りを支えてきた名前が、新しい形で存在感を取り戻す意味は大きい。
そのため次期スカイラインには、歴代モデルを懐かしむユーザーに応えるだけでなく、電動化や知能化が進む時代に「日産らしい走りとは何か」を提示することが求められる。
日産は今後、AIを中心とした「AIディファインドビークル」の展開や、e-POWERをはじめとする電動技術の強化も進める。次期スカイラインが、そうした次世代技術とドライバー中心のキャラクターをどう融合させるのかも注目点となる。
2026年度第1四半期の黒字転換は、日産再建が数字として表れ始めた重要な一歩である。しかし、コストを削って利益を出すだけでは、本当の意味でブランドが復活したとは言えない。
ローグ、エルグランド、エクステラ、そしてスカイライン。これから登場する新世代モデルがユーザーに支持され、再び「欲しい日産車」を増やせるか。なかでも次期スカイラインは、再建から成長へ向かう日産の実力を示す重要な一台となる。










