N-BOX JOY ブラックスタイルは、大人なアクティブ感を演出する特別仕様車




マイナーチェンジを受けたN-BOX JOYは基本的な構造やデザインはそのままに装飾や装備が変化している。外装ではフォグランプが全グレードで標準装備となり、ターボモデルでは、これまでホンダアクセス扱いのアクセサリー品だった“HONDA”のレターエンブレムグリルが標準装備となった。
新たに追加されたブラックスタイルは、エンブレムやガーニッシュ、ホイールキャップなどの外装装飾をブラックアウト化するとともに、内装色もベージュからブラックへと変更されている。N-BOX JOYの大きな特徴であるチェック柄のシートと荷室フロアがもたらすジェンダーレスな雰囲気はそのままに、ブラックスタイルではよりクールで大人びた雰囲気が付与された。
一方のデリカミニはタフなオフロードスタイルに組み合わされる愛嬌あるデザインが特徴だ。2025年10月のモデルチェンジでは、細部のデザイン変更によりオフロードカーらしいスタイリングが強調された一方で、旧型よりもヘッドライトの吊り目感が抑えられ親しみやすいフロントフェイスへと変更されている。
軽ハイトワゴンとして重要な後席空間は両車おおむね互角だが、膝まわり空間はN-BOX JOYの方がわずかに広く、一方で頭上空間はデリカミニの方がやや広い。荷室寸法に関してもほぼ同等であり、アウトドアユースを想定して荷室やシートが撥水設計となっている点も共通だ。
ただしデリカミニの荷室は、後席を格納して広く使おうとすると大きめの傾斜ができる。その点、N-BOX JOYは荷室後端の床下に着脱式ラゲッジアンダートレイを追加することで荷室床面を嵩上げし、車中泊時などでも心地よく使えるフラットな荷室空間を実現している。
細かなユーティリティを比較すると、マイナーチェンジしたN-BOX JOYは後席用USB端子がリヤセンターコンソールに2口標準装備となり、前席背面には小物入れポケットが追加された。対するデリカミニの後席用USB端子は助手席シートバック背面に1つのみだ。ただし、シートバックポケットはデリカミニにも備わっている。
総合的な車内の使い勝手は、新型N-BOX JOYの方がわずかに良さそうだ。
ホンダ N-BOX JOY ターボ BLACK STYLE
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm
ホイールベース=2520mm
車両重量=940kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)
三菱 デリカミニ T Premium DELIMARU Package
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=990kg
タイヤサイズ=155/65R14(前後)
燃費は僅差でN-BOX JOYが上! 悪路走破性は断然デリカミニ


N-BOX JOYのパワートレインはN-BOXと共通であり、マイナーチェンジでも一切の変更は加えられていない。自然吸気エンジンはバルブタイミングに加えバルブリフト量を可変させる“i-VTEC”によりライバルより一際高い高出力を実現しており、ターボエンジンについてもデリカミニよりも高いスペックを有している。
デリカミニのパワートレインも同じく自然吸気とターボの2種類だが、現行型ではマイルドハイブリッドシステムは廃止された。その代わり、CVT制御プログラムの見直しとエンジン内部の摩擦抵抗低減によって旧型と同等の燃費性能を維持している。
両車のWLTCモード平均燃費は、自然吸気モデルが21.3km/Lと21.0km/L、ターボモデルが20.2km/Lと19.5km/Lとなっており、燃費に関してはN-BOX JOYがほんのわずかに優れる。
デリカミニの真骨頂は走行性能だ。デリカミニは全グレードにカヤバ製の高性能サスペンションダンパー“プロスムース”を採用。さらに4WDモデルは165/60R15の大径タイヤと専用のサスペンションチューニングが加えられる。
デリカミニには急な下り坂での進行をアシストするヒルディセントコントロールや、滑りやすい路面での走破力を高めてくれるドライブモードセレクターが搭載されるうえ、最低地上高もN-BOX JOYよりも5mm高い150mmであり、4WDは15mm高い160mmを確保。悪路走破性能ではデリカミニが圧倒的に優れている。
N-BOXと基本構造を同じくするN-BOX JOYの走行性能も十分に高いものの、その性能が発揮できるのはオンロードに限られる。乗り心地や静粛性、高速安定性に関してはデリカミニより高いが、N-BOX JOYは極端な悪路の走行には向かないクルマだ。
どちらもアウトドアユース向けの軽ハイトワゴンであるものの、N-BOX JOYは標準のN-BOXをアウトドアスタイルの内外装に仕立てたカジュアルアウトドア向けのクルマとなる。対するデリカミニはより過酷な路面環境にも対応できるヘビーデューティな性能が備わっている。
ホンダ N-BOX JOY ターボ BLACK STYLE
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=658cc
最高出力=64ps/6000rpm
最大トルク=104Nm/2600rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)
三菱 デリカミニ T Premium DELIMARU Package
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=659cc
最高出力=63ps/5600rpm
最大トルク=100Nm/2400-4000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)
どちらもアウトドア向けの軽ワゴンだが、キャラクターは対照的


N-BOX JOYは今回の改良で自然吸気モデルが約8万円、ターボモデルは35万円近い値上げとなった。特別仕様車ブラックスタイルの価格は、もっとも安い自然吸気モデルのモノトーンカラーが238万5900円、もっとも高いターボ4WDモデルの2トーンカラーでは282万400円だ。
N-BOX JOYのブラックスタイルは専用の内外装装飾のほかにも、標準グレードではオプションとなる9インチコネクテッドナビとマルチビューカメラシステムが標準装備となっており、これが価格の高さの要因と言えるだろう。
しかし、デリカミニのデリマルパッケージの価格はそれ以上だ。自然吸気モデルとなる“Gプレミアム デリマルパッケージ”のFFが264万9900円、もっとも高額なターボモデルの“Tプレミアム デリマルパッケージ”の4WDは290万7300円にも上る。
デリマルパッケージの価格が高い理由は、3Dマルチアラウンドモニターや前後ドライブレコーダー、セキュリティアラームやGoogle搭載の12.3インチインフォテイメントシステムといった用意されるオプション装備がすべて搭載されているためだ。
なお、N-BOX JOY ブラックスタイルの自然吸気モデルは比較的安価である代わりに、ステアリングヒーターや本革巻きシフトレバー、後席アームレストといった装備は省かれるため、以上の装備が必要であればターボを選びたい。その点、デリカミニのデリマルパッケージはベース価格が高いものの、自然吸気モデルとターボモデルで装備に差は設けられていない。
どちらも高額だが、価格相応の付加価値を持ったクルマだ。しかし、価格に見合うかどうかはユーザーの判断に委ねられる。
デリカミニの特別感は疑いようがない。三菱デリカシリーズのブランドバッジと、それにふさわしい性能を持つデリカミニなら、より高額なターボモデルや4WDモデルを希望するユーザーも多いはずだ。
対する新型N-BOX JOYも細部に改善が施されたうえ、ブラックを基調としてチェック柄の内装が与えられた特別仕様車のブラックスタイルも独自の魅力を備えたクルマと言えるだろう。
N-BOX JOYの特別仕様車ブラックスタイルと、デリカミニのデリマルパッケージはどちらもアウトドアユース向けとなる同価格帯の高額車だが、方向性が全く違うクルマである点には留意する必要がある。
車両本体価格
ホンダ N-BOX JOY ターボ BLACK STYLE(モノトーン):259万2700円
三菱 デリカミニ T Premium DELIMARU Package:274万100円
