大きく立派になった新型キックス、注目は第三世代e-POWER

久しぶりに日産車をお借りしてみた。日産キックスである。2代目となるキックス(KICKS)の国内デビューは2026年6月。第三世代e-POWERを搭載するコンパクトSUVである。生産は追浜工場。2027年度末に車両生産を追える追浜工場で生産を開始した最後の新型車となる。
さて、注目の第三世代e-POWERである。第三世代e-POWERは、「5-in-1 e-POWER電動ユニット」と「発電特化型エンジン」を組み合わせたシステムだ。キックスは日本での第三世代e-POWER第一弾だ。
世界では、先に欧州のキャシュカイが1.5L直3ターボであるZR15DDTeエンジンと5-in-1電動ユニットを組み合わせている。これが世界第一弾だ。ちなみに、エルグランドもZR15DDTeを搭載する第三世代e-POWERということになる。

エンジン型式:HR14DDe
排気量:1433cc
ボア×ストローク:78.0mm×100.0mm
圧縮比:13.0
最高出力:98ps(72kW)/6000rpm
最大トルク:115Nm/6000rpm
過給機:×
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射)
使用燃料:レギュラー
フロントモーター:YM52型交流同期モーター
最高出力:143ps(105kW)/4600-10700rpm
最大トルク:315Nm/0-2700rpm
キックスに話を戻そう。キックスが搭載するHR14DDe型直3DOHCエンジンの型式を読み解くと
HR:エンジン系列(HR系)
14:排気量=1.4L
D:DOHC
D:直噴(Direct Injection)
e:e-POWER用を占める表記
セレナも搭載するHR14DDeは、前型キックス(現行ノートも)が搭載していたHR12DE型のエンジンの基本骨格を使ってボア(78.0mm)をそのままにストロークを83.6mm→100.0mmまで伸ばしたエンジンだ。ストローク/ボア比は1.282という超ロングストロークエンジンだ。圧縮比も13.0と高い。
セレナは同じエンジンだが、5-in-1電動ユニットを使っていないから、第三世代ではなく第二世代e-POWERというわけだ。
第三世代e-POWER搭載の新型キックスのモード燃費はFFで
WLTCモード燃費:23.4km/L
市街地モード24.2km/L
郊外モード25.0km/L
高速道路モード22.2km/L
前型キックスのFFは
WLTCモード燃費:23.0km/L
市街地モード23.2km/L
郊外モード25.3km/L
高速道路モード21.6km/L
となっている。単純に比較すると、あまり変わっていないのでは、と思うのだが、前型と新型では、クルマのサイズが違うのだ。



新型キックス G FF
全長×全幅×全高:4365mm×1800mm×1615mm
車重:1480kg
前型キックス G FF
全長×全幅×全高:4290mm×1760mm×1605mm
車重:1360kg
というわけで、新型キックスは車格がひとつ上がっているのだ。
ホンダ・ヴェゼル
全長×全幅×全高:4340mm×1790mm×1580mm
車重:1380kg
トヨタ・カローラクロス
全長×全幅×全高:4455mm×1825mm×1620mm
車重:1400kg
あたりとがっぷり四つのポジションだ。
200km走って実燃費17.8km/L。でも「高速が苦手」は感じなかった

日産グローバル本社地下でキックスと対面する。
若々しいスタイルと特徴的なフロントグリルの造形も相まって、実際のボディサイズより存在感がある。乗り込んでみても、インテリアの質感は前型より大きく向上している。アリア譲りっていう感じがして好ましい。


アメリカンフットボールのヘルメットから着想を得たというフロントフェイスは新しいし、すぐに日産車だとわかる。リヤも個性的で群雄割拠のコンパクトSUVのなかでも一際目立つ存在になれそうだ。
注目の第三世代e-POWERは、まず静かであることがうれしい。e-POWERに限らず、ハイブリッド車の最大の弱点は、エンジンがかかったときの「がっかり感」だ。新型キックスはそれをうまく手なずけている。以前からe-POWERはエンジンをかけるタイミングを調整してできるだけドライバーに感じさせないようにしてきたが、キックスではそれが完成形に近づいていると言える。

オプションのBOSEパーソナルプラスサウンドシステム(これがいい!)で音楽を楽しみながらドライブしている限りはエンジンの始動~停止~再始動で不快な思いをすることはない。
さらっと高速道路+市街地を60kmほど走って燃費は20.0km/L程度。びっくりするほどではないが、不満はないレベルだ。
今回は200kmほど走って、燃費は17.8km/Lだった(平均時速は47km/h)。
WTLCモード燃費が23.4km/Lだから、達成率は76%。フル乗車でのドライブが多かったのを差し引いても、やや期待外れだった。
そういえば、前型キックスを試乗して記事を書いたことを思い出した。
そう、これまでのe-POWERには「高速走行が苦手」という印象が強かったのだ。

ところが、新型キックスではそんなことをまったく思わなかった。いまこの原稿を書きながら前型の試乗記を探して、「80km/h以下最強」「90km/h以下最強」なんて書いていたことを思い出したくらいだ。
燃費17.8km/Lという数字だけを見れば、もう少し伸びてほしかった。しかし第三世代e-POWERを得たキックスは、高速走行を苦手科目と感じさせなくなっている。
市街地でも高速道路でも、シチュエーションをあまり気にせず、静かに気持ちよく走れる。コンパクトSUVと呼ぶにはずいぶん存在感のあるクルマになったが、それも新型キックスの長所だと思う。
キックスとエルグランドは、これからの日産にとって重要なモデルになる。まずはキックスが、その先陣を切った。
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