Jeep Avenger 4xe Hybrid Upland
Jeep Avenger Full Electric Altitude

思った以上にコンパクト

アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド
アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド

これまで積極的に情報収集しなかった「ジープ アベンジャー」だが、改めてスマホで記事を検索すると、コンパクトながらジープらしいスタイリングと今風のハイブリッドAWD機能を兼ね備えた魅力的な1台に見え、我が家の次期愛車に……などと久々に心躍った。ちなみにアベンジャーの日本導入は2024年で、当時ジープ初のフル電動モデルにして最小ジープという触れ込みであった。今回、今年3月に追加された48Vマイルドハイブリッドの「アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド」と、最初に導入されたBEVの「アベンジャー フルエレクトリック アルティチュード」という2台の試乗の機会を得た。ちなみに4xeは「フォーバイイー」と読む。

まず実車を見て驚いたのはコンパクトながらジープを感じさせたことだった。プラットフォームは「プジョー 208」「フィアット 600」「アルファロメオ ジュニア」など幅広く活用されるステランティスのCMPだが、7スロットグリルにするだけでかなりのジープ感が香る。全長約4.1mとジープとしてはかなり小ぶりで、このサイズなら狭い路地や駐車場でも取り回しに気を使わず、ジープらしいスクエアなボディも相まって車両感覚をつかみやすそうだ。

だが、正直に言えば小さすぎた。これまた恥を忍んで正直に告白するならば、写真を見て、CセグSUVを勝手に想像していたが、BセグSUVの“ガチ”最小ジープであった。かつて小さいと感じた「レネゲード」よりも小さい。4人家族のファミリーカーにはやや厳しいか……。事前にスペック表や紹介記事を読めばわかることだが、各自動車メディアに掲載される美しい写真に完全に騙されてしまった。自分もこれくらい騙したいと思った次第だ。

48Vだがモーターで駆動

アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド
アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド

まずは4xeから試乗する。1.2リッター直列3気筒ターボエンジンに、始動用および前輪駆動用のモーターと6速DCT、さらに後輪駆動用モーターを組み合わせた48VハイブリッドAWDである。0.9kWhのリチウムイオンバッテリーによって30km/hまでの低速域ならモーターだけで走行できるのが面白い。

スタイリッシュなエクステリアにはさまざまなオプションが用意され、コンパクトSUVながら自分好みのスタイルを作り込めるのも魅力のひとつだ。実際今回の試乗車にはオプションのX-camoアクセサリーコレクション(約19万円)が装備されており、7スロットグリルやドアミラーカバー、ボンネットなどがカモフラージュ柄になるなど個性的な1台に仕上がっていた。車両本体価格は519万円だ。

センターコンソールの前端に配置されるボタン式シフトの「D」ボタンを押して走り出す。小径ステアリングはロックトゥロック約2.75回転と比較的スローで、最近のコンパクトSUVとは少し異なる「ジープらしさ」を感じた。ウインカー音がボサノバチックに独特のリズムを刻むのが面白い。単にステランティス系列のコンパクトSUVをジープ名義で販売しているわけではなく、アベンジャーなりのキャラクターを作ろうという気概が伝わってくる。

DCTの弱点をモーターで補う

アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド
アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド

システム最高出力は145PSだが、上り坂の高速道路でも力強さを感じる。市街地では小排気量ターボエンジンと6速DCTという組み合わせ故に発進時のジャダーは多少あり、直3エンジンが始動する際のブルンとした振動やトルクの細さもあるものの、これはドライビングモードのセレクテレインで解消できた。

「ノーマル」「スポーツ」モードでは30km/hまでFWD、30〜90km/hではエンジンと必要に応じてモーターがリヤを駆動してAWDとなり、90km/h以上では燃費効率を重視してふたたびFWDとなる。一方「スノー」では30km/hまで、「サンド/マッド」では50km/hまで常時AWDになるので、スノーやサンド/マッドを選べば、低速域からリヤモーターが積極的に介入し、発進時のジャダーをモーターで緩和してくれる。これはアベンジャー4xeを乗りこなす上で重要なポイントだと感じた。

マッサージ機能がありがたい

アベンジャー フルエレクトリック アルティチュード
アベンジャー フルエレクトリック アルティチュード

続けてBEVのフルエレクトリック アルティチュードを試す。車両本体価格は565万円でハイブリッドよりも50万円ほど高いが、CEV補助金は最大204万円(例:国=129万円、東京=75万円)と圧倒的なお得感が強みだ。エクステリアは基本的に大差ないが、取扱説明書によれば4xeの方がBEVよりも最低地上高が10mmほど高く、そのためオフロード走行で重要な各アングルは4xeが上回っている。

