男性にタントカスタム以外の選択肢! 特別仕様車“デイリーツール”

改良新型タントの変更点は、安全機能の強化と特別仕様車“デイリーツール”の新設定だ。デイリーツールは、XおよびXターボをベースにブラックの装飾を追加した特別仕様車であり、ドアミラーとドアハンドル、14インチアルミホイールがそれぞれブラックマイカメタリック塗装となる。

さらに、LEDフォグランプやドアデカール、ブラックメッキエンブレムやピアノブラックのバックドアロワガーニッシュといった専用オプションも追加可能だ。

一方、N-BOXは7月の改良で、フロントロワグリルとリヤテールゲートにメッキの装飾が追加されたほか、オフホワイトカラーのドアミラーやドアハンドル、ホイールキャップが装備される“ファッションスタイル”は、2トーンカラーのルーフ色がブラウンからホワイトへと変わっている。

女性的なカラーパターンを増やしたN-BOXとは対照的に、タントは男性的なカラーパターンで対抗する構えのようだ。

ボディサイズなどのディメンションは両車とも従来から変わっておらず、後席膝まわりの空間はN-BOXの方がわずかに広く、頭上空間はタントの方が余裕がある。しかし、どちらも後席は十分に広いため大差はない。荷室寸法もほぼ同じと言ってよいだろう。

ただし、車内の使い勝手には差がある。N-BOXは後席がダイブダウン式となっており後席格納時の荷室床面との段差は小さいうえ、荷室高の点でもタントより優れる。畳んだベビーカーを立てたまま積み込めるチップアップ機構もN-BOXの大きな特徴だ。

他方、タントに備わる“ミラクルオープンドア”は邪魔な助手席側センターピラーがないため、ベビーカーとチャイルドシート間の子どもの乗せ替えを楽にしてくれる。後席に手が届くほど大スライドが可能な助手席シートも子育てに役立つ装備だ。

タントは子育てファミリーの使用に最適化された軽スーパーハイトワゴンと言えるだろう。加えて、この特徴はアウトドアユースにも向く。もちろんN-BOXも子育てやアウトドアに使えるが、タントに比べれば一般的な乗用車に近い性格となる。

なお、N-BOXは改良で後席のセンターコンソールにUSB端子が追加された。一方のタントは、アウトドアスタイルの“ファンクロス”を選ばなければ後席にUSB端子はオプションでも追加できない点は覚えておきたい。

ダイハツ タント X“デイリーツール”
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1755mm
ホイールベース=2460mm
車両重量=910kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)

ホンダ N-BOX ファッションスタイル(モノトーン)
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm
ホイールベース=2520mm
車両重量=910kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)

燃費は僅差でタントの勝ち! パワーはわずかにN-BOXが高い

タント、N-BOXともにパワートレインの変更はなく、依然としてN-BOXの方がエンジンの最高出力、最大トルクともに優れ、燃費性能はタントが勝る。

N-BOXの自然吸気エンジンのスペックが高い理由は、可変バルブタイミングに加えてバルブリフト量も可変させることで低速トルクと高出力の両立が図れる“i-VTEC”が搭載されているためだ。

他方タントは高いエンジン燃焼技術と、遊星ギヤを併用する特殊構造の“D-CVT”により高速走行時の動力伝達効率が高められている。両車のWLTCモード平均燃費はタントが22.6km/L、N-BOXが21.6km/Lだ。

ターボエンジン同士を比較してもこの傾向は変わらない。ともに最高出力は64psだが、最大トルクはタントの100Nmに対して、N-BOXは106Nmと高いが、WLTCモード平均燃費はタントが20.9km/L、N-BOXが20.0km/Lとなる。

乗り心地やエンジンの静粛性、車体の遮音性はN-BOXの方が高い。しかし、標準グレードでもターボが選べるタントに対し、N-BOXは標準グレードにターボは用意されておらず、車両価格が高いN-BOXカスタムもしくはN-BOX JOYを選択しなければならない。

N-BOXは高いエンジンスペックにより自然吸気モデルでも困るシーンは少ないが、高速道路や登坂路ではターボが欲しくなる。こうしたN-BOXに対し、タントはターボエンジンが選びやすい点も強みと言える。

タントのターボモデルは、今回の改良でアダプティブクルーズコントロール(ACC)が標準装備に変わっており、ACCの性能自体も先行車検知距離および精度が高められたうえ、レーンキープコントロール作動時のふらつきも低減されている。

加えてタントは、予防安全機能“スマートアシスト”に対横断自転車検知機能と交差点右折時の対向車線の車両、右左折時の横断歩行者の検知機能が追加されたほか、対歩行者への最高速度条件が60km/hから80km/hに引き上げられた。

ダイハツ タント X“デイリーツール”

エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン
排気量=658cc
最高出力=52ps/6900rpm
最大トルク=60Nm/3600rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

ホンダ N-BOX ファッションスタイル(モノトーン)
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン
排気量=658cc
最高出力=58ps/7300rpm
最大トルク=65Nm/4800rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

安全性が向上しても値上げは極小! グレード選びがしやすくなった新型タント

タントの特別仕様車X“デイリーツール”の新車価格は166万1000円、ターボモデルとなるXターボ“デイリーツール”は182万6000円だ。

対するN-BOXのベースグレードは176万8800円であり、ファッションスタイルのモノトーンはベースグレードに対して9万9000円高、2トーンカラーは12万9500円高となる。N-BOXのもっとも安価なターボモデルは、N-BOXカスタムのベースグレードで価格は243万6500円にもおよぶ。

改良によるタントの値上げ額は自然吸気モデルが一律1万1000円、ターボモデルはACCの標準装備化により6万500円上昇している。特別仕様車デイリーツールはベースグレードに対して3万3000円アップだ。他方、N-BOXの標準モデルは従来から3万円の値上げとなった。

両車の快適装備はおおむね同じといってよいだろう。どちらも標準モデルにステアリングヒーターは備わらないが、シートヒーターは標準で備わっている。ディスプレイオーディオはどちらもオプションとなっており、タントは8万8000円、N-BOXは9万9000円で大差はない。スタンドアロン型のナビシステムも両車ともに20万円前後の追加費用が必要な点も同じだ。

装備に関する大きな違いは、エンジンごとのACCの設定と言えるだろう。ACCを追加する意義が薄いタントの自然吸気モデルは5万5000円のオプション設定であるのに対して、全グレード標準装備となるN-BOXはACCが不要な場合、余計な出費となってしまう。

しかし、N-BOXは静的にも動的にもクルマ全体の質感が高く、自然吸気モデルでも高速道路を難なく走行できるためACCは有用な装備と言えなくもない。ベースグレード比ではタントよりも価格が10万円以上高いものの、リセールバリューも高いためN-BOXを選んでおけば後悔することはないだろう。

他方、クルマ自体が“デイリーツール(日常生活品)”と言える特徴を持つタントは、用途に応じて仕様や装備、価格のバランスを細かく調整できる美点がある。精悍な印象を纏う特別仕様車の追加によって、男性でも標準モデルのタントが選びやすくなったはずだ。

車両本体価格

ダイハツ タント X“デイリーツール”:166万1000円

ホンダ N-BOX ファッションスタイル(モノトーン):186万7800円