新型ESは後席が大幅に拡大! ショーファーカーとしての魅力度アップ




専用開発の新プラットフォームを採用した新型ESの外観は、ボディ全体でレクサスのデザイン言語を表現したスピンドルボディとBEVを象徴するグリルレスデザインに変わった。冷却グリルが必要となるハイブリッドモデルも小さなスリットを設ける程度の修正に留められており、スタイリングは一切崩れていない。
ドアレバーは引き続きe-ラッチシステムが搭載され、スリットに指を差し入れてタッチするだけでドアが開く“セミフラッシュアウトサイドドアハンドル”を新採用。インテリアも大幅に刷新されており、操作系統を化粧パネルと一体化させた“レスポンシブヒドゥンスイッチ”のほか、ステアリングはレクサスのレターロゴがあしらわれる新デザインに変わっている。
ただし新型ESのボディサイズは旧型比で全長が165mm、全幅は55mm拡大し、アコードよりも一回り大きくなった。それに伴って最小回転半径も拡大しており、アコードの5.7mに対して新型ESは6mだ。
旧型ESの後席空間はアコードと同じくらいだったが、新型ESはアコードを大きく上回る膝まわり空間が与えられたうえ、パノラミックルーフが全グレード標準装備となった。ただし、ハイブリッドモデルには豪華仕様の“バージョンL”は設定されず、ESの大きな特徴であった後席電動リクライニング機構はBEVモデルのES350eのみに設定される“リアコンフォートパッケージ”の専用機能に変わった。
荷室空間は新型ES、アコードともに9.5インチゴルフバッグを4個積めるだけの容量を確保しているが、トランクリッドの開閉は新型ESが電動であるのに対しアコードは手動となる。トランク開口部の広さと形状はESの方が優位と言えそうだ。
両車にはトランクスルーも備わるが、アコードは後席背もたれを倒すことで大開口トランクスルーが使えるのに対し、新型ESはトランクスルー開口寸法が小さいため細長い荷物を積む使い方に留まる。
レクサス ES350h
ボディサイズ=全長5140mm×全幅1920mm×全高1555mm
ホイールベース=2950mm
車両重量=1830kg
タイヤサイズ=235/55R19(前後)
ホンダ アコード e:HEV Honda SENSING 360+
ボディサイズ=全長4975mm×全幅1860mm×全高1450mm
ホイールベース=2830mm
車両重量=1580kg
タイヤサイズ=235/45R18(前後)
第6世代THSでパワー&燃費向上! 4WDも新設定


新型ESのハイブリッドモデルのパワートレインは旧型と同じ、A25A-FXSとシリーズパラレルハイブリッド“THS-II”の組み合わせだが、ハイブリッドシステムは最新の第6世代THSが搭載される。
エンジンスペックは、旧ESの最高出力178ps/最大トルク221Nmから189ps/235Nmへと向上したほか、エンジン自体の静粛性も高められている。フロントモーターも大幅なスペック向上を果たしており、120ps/202Nmから162ps/272Nmへと向上した。
アコードのパワートレインはエンジンを発電機として用いてモーターで走行するシリーズハイブリッドをベースとする“e:HEV”であり、最高出力184ps/最大トルク335Nmのモーターを主体として走行し、高速域ではエンジンの動力を駆動に直接用いる。
発進加速性能は、車重が軽いうえ高いモータートルクを有するアコードが優位となるだろう。また、アクセルを踏み込んだ際に加速量とエンジン回転や音を同期させて擬似的なシフトチェンジを演出し、純ガソリン車に乗っているような体験が得られる“リニアシフトコントロール”もアコードの大きな特徴だ。
しかし、燃費性能は新型ESが勝る。両車のWLTCモード平均燃費はESが25.4km/L、アコードが23.8km/Lとなる。新型ESの燃費性能はアコードに対して全速度域で2km/Lほど優れているが、使用燃料はハイオクに変わっているためランニングコストに大きな差はない。
アコードは、ラグジュアリーな外観の割にドライバーズカーと呼ぶにふさわしいスポーティな性格だ。新型ESはスポーティな見た目に変わったが、ラグジュアリーセダンとしての立場はしっかりと継承されている。
なお、新型ESのハイブリッドにはリヤに56ps/123Nmのモーターを搭載したAWDモデルが新設定された。AWDの存在は降雪地域において、FFのみとなるアコードに対する大きな強みと言えるだろう。
レクサス ES350h
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=189ps/6000rpm
最大トルク=235Nm/4200〜5000rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=2WD(FF)
ホンダ アコード e:HEV Honda SENSING 360+
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=147ps/6100rpm
最大トルク=182Nm/4500rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
BEVの方が買い得!? 新型ESのHVモデルは後席装備に難点


旧ES300hの新車価格は602万円だったのに対し、新型ES350hは790万円へと大幅値上げとなった。全面刷新されたプラットフォームと内外装に加え、遠隔ソフトウェアアップデートが可能なArene(アリーン)搭載など、クルマ全体での進化は著しいため価格上昇は仕方がないと言える。
一方、高速道路等の一定条件下でのハンズオフ機能が備わるアコード e:HEV Honda SENSING 360+の新車価格は635万1400円だ。価格が安くとも、アコードには後席シートヒーターおよびベンチレーション機能が備わるうえ、電子制御ダンパーも標準装備だ。
それに対し、新型ESのハイブリッドモデルはサスペンションがメカニカルダンパーであるうえ、運転支援のハンズオフ機能は40km/h以下に限定される。また、前席にシートヒーター&シートベンチレーション機能は備わるが、後席には備わらない。
ただし、BEVモデルであるES350eの“リアコンフォートパッケージ”を選べば、電子制御ダンパーが標準装備となるうえ、後席にも電動式のリクライニング機能やオットマン、シートベンチレーションなどが追加される。そのほか、素材に竹を用いたトリムが面発光する“バンブーレイヤリング”などの新装備が搭載されるのもBEVモデルの一部グレードに限られる。
そのうえ、こうした装備が備わる350e“リアコンフォートパッケージ”の価格は920万円と高額だが、CEV補助金130万円の交付を受ければES350hの価格と並ぶ。新型ESのハイブリッドモデルは価格の割に、装備の面で他に見劣りすると言わざるを得ない。
ハイブリッドモデルとBEVモデルに大きな格差が設けられているのは、新型ESがBEV主体へとモデルスタンスを移したためだ。それに応じて、ハイブリッドモデルは言い方は悪いが、法人需要や充電インフラ未発達地域をサポートするためのグレードに成り下がった。
後席の快適性を最重要視するならES350eの“リアコンフォートパッケージ”がベストな選択となるだろう。AWDが希望ならES500e(830万円)の選択肢もある。装備面のコストパフォーマンスではアコードがこのクラスで随一であり、自分でハンドルを握りたい人にもアコードが向くはずだ。
これらに対して、新型ESのハイブリッドモデルが持つ魅力は主にリニューアルした内外装と広い後席、それにハイブリッドモデルに起因する手堅いリセールバリューくらいと言える。フルモデルチェンジで影が薄くなってしまったES350hの購入はやや慎重になる必要がありそうだ。
車両本体価格
レクサス ES350h:790万円
ホンダ アコード e:HEV Honda SENSING 360+:635万1400円