フロントに搭載される交流同期モーターは最高出力156PS、最大トルク270Nmを発揮する。これはシステム最高出力145PSの4xeを上回る。低速域ではモーターならではの滑らかさが快適で、4xeで感じた小排気量+DCT的低速域のギクシャク感はない。

インテリアは4xeとほぼ同等だが、運転席にはアクティブランバーサポート、いわゆるマッサージ機能が備わっていた。運転中の負担を軽減してくれる嬉しい装備である。コンパクトSUVというカテゴリーを考えれば、こうした快適装備は大きな魅力だ。

ジープブランドに求められるもの

アベンジャー フルエレクトリック アルティチュード
アベンジャー フルエレクトリック アルティチュード

スペック上の一充電走行距離は486km(WLTC)を掲げるが、試乗時の想定距離は350km前後に落ち着いた。撮影では電費が悪くなる傾向はあるし、このクラスのBEVを見渡すとこの数字は悪くはない。しかしジープらしく遠方のアウトドア旅行を視野に入れると、航続距離にもう一段上の余裕が欲しかった。350kmでは実質200km程度から充電インフラを気にしはじめることになるだろう。

だが、“EVとしてどうか”ではなく“ジープとしてどうか”と考えた瞬間、評価軸は変わる。やはりジープといえば悪路だけではなく雪や砂などさまざまな路面状況にも対応できる安心感や安定感が大きな魅力だ。アベンジャー フルエレクトリックは、街中で使うフル電動コンパクトSUVとして考えれば非常に合理的だが、「どこへでも行ける」というジープ本来のイメージを重ねると少し物足りない。後輪もモーターで駆動してAWDにしたら、より“ジープらしい”プロダクトとなっただろう。取扱説明書の冒頭に「本取扱説明書は、イタリアで編集・作成されたものを基本に日本語版として制作しています」と書かれていたり、ブランドとしての一貫性について気になる部分もあった。

アメリカンブランドのジープに、イタリアやフランスを含む多国籍企業ステランティスの技術、PSAをルーツとするCMP系プラットフォーム、それらの複雑な成り立ちがあればこそ、この個性的で小さなジープが生まれた。思わず二度見するようなスタイリングもいいが、やはりジープたるものAWDが必須なのだと2台のアベンジャー試乗で改めて痛感した。

PHOTO/平野陽(Akio HIRANO=Avenger Altitude)、GENROQ(=Avenger 4xe Hybrid)

SPECIFICATIONS

ジープ アベンジャー 4xe ハイブリッド アップランド

ボディサイズ:全長4120 全幅1775 全高1600mm
ホイールベース:2560mm
車両重量:1480kg
エンジン:直列3気筒DOHCターボ+モーター
総排気量:1199cc
最高出力:100kW(136PS)/5500rpm
最大トルク:230Nm/1750rpm
フロントモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:15.6kW(21PS)/4264rpm
フロントモーター最大トルク:51Nm/750〜2499rpm
リヤモーター:交流同期電動機
リヤモーター最高出力:21kW(29PS)/3000rpm
リヤモーター最大トルク:89Nm/500〜2000rpm
システム最高出力:145PS
トランスミッション:6速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後215/60R17
燃料消費率(WLTC):19.0km/L
車両本体価格:519万円

ジープ アベンジャー フルエレクトリック アルティチュード

ボディサイズ:全長4105 全幅1775 全高1595mm
ホイールベース:2560mm
車両重量:1570kg
電気モーター:交流同期電動機
最高出力:115kW(156PS)/4070〜7500rpm
最大トルク:270Nm/500〜4060rpm
トランスミッション:1速
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後215/60R17
一充電走行距離(WLTC):486km
車両本体価格:565万円

「ジープ アベンジャー」は登場以来の累計受注台数が29万台を超えた。

「マイナーチェンジでさらに魅力増?」Bセグメントジープのアベンジャー累計受注29万台突破

ジープは2026年9月7日、「アベンジャー」の累計受注台数がモデル登場以来29万台を超えたと発表した。同日、実際の走行体験とAIによる表現を対比させた新CM「Incredibly Real」も公開した。新型アベンジャーの受注は2026年5月に始まり、ガソリンエンジン、eハイブリッド、BEV、四輪駆動の「4xe」が用意されている。